心理カウンセラーとは、人々が抱えている悩みやストレスを解決する専門的な知識を用いて、解決していく人を指します。悩みを抱えている人の個性、性格、背景を考慮し、問題解決のための効果的な対話=コミュニケート(会話)を通して、つまりカウンセリングを行う職業です。人の悩みを身近に感じるためには、その相手の心に深く関わる必要があります。どんな人が向いているのでしょうか?
今回は心理カウンセラーの適正についてご紹介していきます。
カウンセリングは、相手の問題とする、または相手が問題と気づいていない部分に触れなければならないこともあります。問題解決を最終目的としながら相手の悩みや不安を段階に応じて、共に解決していくものです。
そのためには、心理学の知識や技術だけでなく、カウンセラーとしての誠実さ、素直さが求められます。
また、相手の言葉や動作など、表情などから相談者が無理なく話せるような雰囲気づくりや、答えやすい質問、傾聴のスキル要素を備えている人が心理カウンセラーに適しているといえます。
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そのためには、相談者の気持ちに寄り添い、今、何が問題でどんなことが相談者にできるのか、相談者の本心に近づける傾聴のスキル、コミュニケ―ションスキルも必要となってきます。
また、悩んでいる相談者の問題に立ち向かう精神力も必要です。
カウンセリングをするにあたり、まず相談者は「人に言いたくないこと」や「人に知られたくないこと」も話さなければならないときもあるでしょう。カウンセリングを行うにあたって、傾聴のスキルはとても重要です。
ただ単に聞くのではなく「聴く」という文字の中に含まれる「心」、いわゆる聴く姿勢が備わっていると、自然に相談者から話をしてくれるでしょう。
カウンセリングを行うにあたり、先述したように「傾聴のスキル」は文字通り、相手の話に耳を傾けることです。傾聴にスキルを学ぶにも順序があります。
1.相談者のありのままを受け止め認める(受容)
これは信頼関係構築に必要なラポール形成につながり、相談者が話しやすい存在となり、問題解決がスムーズにいくようになります。
2.聴く(共感。感情の一致)
相談者の話を聴くだけでなく、その時の相談者の気持ちに共感し、共に同じ状況にあると気持ちや感情が一致していることが必要です。
3.質問する
これは相談者の悩みがその人に、どのような結果をもたらすのかを予測は、相談者の「気づき」を意図的に引き出し、また相談内容の話がスムーズに進むための効果的な質問の仕方が重要です。
ここで、相談者の悩みに対しカウンセラーが、
「あなたは、何故そう思うのですか?」
「どうしてそんなことが気になるのですか?」
などと、相談者に誘導尋問するような質問は避けます。
では、どのような、質問方法が良いでしょう?例を挙げてみましょう。
相談者が「来月、急に転勤が決まってしまって・・・」と困った顔をしているとします。あなたは、次に何と言って質問しますか?カウンセラーの立場になって考えてみてください。
ここでは、相談者の「急に」という言葉に焦点を当ててみると良いでしょう。
「急に転勤だとは、聞かされていなかったんですね。」
「急に転勤となるとあなたが一番困ると考えておられるところを、もう少し詳しく話していただけますか?」
どうでしょう。すると相談者が困っていることや悩みを話し問題が見えてきそうですよね。
カウンセリングでは、相談者の話の「聴き手に徹する」ことが必要です!と言ったように、カウンセラーは相談者の話をうまく聴くことが出来なければなりません。
あなたの周りに誰からでも、いつも悩み事を聴いている方は少なからずいらっしゃると思います。その方はどんな性格でしょう。
仕事で忙しいときでも、「○○さん、ねぇ、聞いて欲しいことがあるの」と言われたら、仕事の合間にその人のところへ行き、悩みや不安を聴いたりしていると思います。
相手に、年齢や性別に問わずいつも平常心で、自分の時間を減らしてまで、その人の話を聴くような、そんな包容力のある方は心理カウンセラーに向いているとも言えますね。
これは相手の表情や感情を汲み取り、その時の気持ちに柔術、柔軟に接することができる人がカウンセラーに向いていると思います。
もし相手が泣きながら相談している場合など、手を握り、肩に手を当てて話をちゃんと聴いているサイン(うなづき、相槌のタイミング、話の途中で口を挟まない)つまり、非言語的コミュニケーションを見につけている人です。
相談者の悩み事が把握できず、
「いや、私はこうすると思うけど」
「でも、それはあなたの考えすぎじゃない?」
などと物事を否定的に捉えると、相手は無言になって話は中断してしまうでしょう。
そこで注意すべきことは、自分の考えは心の中で思っていても、話の中に自分の感情を持ち込まないことです。相手の悩みを解決すべき肯定的な意見を、相手が分かりやすい言葉を用いて中立的な立場で相手を客観視できる人が、物事を冷静に見ることが出来るように思います。
こんな経験はありませんか?
「悩みがあるんだけど、誰にも言わないでね」
と、ある人に相談したら、翌日、職場の上司に呼び出され
「何か、悩み事があるの?」
なんて聞かれた経験はありませんか。
心理カウンセラーには、「守秘義務」という定めがあり、相談者の悩みを外部に漏らすような行為や発言があった場合には、罰金が命ぜられています。
中には「あたし、口硬いから・・」と言ってあまり良くない話を聞き出そう(人間の欲)と話を持ちかけてくる人は、カウンセラー向きではないといえるでしょう。
人は、育った環境や成長過程によりそれぞれ違った考え方や習慣を持っています。悩み事があっても、自己解決できる人、できない人もいると思います。できないからといっても悪いことではありません。
カウンセラーはできない理由を考えるのではなく、解決できないのには何か訳があるのかも、と考えます。
その人の個性や性格を加味し、アドバイスをする内容をその人の目線、ものさしに合わせ、個人感情ではなく、「この人の悩みは深く、少し長期的な関わりが必要かな」と、周りの人の意見に流されず、広い視野を持つ人がカウンセラーに向いていると思います。
心理カウンセラーは、相手のモチベーションが高まるようなコミュニケーションスキルを持っています。そこで注意すべき点は次のとおりです。
前述したように、相談者が悩みや不安を感じて相談しているのに対し、否定的な言葉を使うのは、余計に相談者の不安を増すことにもなりかねません。
会話の中で「私はこうだ」という「私」という言葉を使うと、「この人は自分の意見が正しい、自分の話をちゃんと聞いてくれない」という感情をさらに生じることになるでしょう。
会話の中で、自分の考え方を言いたくなりそうですが、話は最後まで聴くことが大事です。
感情移入とは、その人の悩みや不安をあたかも、自分の事のように捉えて感情までも共有してしまうことです。一緒に悩み続けてもその人の悩みは解決しません。そこは、自分は「相談されている人だ」と自覚し、その人を客観的に見ることが大事です。
悩み事を話す友人に、自分の意見を押し付けないようにしようとばかり考えていると、うなづき、沈黙と、まるでオウム返しのような会話もどうでしょう?
「もう、仕事いきたくない」と相手が言えば「行きたくないよね~、そうだよね~」と答えるとどうでしょうか。これは話が堂々巡りで、結局は問題解決の糸口は見えないまま・・ということになります。
謙虚な姿勢(控え目・低姿勢・自慢しないなど)は大事ですが、あまり謙虚すぎる人はカウンセラー向きではないように思います。「謙虚」という字を辞典で調べてみるのも参考になりますよ。
カウンセラーという職業は、人の心に入り込まなければならず、そのため様々な対象者との関わり、子供から大人、高齢者も含めこれからの社会の変動、国民の意識、生活上のあらゆる問題の予測、把握を知っておくことが大事です。
そのためには、日々あらゆることに関心を持ちつつ、自己研鑽・自己啓発していく向上心を自らが維持していく必要があります。
「心理カウンセラー」は資格名ではなく、カウンセリングを通して悩みを抱える人々の心のケアをする職種名です。心理カウンセラーになるために資格も学歴も必要ありません。誰でも「心理カウンセラー」を名乗った瞬間から心理カウンセラーになることができます。ですが、悩みや不安を抱えている人は「誰でもいいから話を聞いてもらいたい」と思ってカウンセリングを利用するわけではなく、「心のケアの専門家に話を聞いてもらいたい」と思ってカウンセリングを利用します。そう考えると、心理カウンセラーとしての専門性やスキルを証明するために資格を取得することは非常に重要です。
心理カウンセリングに関する資格は、国家資格と民間資格がありますが、国家資格は「公認心理師」のみです。公認心理師は信頼度の高い資格ですが、基本的に、大学・大学院で必要な科目を修了しないと受験資格を得ることができません。これから心理カウンセラーを目指す方は、民間資格を取得するのが現実的な選択肢になるでしょう。
公認心理師は、日本で初めての心理学に関わる国家資格です。比較的新しい資格であり、2017年9月に施行された「公認心理師法」に基づいて生まれました。心理カウンセリングに関する資格のなかでは、もっともハードルが高い資格だと言えるでしょう。資格を取得できれば、医療や福祉の分野だけでなく、企業や学校教育など幅広いフィールドにおいて、心理のプロフェッショナルとして活躍することができます。
ですが、ネックになるのは受験資格のハードルが高いことです。公認心理師試験の受験資格を得るためには、まず、大学で必要な科目を修めて卒業する必要があります。さらに、大学院において必要な科目を修めて修了する、もしくは、一定の施設において心理に関する支援業務に2年以上従事する必要があります。
メンタル士心理カウンセラー®は、心理学の知識や様々なストレス症状、症状別の対処法に精通し、これらの知識を活かしてカウンセリングができることを証明する民間資格です。資格認定団体である日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)がおこなう試験に合格することで資格を取得できます。メンタル士心理カウンセラー®の資格取得後は、プロの心理カウンセラーとして活動することができます。民間企業のほか、医療機関や福祉施設、教育機関などにおいて、心理学とカウンセリングの知識を活かして悩み・不安を抱える人々をサポートし、解決へと導いていきます。
メンタル士心理カウンセラー®の資格試験の難易度はそれほど高くはありません。合格に必要な学習期間には個人差がありますが、一般的には約2ヶ月(180時間程度)の学習で合格レベルに達することができるとされています。試験は在宅でおこなわれ、分からない箇所はテキストを見ながら解答できるため、初心者の方でも挑戦しやすい資格だと言えるでしょう。
メンタル心理インストラクター®は、日本インストラクター技術協会(JIA)が認定する民間資格で、心理カウンセリングのインストラクターとして活動できる能力があることを証明する資格です。カウンセリングという相談援助知識、カウンセリングに関わる倫理、インテーク面接、共感的理解、転移、適応機制、カタルシス、心理アセスメント、チーム医療、地域精神医療、ケースカンファレンス、来談者中心療法、指示的カウンセリングといった知識を一定以上のレベルで備えている人に与えられる資格です。
メンタル心理インストラクター®の資格試験は受験資格がなく、誰でも受けることができます。試験の難易度はそれほど高くはなく、70%以上の正答率で合格することができます。試験は在宅でおこなわれ、分からない箇所はテキストを見ながら解答できるので、初心者の方でもチャレンジしやすい資格試験だと言えます。なお、試験は1ヶ月おきに年に6回のペースでおこなわれています。
近年、「心理カウンセラー悩み相談」などの広告やポスターなど、メディアやネットなどで多く見られています。ということは、それだけ心理カウンセラーの需要が増えているということです。
言い方を変えると「カウンセリングを受けて何とか気持ちをスッキリしたい」と思って、カウンセリングの予約を取り、Skypeやチャットなどで話を聴いてくれる人、いわば「悩みを誰かに聴いて欲しい人」が増えていると考えても良いでしょう。
もし、あなたが心理カウンセラーに憧れて勉強したいと思うのならば、真剣に勉強し、人の心の中に素直な気持ちで取り組んでいくという姿勢を身に付けるとよいでしょう。
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