心理カウンセラーとして働くために、資格は必須ではありません。
しかし、必須ではないからこそ、取得しておくほうが仕事をする際に有利となります。そこで今回は、心理カウンセラー資格の種類を詳しく紹介します。
大学や大学院に進学しなくても取得できる資格もありますので、通信講座や独学で学びたい人も参考にしてみてください。
就職先の幅が広いですが、難易度の高い心理カウンセラー資格は以下の2つです。
・公認心理師
・キャリアコンサルタント
詳しく説明します。
公認心理師は、日本初の心理職系国家資格です。これから目指す場合、大学で必要なカリキュラムを習得して、大学院に進学するルートが一般的です。
公認心理師は、主に以下の4つの役割を担っています。
1 相談者の心理面の観察や結果分析
2 相談者の心理に関する相談援助(助言や指導含む)
3 相談者の関係者に対する相談や助言、指導など
4 心の健康に関する知識の普及・情報提供
公認心理師は、相談者や関係者に対する相談援助以外に日本国民など、広い範囲への情報提供も業務の1つです。
合格率は50%前後となっていますが、2024年9月時点では定まっていません。
最新(第7回)は76.2%でしたが、第2回は46.4%、第5回は48.3%でした。
第6回からは、臨床経験のある人(現任者)の受験資格がなくなったため、受験者数が減っているのも合格率に影響したといわれています。
キャリアコンサルタントは、労働者の職業選択や生活設計、能力の開発などをサポートする国家資格です。
主に、企業の人事や大学のキャリアセンター、人材派遣会社などに勤めています。「コンサルタント」ですので、心理カウンセラーとは少しサポートの方法は異なりますが、困っている人や悩んでいる労働者のサポートや解決策のための提案をする仕事です。
キャリアコンサルタントの合格率は50%前後。学科と実技試験があり、2024年最新の試験は学科が66%で実技が62.2%でした。学科と実技同時に合格した人は、50.7%だそうです。
公認心理師同様、国家資格化されて数年間は合格率が定まっていませんでした。近年は安定して50%前後となっています。
受験資格がある程度決まっているなど、条件をクリアした人が取得できる民間資格は次の5種類です。
1.臨床心理士
2.産業カウンセラー
3.学校心理士
4.臨床発達心理士
5.認定心理士
詳しく解説していきます。
臨床心理士は、心理カウンセラーの民間資格のなかで最も有名であり、信頼性の高い資格です。
主な仕事内容は以下の4つです。
1 心理検査や観察を用いて、心理査定を行う
2 カウンセリングを通して、相談者の心を支援する
3 地域や社会に属する人々へ情報提供や援助をする
4 上記3つに関する調査や研究を行う
公認心理師は心理検査が必須業務に入っておらず、家族や関係者以外にも広い範囲への情報提供を行うことも仕事です。
一方、臨床心理士は心理検査やカウンセリングを主の業務とし、援助のための研究なども重要とされています。
臨床心理士の合格率は、65%程度と第5回までは公認心理師よりも難易度が低いといわれていました。今後の難易度にも注目です。
産業カウンセラーとは、労働者の抱えるさまざまな悩みに寄り添い、サポートする仕事です。
キャリアコンサルタントは、解決策を提案するのに対し、産業カウンセラーは労働者のメンタルヘルスをサポートします。労働者のキャリアに対する専門家としては共通していますが、産業カウンセラーはキャリアチェンジやキャリアプランだけでなく、職場の人間関係や環境に関する相談のカウンセリングを行う仕事となっています。
産業カウンセラーの合格率は、60%前後と半数以上の合格者を出していることがわかりました。キャリアコンサルタント同様、学科と実技試験となっており、2024年1月実施の試験合格率は60.8%となっています。
学校心理士とは、主に学校で活躍する心理的援助の専門家資格です。
ただし、「学校心理士=スクールカウンセラー」ではありません。スクールカウンセラーは職業名称であり、学校心理士は資格名という違いがあります。
また、スクールカウンセラーは臨床心理士や公認心理師、精神科医などに応募資格がある職業ですが、学校心理士は心理学系大学院を卒業した人以外に、教員や学校管理職も受験できます。
つまり、カウンセラーだけでなく、児童生徒に寄り添いたい教員なども学校心理士を目指せます。学校心理士の合格率は公表されていませんが、受験には実務経験が必要など、難易度は高いことがうかがえます。
臨床発達心理士とは、発達心理学をもとに人々の心理的援助を行う専門家の資格です。
「発達」と聞くと子どもをイメージされる方もいますが、発達心理学や臨床発達心理士の対象は、乳幼児期から老年期まで。資格を持っていることは、幅広い世代へ対応できる知識とスキルを持っている証明となります。
発達の観点から心理支援を行う点で、臨床心理士や公認心理師とは区別されています。
臨床発達心理士の試験は、筆記試験と口述審査です。合格率は公表されていませんが、受験資格を満たすためにも時間や書類審査などがあることから、難易度が高いとされています。
認定心理士とは、心理学の基礎知識を4年制大学で学んだ証となる資格です。
大学の学位(心理学)とは異なり、心理学の専門家として必要最低限の知識やスキルを持っている証明となります。ただし、認定心理士を所有しているだけで応募できる求人は非常に少なく、検索できた範囲では放課後等デイサービスや子ども家庭支援センター、不登校支援施設、計画相談支援施設などでした。(求人ボックス、indeed調べ)
認定心理士には試験がなく、その代わりに4年制大学で指定科目の単位取得が必要となっています。
民間資格には、受験資格がなく誰でもチャレンジできるものもあります。受験資格はないけれど、きちんと知識やスキルを持っている証明となる資格は次の10種類です。
1.メンタル士心理カウンセラー®資格
2.夫婦心理カウンセラー®資格
3.メンタル心理ミュージックアドバイザー®資格
4.チャイルド心理カウンセラー®資格
5.福祉心理カウンセラー資格
6.行動心理カウンセラー®資格
7.音楽療法カウンセラー資格
8.アンガーコントロール士資格
9.瞑想インストラクター資格
10.自己肯定感分析士
それぞれ詳しく解説していきます。
メンタル士心理カウンセラー®資格とは、心理学の基礎知識や症状別の対処法を理解している人が認定される資格です。
心理学やカウンセリングに関する基本的な知識と、あらゆる状況でサポートするための方法の理解が必要となります。資格取得後は、医療機関や福祉施設以外にもカルチャーセンター講師やフリーランスのカウンセラーとして活躍できます。
通信で取得できる民間資格で、どの資格を取得するか迷っている人や、心理学の学習が初めての人におすすめの資格です。
受験資格:なし
受験料:10,000円(税込)
受験方法:在宅
合格基準:70%以上の評価
夫婦心理カウンセラー®資格とは、夫婦や家族関係に関する課題解決のための正しい知識を持つ人が認定される資格です。
夫婦関係は、夫婦喧嘩や子育てのこと以外に、浮気や不倫、失業、DV、別居、離婚などさまざまな課題があります。また、夫婦だけにとどまらず、子どもへの影響も考える必要があるでしょう。資格取得後は、夫婦関係や家族の課題に対応できるカウンセラーとして活躍できます。
受験資格:なし
受験料:10,000円(税込)
受験方法:在宅
合格基準:70%以上の評価
メンタル心理ミュージックアドバイザー®資格は、メンタルヘルスと音楽の関連性を理解する人が認められる資格です。
音楽は人々に癒しを与え、ストレス軽減効果が期待されています。一般的にもストレス解消に音楽はいいといわれていますが、メンタル心理ミュージックアドバイザー®資格を取得することは「なぜ音楽が人を癒すのか」を理論・原理から理解し、心理支援に役立てるための知識がある証明となります。
メンタル心理ミュージックアドバイザーや音楽系カウンセラーだけでなく、子どもや高齢者などの施設で心理的サポートをする際にも役立つ資格です。
受験資格:なし
受験料:10,000円(税込)
受験方法:在宅
合格基準:70%以上の評価
チャイルド心理カウンセラー®資格とは、胎児期から思春期までの子どもの心理や発達を理解している人が認められる資格です。
子どものカウンセリングや、子育てに悩む親御さんへのカウンセリング、保育者や教育関係者などへのサポートにも役立ちます。資格取得後は、子ども専門のカウンセラーや子育て支援専門の心理カウンセラーとして活躍できるでしょう。
受験資格:なし
受験料:10,000円(税込)
受験方法:在宅
合格基準:70%以上の評価
福祉心理カウンセラー資格とは、心理学だけでなく福祉に関する知識を有する証明となる資格です。
心理学の知識は、医療や学校だけでなく、福祉現場でも求められています。福祉心理カウンセラー資格は、心理カウンセラーとしてだけでなく、福祉現場で活動している人や自宅療養、リハビリテーションなどに携わりたい人にも人気の資格です。
受験資格:なし
受験料:10,000円(税込)
受験方法:在宅
合格基準:70%以上の評価
行動心理カウンセラー®資格とは、心理学や行動科学に関する基礎知識やスキルのある人が認定される資格です。
「単純接触効果」「アンダーマイニング効果」など、人間関係やビジネスにも応用できる知識を持つ証となっているため、心理カウンセラーとして企業やキャリアに悩む人の力にもなれるでしょう。
受験資格:なし
受験料:10,000円(税込)
受験方法:在宅
合格基準:70%以上の評価
音楽療法カウンセラー資格は、音楽療法に精通した人が認定される資格です。
音楽療法は、心理カウンセリングのなかでも言語化が苦手な方や、癒しを求める人、子どもから高齢者までさまざまな方に効果が期待できる方法。資格取得後は、音楽療法専門のカウンセラーとして、ご自宅や音楽スクール、福祉施設、カルチャーセンターなどで活動できます。
受験資格:なし
受験料:10,000円(税込)
受験方法:在宅
合格基準:70%以上の評価
アンガーコントロール士資格とは、気分や怒りをコントロールするための基礎知識を持つ人が認定される資格です。
怒りが表出した瞬間はすっきりすることもありますが、「なぜ怒ったんだろう」と考えたり、相手が想像以上に傷つくリスクなどもあります。アンガーコントロール士資格を取得後は、怒りを必要以上にため込まず、自分と相手によい怒り方のトレーニングができるカウンセラーとして活躍できます。
受験資格:なし
受験料:10,000円(税込)
受験方法:在宅
合格基準:70%以上の評価
瞑想インストラクター資格とは、マインドフルネスのなかでも瞑想に関する知識を持つ証明となる資格です。
マインドフルネス瞑想は、記憶力や集中力UPの効果が期待される方法で、人間関係や仕事の作業効率に困っている人が今よりも過ごしやすくなるといわれています。資格取得後は、瞑想インストラクターやマインドフルネス専門カウンセラーとして、ご自宅やカルチャーセンター、オンラインカウンセリングの場で活動できます。
受験資格:なし
受験料:10,000円(税込)
受験方法:在宅
合格基準:70%以上の評価
自己肯定感分析士は、近年注目されている自己肯定感に関する基礎知識を有している人に与えられる資格です。
自己肯定感の重要性や社会適応力との関連、対人関係の構築について、理解していることを証明できます。資格取得後は、オンラインカウンセリングやご自宅でサロン、カルチャースクール講師などとして活躍できます。
受験資格:なし
受験料:10,000円(税込)
受験方法:在宅
合格基準:70%以上の評価
心理カウンセラー資格を取得したい人は「人の役に立ちたい」「誰かのサポートをしたい」という気持ちを持っている人も多いでしょう。
次に紹介する3つの資格は、心理カウンセラーと近い立場の国家資格です。
精神保健福祉士とは、主に精神障害者やその関係者の相談支援を行う国家資格です。
臨床心理士や公認心理師との違いは、相談内容の対象が「日常生活」であること。
例えば、病院に勤務する精神保健福祉士は患者の入退院支援や入院中の相談対応を行います。就労支援施設に勤務する精神保健福祉士は、就労に関する相談全般と、必要な知識やスキル向上のための支援を行います。
精神保健福祉士になるには、4年制大学や専門学校を卒業する必要があり、卒業するだけでは資格は取得できません。
精神保健福祉士の合格率は62%前後と、ここまで紹介した国家資格のなかで最も高い合格率です。最新(2024年)の試験は70.4%と非常に高い数値を出しています。
社会福祉士とは、精神障害者だけでなく高齢者や児童、生活困窮者や身体障害者など、日常生活に困難を抱える人のサポートをする国家資格です。
精神保健福祉士との違いは、対象者の範囲が異なることとサポートする内容や方法。社会福祉士は、前述の通り「日常生活に困難を抱える人」のすべてが対象です。精神障害の有無は関係ありません。
サポートする内容も、福祉サービスの利用方法や自立に向けた計画立案、関係機関との連携など、直接相談にのる以外に関係者や機関と関わることも多いです。
社会福祉士になるには、4年制大学や専門学校卒業後、国家試験に合格する必要があります。合格率は29〜58%前後と幅広く、令和2年度は29.3%でしたが令和5年度は58.1%でした。
言語聴覚士とは、言語によるコミュニケーションや嚥下(食事を飲み込むこと)、聴覚などに課題のある方を支援する国家資格です。
コミュニケーションを扱う点では、臨床心理士と共通していますが、言語聴覚士の場合は言語障害を持つ方に対して専門的な訓練を行います。トレーニングやリハビリテーションを行うという点でも、心理カウンセラーとは異なりますが、困っている人をサポートする点では共通しています。
言語聴覚士になるには、4年制大学や専門学校を卒業後に、国家試験に合格する必要があります。
言語聴覚士の合格率平均は、65%〜75%と幅広く、最新(2024年)は72.4%でした。今回は紹介を省いていますが、同じ医療系の国家資格である作業療法士や理学療法士と比較すると、合格率は低いといわれています。
心理カウンセラーの資格を取得する方法は大きく分けて4つあります。
今回紹介したなかで以下の資格は、学校に進学して受験資格を得ることが必須です。
・公認心理師
・臨床心理士
・認定心理士
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・言語聴覚士
4年制大学進学で受験資格が得られる資格もあれば、4年制大学+大学院、専門学校+実務経験など、資格によって条件は異なります。
以下の資格は、指定講座やスクールに通う方法があります。通わなくても受験資格が得られるものもありますが、実務経験や実績などが問われるようです。
指定講座がある資格
・キャリアコンサルタント
・産業カウンセラー
実務経験を証明する
・学校心理士
・臨床発達心理士
・応用心理士
キャリアコンサルタントや産業カウンセラーは、通学する講座以外にも受験資格があります。
「3.心理カウンセラー資格の種類10選【通信で目指せる民間資格編】」で紹介した資格はすべて、通信講座が用意されています。
・メンタル士心理カウンセラー®資格
・夫婦心理カウンセラー®資格
・メンタル心理ミュージックアドバイザー®資格
・チャイルド心理カウンセラー®資格
・福祉心理カウンセラー資格
・行動心理カウンセラー®資格
・音楽療法カウンセラー資格
・アンガーコントロール士資格
・瞑想インストラクター資格
・自己肯定感分析士
通信講座で資格取得を目指すメリットは、自宅やカフェなど好きな場所で好きな時間に受講できること。
忙しい方も隙間時間でコツコツ学習を進められます。
ほかにも心理カウンセラーの資格講座はございますので、以下の通信講座をチェックしてみてください。
<おすすめ通信講座・スクール>
・プロが監修した女性専用通信教育!「SARAスクール」
・最短学習期間は2か月!「諒設計アーキテクトラーニング」
「3.心理カウンセラー資格の種類10選【通信で目指せる民間資格編】」で紹介した資格は、通信講座を受講しなくても受験可能です。
本屋さんなどで販売している書籍で独学して、資格を取得することもできるでしょう。
特にメンタル士心理カウンセラーは、カウンセリングや心理学の基礎知識となる資格であるため、独学で目指す人もいます。しかし、確実な合格や体系的に必要な知識を学びたい人は通信講座受講がおすすめです。
心理カウンセラー資格の種類を17個紹介しました。
心理カウンセラーは、資格取得が必須の職業ではないですが、相談者様から信頼を獲得するためには、資格があったほうがいいでしょう。
自分がこれからどんなカウンセラーを目指したいか考え、目的に合う資格を取得してみてください。
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