カウンセラーとセラピストは何が違う?仕事内容や向ている人を紹介

カウンセラーとセラピストは何が違う?仕事内容や向ている人を紹介

記事作成日:2024.10.16
カウンセラーとセラピストは何が違う?仕事内容や向ている人を紹介

カウンセラーとセラピストは、似ているところもあれば違うところもある職業です。

どちらにするか迷っている人や、違いを知りたい人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、カウンセラーとセラピストの違う点と共通点を詳しく解説します。

この記事では「仕事内容」「資格」「就職先」「収入」など、細かな点で比較していくので、これから目指す道を決めるための参考にしてみてくださいね。

目次

1.カウンセラーとセラピストは違うの?

カウンセラーとセラピストには共通するところもありますが、異なる点があります。

まずは、カウンセラーとセラピストの違いを5つにわけて解説します。

1-1カウンセラーとセラピストの方法の違い

カウンセラーとセラピストは、手法・方法に違いがあります。

カウンセラーは受動的

カウンセラーが行う「カウンセリング」は、相談者(クライエント)の悩みごとや不安、迷いなどを伺い、解決できるようサポートする手法を用います。

カウンセラーの方から積極的にアドバイスをしたり、「○○すればいいよ」と解決策をむやみに教えることはありません。

必要に応じて、助言や提案は行いますが、基本的には受動的な姿勢でカウンセリングを行うのです。カウンセラーが受動的な姿勢でいることで、相談者が自ら解決する道を見つけたり、自分の考えを整理して理解できるようになっていきます。

セラピストは能動的

セラピストが行う「セラピー」は、訪れた人が本来持っている力を引き出せるよう、能動的に関わります。

関わり方はさまざまですが、イメージしやすいのはリラクゼーションやボディケアなどのサロンのセラピストでしょう。そのほかにも、医療系のリハビリやマッサージも「セラピー」の一種です。

セラピーは、セラピストの方から能動的に関わり、施術を行っていきます。

1-2カウンセラーとセラピストの資格の違い

カウンセラーとセラピストは、資格にも違いがあります。

どちらも、職場によって必須資格はありませんが、国家資格や活用できる民間資格も存在します。

カウンセラーの資格

カウンセラー資格の一例をまとめました。国家資格には「(国)」とつけています。

・公認心理師(国)
・臨床心理士
・認定心理士
・学校心理士
・臨床発達心理士
・産業カウンセラー(国)
・キャリアコンサルタント(国)
・メンタル士心理カウンセラー
・チャイルド心理カウンセラー
・夫婦心理カウンセラー
・引き寄せカウンセラー
・エクステリア心理士
・キッチン心理士
・音楽療法カウンセラー

「カウンセラー」や「心理士」という資格がメインですが、インストラクターやアドバイザーという名称の資格もあります。

セラピストの資格

セラピスト資格の一例をまとめました。カウンセラー同様、国家資格には「(国)」とつけています。

■医療系セラピスト
・理学療法士(国)
・作業療法士(国)
・言語聴覚士(国)
・柔道整復師(国)
・あん摩マッサージ指圧師(国)

■メンタル・心理系セラピスト
・公認心理師(国)
・臨床心理士

■ボディ・美容系セラピスト
・カイロプラクテスト
・リフレクソロジスト資格
・タイ古式整体士®資格
・ファスティングソムリエ資格

指圧などを行わなければ、国家資格は不要です。

■リラクゼーション系
・アロマオイル士®資格
・快眠セラピスト資格
・リンパケアセラピスト資格
・アロマセラピスト資格
・カラーセラピー資格

気づいた方もいるかもしれませんが、公認心理師や臨床心理士もセラピストと呼ばれることがあります。カウンセラーがセラピストと呼ばれることについては、後半で詳しく解説します。

1-3カウンセラーとセラピストの仕事内容の違い

カウンセラーとセラピストには、仕事内容の違いもあります。

仕事内容は就職先によって少々異なりますが、この項目ではカウンセラーとセラピストの代表的な仕事内容の違いを解説していきますね。

カウンセラーの仕事内容

カウンセラーの仕事は、職場によって異なりますが、基本的姿勢は積極的傾聴や共感的理解、無条件の肯定、自己一致です。

無条件の肯定といっても、他害行為を容認するという意味ではなく「そういう気持ちを持っている心理状態」を受け止めます。

基本的姿勢を保ちながら、必要に応じて認知行動療法や来談者中心療法、精神分析などを行います。

そのほかにも、心理検査やソーシャルスキルトレーニングなどもカウンセラーの仕事です。職場によっては、心理検査のみを行う場合もあれば、カウンセリングのみを行う場合もあるでしょう。

セラピストの仕事内容

セラピストにはさまざまな種類があると解説しました。

しかし、どのセラピストにも共通しているのは、まず相談者さまの話をヒアリングすることです。ヒアリングは、悩みや希望していることを伺って、施術に活かすために行います。

ヒアリングした内容をもとに、最適なメニューを提供するのがセラピストの仕事です。

ボディ系セラピストであれば、相談者さまの身体に直接触れてマッサージを行います。必要に応じて、アロマなどリラクゼーションと組み合わせるなど、お客様の身も心もほぐすために施術していくのがボディ系セラピストの仕事。

医療系であれば、基本的には身体に障害やケガのある方に対して、運動療法や作業療法、指圧などを行います。病院やクリニックに属する場合は、医師のオーダーに沿って実施することも多いです。

1-4カウンセラーとセラピストの対象者の違い

カウンセラーとセラピストが関わる相談者・対象者には違うところがあります。

同じく「悩み」を抱えていますが、悩みの内容が異なるのです。

カウンセリングの対象者

カウンセリングの対象者となる人は、次のような「悩み」を持っています。

・仕事や家庭などでストレスを抱えている
・人間関係に困っている
・やる気が出なくなった
・気分が落ち込みやすい
・ネガティブ思考をどうにかしたい
・不安になりやすい
・イライラしやすい
・自分に自信を持ちたい など

カウンセリングの対象者となるのは、心や人間関係、生き方などに悩みを持つ人が多いといわれています。

セラピストの対象者

セラピーの対象者となる人は、次のような「悩み」を持っています。

・関節痛を改善したい
・肉体疲労を癒したい
・老廃物をスッキリさせたい
・身体をほぐして癒されたい
・頭が重くて疲れが取れない
・ケガをして思うように身体を動かせない
・身体不調の回復のためにリハビリをしたい など

このように、身体の悩みの改善・解消を求めている人がセラピーの対象となる人です。ただし、アロマセラピーやカラーセラピーなどは、心に悩みを持つ人が訪れることもあります。

1-5カウンセラーとセラピストの職場の違い

カウンセラーとセラピストには、働く職場にも違いがあります。

カウンセリングの職場

カウンセラーは、ほかの記事でも何度も解説していますが、次のような領域・分野で働く方が多いです。

・医療分野(病院やクリニックなど)
・福祉分野(高齢者福祉施設、児童福祉施設など)
・教育分野(スクールカウンセリング、大学の相談室など)
・産業分野(一般企業の相談室、EAPサービスなど)
・司法分野(少年院、刑務所など)
・研究分野(大学などの研究室)
・そのほか(私設カウンセリングルーム、フリーランスなど)

カウンセラーの就職先については、ほかの記事でも解説しているのでご覧ください。

セラピストの職場

セラピストの就職先は、以下のようなところが主流とされています。

・専門サロン(アロマ、エステなど)
・ホテルやジム併設のサロン
・病院やリハビリテーション施設
・介護施設や訓練施設
・鍼灸院や整骨院
・カウンセリングルームなど

何系のセラピストとして働くかで就職先はさまざまです。
最初から独立して、自宅サロンや個人でサロンを開く方もいます。

2.カウンセラーとセラピストに向いている人の違いはある?

カウンセラーとセラピストの違う点を5つ紹介しました。
似ているところもあるカウンセラーとセラピストですが、向いている人に違いはあるのでしょうか。

この項目では、カウンセラーとセラピストに向いている人を解説します。

2-1カウンセラーに向いている人

カウンセラーに向いている人は、次のような特徴を持っています。

・人に寄り添う心を持っている
・冷静な判断力ができる
・学ぶ意欲がある

詳しく解説していきます。

人に寄り添う心を持っている

カウンセラーは、相談者(クライエント)と対話をしてサポートしていく仕事です。

仕事内容でも少し解説しましたが、カウンセラーは相談者の話を積極的傾聴や共感的理解、無条件の肯定、自己一致といった基本姿勢で聞きます。

人の心に寄り添う姿勢を持っている人は、心理カウンセラーに向いているでしょう。

冷静な判断力ができる

カウンセリングに来る相談者さまは、すべてを本音で話せているとは限らないですし、過去のつらい経験から思い込みで認知がゆがんでしまっている方もいます。

相談者さまが本音で話せない理由には、次のようなことが考えられます。

・何をどう話したらいいかわからない
・自分の本音に気づいていない
・これまで我慢を強いられてきた
・カウンセラーを信用していない
・そもそも人に本音を話すのが苦手 など

カウンセラーは、相談者さまの話を聞きながら、冷静に判断して言葉を選んで伝えたり、必要に応じて助言をしていく必要があるのです。

学ぶ意欲がある

カウンセラーは生涯かけて自己研鑽(自らを鍛え、知識を深め、技術向上していくこと)する必要があります。

カウンセリングに訪れる相談者さまのためでもあり、自身のカウンセリング技術向上など、成長のためです。

学ぶ意欲があり、書籍や論文を読む、セミナーや学会に参加する、先輩や医師などに相談するなど、さまざまな形で成長する気持ちのある人はカウンセラーに向いているでしょう。

2-2セラピストに向いている人

セラピストに向いている人は、以下のような特徴を持っています。

・体力がある
・身体アプローチに関心がある
・勉強熱心である

詳しく解説していきます。

体力がある

サロンや病院で働くセラピストは、自らの身体が仕事道具となります。

たとえば、30分の施術中はずっと身体を動かし続け、お客様を癒し、疲労を取り除いてあげなくてはなりません。時にはお客様にお声掛けしながら、ゆったりと居心地のいい空間づくりを意識する必要もあるでしょう。

30分の施術は短い方であり、長いと2時間近くお話ししたり、身体を使って施術する必要があります。

医療系であれば、体力がない方やケガをされた人の身体を支えながら、リハビリのサポートをする機会も多いです。

数十分〜数時間の施術を1日何件も行えば、体力はかなり消耗されるでしょう。セラピストに向いている人は、比較的体力がある人と考えられます。

身体アプローチに関心がある

メンタル系セラピスト以外は、すべてさまざまな方法で身体的なアプローチを行います。

身体の仕組みに関する知識や、人が癒されたり回復するメカニズムに関心を持っている人は、セラピストとして成長しやすいでしょう。

たとえば、香りやツボが何に効果をもたらすのか、関心があるのとないのではアプローチの仕方も異なります。

提供メニューやプログラムを考える際も、身体アプローチに興味を持っていることは役立つでしょう。

勉強熱心である

セラピーは、海外で次々と新しい手法が行われています。

施術内容をより質の高いものにするために、熱心に勉強できる人はセラピストに向いているでしょう。

また、座学や研修などの勉強以外に、自らさまざまなサロンで施術を受けているセラピストも多いです。自ら施術を受けることは、技術向上だけでなく、お客様への接し方や雰囲気づくりなどにも役立ちます。

3.カウンセラーとセラピストの共通点

カウンセラーとセラピストには、違うとこともありますが共通点もあります。

■仕事内容の共通点
・人の助けになる仕事である
・人が今の状態からより良い状態になる
・常にスキルアップが必要である

■向いている人の共通点
・人と関わることが好き
・人をサポートしたい気持ちがある
・精神的に安定している
・自分自身のケアも大事にしている
・穏やかである

共通しているところもあるからこそ、違う点を知って「自分はどっちが向いているか」考える手立てにしましょう。

4.カウンセラーもセラピーを行う?

セラピストの種類でも紹介しましたが、メンタル系セラピストにカウンセラーは含まれます。

臨床心理士や公認心理師など、心理カウンセラーが行う手法「心理療法/精神療法」は英語でpsychotherapy(サイコセラピー)というからです。

カウンセラーも職場によっては「セラピスト」と呼ばれ、自らが行う手法も「セラピー」ということもあります。

カウンセリングは、カウンセラーが受動的な態度で行なわれると解説しましたが、セラピーは能動的だとお伝えしましたよね。カウンセラーが行う「認知行動療法」「精神分析」「来談者中心療法」などの心理療法は、セラピーに該当するためカウンセラーは能動的に働きかけることがあります。

しかし、カウンセリング=心理療法・精神療法ではないため、カウンセラーとセラピストは違うものといわれているのです。

5.カウンセラーとセラピストに似ているけど違う職業3選

カウンセラーとセラピスト以外にも、似ているけれど違う職業があります。

ここでは、「アドバイザー」「コンサルタント」「コーチ」を例に、カウンセラーやセラピストとの違いを解説していきます。

5-1アドバイザー

アドバイザーとは、助言を行う職業のことです。

アドバイザーが能動的に働きかける点で、セラピストと共通していますが次のような特徴から違いがあるといえます。

■アドバイザーの役割
・癒しや安心ではなく情報や知識を提供する
・心や身体の問題ではなく、自己成長が重要視される
・「傾聴」ではなく、聞き取りや課題を確認する

つまり、アドバイザーは「○○を叶えたいから助言してほしい」という人に対して、アドバイスする仕事です。
メンタル系でも「夫婦関係のアドバイザー」という肩書きになれば、カウンセラーやセラピストではなく、アドバイザーの役割が求められるでしょう。

5-2コンサルタント

コンサルタントとは、相談者の悩みや課題を聞いて、問題解決のための具体的なアドバイス(コンサルティング)をする仕事です。

能動的という点ではセラピストと共通していますが、コンサルタントは癒しを与える仕事ではありません。

コンサルタントは、特定の課題に対して専門的知識から助言を行います。アドバイザーは、広範囲でアドバイスをしますが、コンサルタントは特定の課題に対して行動するための助言を行うのが仕事。

たとえば、「売り上げが伸びなくて悩んでいる」という相談に対し、コンサルタントは売り上げが伸びるための戦略を助言しますが、ほかのことは依頼がない限り助言しないことが多いです。

5-3コーチ

コーチとは、対象者の現状と目標を確認し、目標達成に向けた行動変容の促進を行う仕事です。

スポーツなどのコーチがイメージしやすいですが、近年は働き方や生き方、考え方に対するコーチング事業も増加しています。

コーチは、目標達成を目指す人が対象という点で、カウンセラーやセラピストとは対象者が異なります。カウンセラーやセラピストも「現状からよくなりたい」という点では目標達成を目指していますが、コーチングはより高みを目指したいという人向けの方法です。

6.カウンセラーとセラピストの収入の違い

カウンセラーかセラピスト、どちらがいいか悩む際に、仕事内容や目指す方法以外にも収入面が気になるでしょう。

最後に、カウンセラーとセラピストの収入面は違うのかを解説していきます。

6-1心理カウンセラーの収入事情

カウンセラーの給料は、勤務先によって異なります。

また、正社員か非常勤(パート)か、フリーランスや個人事業主化などによっても異なりますので、ここでは一例を紹介します。

心理カウンセラー全体の平均年収は、厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、約437万円であることがわかりました。

非常勤の場合は、200万円〜300万円が多いようですが、家庭の事情で働き方をセーブしている人も含まれているため、実際は幅広いことが考えられます。

心理カウンセラーの年収を職場別で見ると、司法分野が最も高いようです。平均年収は500万円〜600万円となっていますが、公務員試験に合格する必要があるなど、なかなか狭き門ではあります。

独立開業すると、個人の裁量や実力などにもよりますが、年収1,000万円以上のカウンセラーもいれば、自転車操業になっている人もいるそうです。

参考
公認心理師の活動状況等に関する調査|2021年3月 一般社団法人 日本公認心理師協会
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

6-2セラピストの収入事情

セラピストの平均年収は、394.3万円であることがわかりました。

ただし、厚生労働省の「アロマセラピスト」に関する調査結果のため、就職先や保有資格によって異なります。

以下に、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」の結果をまとめました。

・療法士(※)約433万円
※理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、視能訓練士含む
・あん摩マッサージ指圧師 約459.3万円
・柔道整復師 約459.3万円
・リフレクソロジスト 約394.3万円

最も高収入となるのは、あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師であることがわかります。

しかし、エステティシャンやリラクゼーションサロンのセラピストの場合、店長などの役職に就ければ年収もあがります。その分責任は増えますが、やりがいも同じくらい増えるでしょう。

参考
ホームページ | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

7.まとめ

今回はカウンセラーとセラピストの違うところを詳しく解説しました。

似ているところもあれば、違うところもあるカウンセラーとセラピスト。それぞれに魅力がありますよね。

どちらの職業も、正社員として働くこともできれば、フリーで働くことも可能です。AIでは替えのきかない対人援助やサポートの仕事ですので、これからも需要は高まるでしょう。

両方の資格に興味を持った方も、カウンセラーとセラピストどちらかに興味を持った方も「SARAスクール」や「諒設計アーキテクトラーニング」の講座がおすすめです。

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