心理カウンセラーとは、悩みやストレスを抱えている人の話を聴き、共に解決策を探す専門家です。心理学は文系に分類される学問であり、文系のイメージが強いでしょう。
そこで今回は、これからカウンセラーを目指す場合に文系・理系どっちがいいのか、それぞれの経験を活かせる学習内容についても解説します。
心理カウンセラーは文系・理系どちらからでも目指せます。
なぜ、心理カウンセラーになるには文系・理系どっちがいいと考えるのか、入学試験や学部、取得したい資格などの視点から解説します。
心理カウンセラーになるための大学入試科目は、大学によって文系・理系が異なります。
たとえば、理系で進学したい高校生は以下の大学などがあります。
・帝京平成大学健康メディカル学部(東京都)
・立命館大学総合心理学部(京都府)
・西南学院大学(福岡県)
共通テストで数学や理科を選択可能
※2024年時点
文系で進学したい高校生は、以下の大学などがあります。
・医療創生大学心理学部(福島県)
・追手門学院大学心理学部(大阪府)
・広島修道大学健康科学部(広島県)
共通テストで、国語と外国語+αで地歴や公民を選択可能
※2024年時点
ほかにもありますので、入試科目を検索できるサイトで探してみましょう。
心理学部の歴史は、東京帝国大学(現在の東京大学)が心理学科を開設したことがはじまりでした。その後、私立では日本大学が文学科心理学専攻を開設しています。
つまり、心理学部は文系の専攻の1つとしてスタートしたのです。
現在も、慶応義塾大学をはじめ、文学部心理学専攻を設置している大学はあります。また、心理学部や文学部以外には教育学部に心理系学科を設置している大学もあり、どちらかといえば文系要素の方が強いでしょう。
しかし、近年は人間科学部や健康メディカル学部など、理系要素のある学部に心理学科が設置されることも増えています。
大学受験自体は、文系・理系どちらでも行きたい大学であれば問題ありません。
しかし、大学進学後や臨床心理士・公認心理師を目指すなら、理系の知識が必要です。
理学部ほど詳しくなくて大丈夫ですが、生物学や統計、実験系の授業などを受ける際、理系の知識があると理解が深まるでしょう。また、臨床心理士や公認心理師の資格試験問題には、人体構造や脳機能などに関する問題も出題されます。
高校生のうちから、理系の基礎を勉強しておけば、入学後が少し楽になるでしょう。
そもそも文系・理系問わず勉強が苦手な人や、なるべく大学以外に進学したい人は専門学校がおすすめです。
専門学校から心理カウンセラーを目指す場合、以下の資格取得を検討しましょう。
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・公認心理師
・GFI資格(グループエクササイズフィットネスインストラクター)
・保育士
・社会福祉主事
公認心理師を目指せる専門学校は、2024年現在「東京福祉専門学校」のみとなっています。ほかにも学科試験のない通信制大学への進学という手段もあるでしょう。
心理学部など、心理カウンセラーになるためには文系・理系どちらでも受験可能です。
しかし、先ほど解説したように進学後はどちらの科目もあります。ここでは、文系・理系それぞれを活かせる大学の学習内容を紹介します。
まずは文系出身者が、これまでの経験を活かして受講できる授業を紹介します。
ほとんどの大学は英語は必修科目となっています。
大学によって学習内容は異なりますが、レベル別にわれる場合や大学院受験に向けた授業を設置している大学もあるそうです。
公認心理師や臨床心理士を目指す場合、基本的には大学院進学が必須。大学院受験には英語の問題があるため、プラスαで英語の授業を取る学生もいるといわれています。
心理学の成り立ちを学ぶ「心理学概論」は心理学の歴史や基礎を学ぶ授業です。
大学によって少し名称は異なるかもしれませんが、心理学のメカニズムや「基礎心理学」と呼ばれる心理学を学びます。
科学的視点も必要ですが、どちらかといえば文系出身者が得意とする読解力や思考力が必要な授業でしょう。
どの大学にも、一般教養科目・教養科目が存在します。心理学部以外でも、教養科目で心理学を学べるようです。
心理学部を含む、心理カウンセラーを目指せる学部では次の科目が教養科目に該当します。
・哲学
・文学
・社会学
・経済学
・倫理学
・文化論
・キャリア開発/キャリアデザイン
どちらかといえば教養科目は文系が多いようですが、生理学や生物学など、理系の科目もあります。
心理カウンセラーを目指せる大学の学部や学科、コースによって専門科目は異なります。
たとえば、心理学部であれば以下の専門科目をよく見かけます。
・学習・言語心理学
・感情・人格心理学
・発達心理学
・心理的アセスメント
・教育・学校心理学
座学で受講する科目は、基礎の理解から応用までしっかり学びます。文系ならではの、読解力や言語力、文章力などを活かせるでしょう。
次に理系出身者が、これまでの経験を活かして受講できる授業を紹介します。
心理学部の統計は、文系・理系両方の知識が必要な授業です。
しかし、どちらかといえば数字に強い理系出身者の方が強みを活かして授業を受けられるでしょう。
心理学部では「心理統計」「心理統計法」という名称で、心理学実験や研究のデータを分析する際に必要な、度数分布やヒストグラム、散布度などを学びます。
心理学の研究で使われる代表的手法を学ぶ授業です。
心理学研究に必要な考え方を学び、観察法・面接法・質問紙法の事例やデータ収集法を勉強します。
文系ができないというわけではなく、考え方や代表的手法への取り組み方は、理系の知識や経験があると理解しやすいということです。
心理学実験の授業は、心理学の研究やアセスメントで使用されるさまざまな技法を学ぶ授業です。
課題発見能力や計画力など、理系の力が発揮されやすい授業でしょう。ただし、協調性や情報収集力、文章力も必要なので数字に強いだけでは難しく感じる人もいるかもしれません。
それでも各実験で勉強できる手法は、理系出身者だからこそ楽しめる物が多いと考えられます。
大学によって講義名は異なりますが、生理心理学や生理学、神経心理学は人間の脳を中心とした神経活動に関する授業となります。
文系の人は数字が苦手な人もいれば、脳機能などを覚えるのが苦手な人もいるでしょう。理系出身者は、基礎がある状態での受講になるため、理解しやすくなりますよ。
データ解析や統計法の応用として講義を開設している大学があります。
応用となるので3〜4年次から受講できる大学が多いそうです。必修ではない授業ですが、カウンセラーではなく研究職や企画職を目指す人は学んでおくことで、人間の心理を科学的に捉える力が身につきます。
ここからは、文系出身者が心理カウンセラーを目指す方法を紹介します。
この項目は主に、高校生もしくは、これから公認心理師を目指す社会人向けの情報です。
大学入試の方法は、学力検査だけではありません。
入学したい大学が理系を選択する必要がある場合は、高校生なら「総合型選抜」「学校推薦型入試」、社会人なら「社会人入試」がおすすめです。
総合型選抜とは、大学が求める学生像(アドミッションポリシー)と合う人材かどうかを評価する入試。選抜方法は、調査書以外に面接やプレゼンなど、大学によって方法は異なりますが学力試験を行うパターンは少ないようです。
学校推薦型選抜は、高校時代の様子から大学入学後の期待を込めて評価される入試。部活の実績や課外活動などで決まる公募と、高校内で選抜された人材がこれまで合格実績のある大学に応募する指定校の2種類があります。
社会人入試は、募集人数が「若干名」と表記されていることがありますが、一般入試を受ける前に腕試しとして受けてもいいでしょう。総合型選抜以上に募集している大学は少ないことと、選抜方法も大学によって全く異なるところだけ注意してください。
先述の通り、心理学部や心理系の学部はどちらかといえば文系です。文系科目で受けられる大学の方が多いでしょう。
しかし、志望校が絶対に文系だけで受験できるとは限りません。
きっと文系だろうと安心せず、志望校を決める際は、必ず入試科目を確認しましょう。一般的には、国語と外国語が必修で、「公民、地歴、数学」から1科目選ぶ大学が多いようです。
入試はクリアできても、カリキュラムが理系寄りだと追いつくのが大変になるかもしれません。
実験系カリキュラムが多いか判断するには、パンフレットや公式HPで公開しているカリキュラムを見るとわかりやすいです。
どの大学にも心理学実験の授業はありますが、細かな分類が多い大学や心理学部専用の実験室を作っている大学もあります。実際にやってみると実験は楽しいですが、実験や数字が苦手な人は、あらかじめ避けておくといいかもしれません。
一般入試で理系科目に挑戦したい人は、独学よりも塾や家庭教師に教えてもらいましょう。
入試のみに向けて、戦略的・効率的な勉強計画を一緒に考えてくれます。ただし、あまりにも理系科目が苦手な場合は、早めに方法や志望校を切り替えた方がいいというアドバイスもあるかもしれません。
文系から理系の大学に挑戦する人もいるので、無謀なことではないですが、かなり大変な方法であることは間違いないでしょう。
次は、理系出身者が心理カウンセラーを目指す方法を紹介します。
この項目も主に、高校生もしくは、今から公認心理師を目指す社会人向けの情報です。
文系受験の場合、外国語と国語が必須です。
そこに加えて、「地歴、公民、数学」から1科目選択する仕組みの大学をよく見かけます。
文系受験の数学には数Ⅲが含まれていないため、勉強量が減るという点で文系に変更(文転)しやすいといわれているのです。
いくら文転しやすくても、習っていない科目を独学で勉強するのは危険です。
必ず、塾や家庭教師に依頼して文系の科目を補いましょう。
心理学部はどちらかといえば文系の学部なので、文系科目で受験できる大学の方が多いといわれています。理系出身者が心理カウンセラーを目指すなら、文転して受験できる大学の選択肢を増やすのも方法の1つでしょう。
文転して大学受験する以外に、専門学校からカウンセラーを目指す方法もあります。
しかし、専門学校で目指せるカウンセラーは厳密には「ケースワーカー」「生活相談員」と呼ばれる職種です。
臨床心理士は専門学校から目指すことは難しく、公認心理師を目指せる専門学校も1校のみ。
理系で文転せずに専門学校に行く場合は、社会福祉士や精神保健福祉士の仕事内容をよく調べ、自分がやりたいことが実現できるか考えてみてください。
文系・理系関係なく、心理カウンセラーを目指すことはできます。
ここまでは、文系・理系を心理学部などで活かす方法や、心理カウンセラーになるにはどのような方法があるかを解説しました。ここでは文理関係なく、心理カウンセラーに求められるスキルを解説します。
カウンセラーに必要なコミュニケーション能力は、「聴く力」と「伝える力」、そして「汲み取る力」です。
コミュニケーション能力といえば明るくて話し上手な人をイメージすると思います。
しかし、本来のコミュニケション能力とは「伝える」「聴く」「読み解く(汲み取る)」ことが重要。面白いおしゃべりをする力ではありません。
特にカウンセラーの場合、相手が上手く言語化できないことも汲み取ったり、非言語のサインや様子をキャッチする力も必要です。
・聴く力(積極的傾聴)
話を聴きながら必要に応じて質問して、相手の自己理解を深めるスキルです
・伝える力(見解や相槌の言語化)
必要に応じて、客観的な見解を伝えたり、話しやすいよう相槌をうつスキルです
・汲み取る/読み取る力(観察力・分析力)
相談者は自分が何を考えているかわからなくて来ていることがよくあります
カウンセラーは相手の言葉や非言語の様子から、状況や話を整理するスキルが必要です
相談者はひどく傷ついている場合もあれば、問題に向き合いたくないときや、うまく言葉が出ないときもあります。
そんなときに聞き手に焦らされたらどうなるでしょう。もっとつらい思いをしてしまうかもしれません。
ますます言いにくくなってしまうこともあるでしょう。
心理カウンセラーは、相談者の悩みに寄り添い、じっくりと根気強く話を聴く力が必要です。
また、カウンセリングに来たとしても、他者に対して警戒心を持っているとカウンセラーにも心を開けない人もいます。そのような人との信頼関係を築くのは、なかなか時間がかかることでしょう。心理カウンセラーには粘り強さも必要です。
コミュニケーション能力でも解説した、分析する力や冷静に判断する力は心理カウンセラーにとって重要なスキルです。
心理カウンセラーは、相談者の話をまともに聞かず安易に「○○してください」とアドバイスすることはありません。また、アドバイスを求められても必要に応じて提案にとどめたり、相談者自身に考えるよう促します。
すべては相談者のためですが、その必要性を判断するためにも、論理的思考や客観的視点は重要となります。
心理カウンセラーは、資格を取って終わりではありません。
臨床心理士の場合は5年に1回の更新があり、定期的に勉強会や学会に参加する必要があります。更新のためではなくても、相談者の状態に合わせた適切な関わりができるよう、勉強はし続けるものとされています。
つまり、学び続けることが心理カウンセラーとしての仕事の1つなのです。
文系・理系問わず、新しい知識や高度な専門知識の習得に関心のある人も心理カウンセラーに向いています。
心理カウンセラーは相談者の感情や状況に感情移入しすぎないよう、注意しなければなりません。
カウンセラーは親身に相手の話を聴きますが、感情移入してしまっては冷静な判断力も失われてしまいます。
また、心理カウンセラーをやめる人のなかには「精神的に不安定になってしまった」「話を聴くのがつらくなってしまった」という方もいるようです。心理カウンセラーとは優しくて愛情深いだけで務まる仕事ではないということ。
しかし、自分が悩んできたからカウンセラーになりたい人も多いですよね。自己コントロール力が今はない人も、勉強したり自分自身もカウンセリングを受けるなかで、自己コントロール力をつけることはできるでしょう。
心理カウンセラーは人の話に耳を傾ける仕事です。
相談者は心理カウンセラーが経験したことのないような仕事や状況を経験している場合や、心理カウンセラーの知らない世界や関心がなかった領域の話をするかもしれません。
そのようなときでも、「相談者はどんなことを話したいか」「どのようなことに悩んでいるのか」を汲み取って、必要に応じて質問をする必要があります。人に寄り添うためには、人への興味関心は欠かせません。
心理カウンセラーになるには、臨床心理士や公認心理師のように大学を出て資格を取得する方法もあります。
大学や大学院へ進学すると、その分の時間やお金がかかりますよね。
病院や福祉施設など、臨床心理士や公認心理師だからこそ就ける仕事以外を目指している人は、次のような方法もおすすめです。
臨床心理士や公認心理師になるには、高校生も主婦や社会人も6年ほどかかります。
時間がかかるだけでなく、大学や大学院の費用もかかるため、人によっては長い道のりに感じるでしょう。
心理カウンセラーに近い職種に精神保健福祉士や社会福祉士があります。全く未経験で目指す場合は4年で試験を受けられるので、候補の1つにしてもいいかもしれません。
ほかにも、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントは「企業やキャリア関連のカウンセラー」として活躍できる資格なので、産業分野に関心のある人は検討してみましょう。
医療や福祉などではなく、フリーランスや起業して働きたい人は次の資格取得がおすすめです。
メンタル士心理カウンセラーは、心理学とカウンセリングの知識を有している証明となる資格です。独学でも受験できますが、通信講座もあります。
資格取得後は、カルチャースクール講師やカウンセリングルームを立ち上げて、心理カウンセラーとして活躍する人もいれば、今の職場のメンタルケア担当などを兼務する人などもいます。
チャイルド心理カウンセラーは、子どもの心理や発達に関する知識を有している証明となる資格です。メンタル士心理カウンセラー同様に、通信講座もあります。
資格取得後は、チャイルド心理カウンセラーとして、公的機関や民間施設で活躍する人もいれば、自分でサービスを作ってフリーランスや起業家として活躍する人もいます。
そのほかにも、現在保育士や子どもに関する仕事をしている人が、今の仕事に役立てるために取得しているケースもあります。
マインドフルネスセラピストは、マインドフルネス瞑想に関する知識や実施方法を有している証明となる資格です。こちらの資格にも通信講座があります。
日本は他国に比べてストレス社会といわれている国。マインドフルネスは「今、ここ」に集中することで、リラックス効果や集中力アップを得られる方法です。
この資格を取得した後は、マインドフルネスを専門とするカウンセラー・セラピストとして活躍する人もいれば、ヨガやピラティスインストラクターの資格と合わせて活躍している人もいます。
心理カウンセラーになるには、文系・理系は関係ありません。
大学院進学が必須というイメージもありますが、公認心理師や臨床心理士以外の道に進む人は、大学や大学院に進学しなくても心理カウンセラーを名乗れます。
自分が目指したい方向を明確にして、目標を叶えるために必要な知識を勉強したり、資格を取得していきましょう。
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