「お腹周りが気になる…ダイエットしたいけど何か良い方法はないのかな?」「お金はあまりかけずに、料理を美味しく見せるにはどうしたらいいの?」こんな悩みをお持ちの方は「色の力」を借りることで、食欲を調整できます。
色には、パッと見た時に人間に一定の印象を与える力があり、これは「色彩効果」と呼ばれています。色彩効果の中には人間の「食欲」に影響するものもあるので、そういった色を周囲の環境に取り入れることでお悩み解決に結びつくかもしれません。
そこで、今回の記事では、「食欲と色にはどのような関係があるのか」「食欲が増幅する色や減退する色」「料理を美味しく見せる3つの基本」について詳しく紹介していきたいと思います。
この見出しでは、色が食欲にどんな風に影響を与えるのかについて説明します。目から入る色が、情報としてどの程度のウェイトがあるのでしょうか?
人間には、「視覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」「聴覚」の五感というものが備わっています。そう、「目」「鼻」「皮膚」「舌」「耳」のことですね。それらの中で、料理を一目見た時に「美味しそうだな!」と判断するのに一番影響している器官はどれだと思いますか?
答えは「視覚」です。人間の五感の中で「視覚」が87%というほとんどの情報を占めているので、ちょっと料理の色合いが変わるだけで美味しそうに思えたり不味そうに思えたりするのです。
このように、人間の五感の9割近くが目から入ってくる「色」に占められているので、色の影響はとても大きいことがわかります。「食欲が湧くかどうかは色次第」といっても過言ではないでしょう。
料理をひと目見た時の印象は、他人を見た時の第一印象と似ています。お皿に盛られた料理をパッと見た時に「美味しそう!食べてみたい!」と思うのと、初対面の人と会った時に「カッコいい」「可愛い」と感じるようなものです。
その際に一番影響が大きいのは目から入ってくる「色」なのであって、一口食べてみて「味付けが上手だからお代わりしてもっと食べたい」と思ったとすると、それは「味覚」という補完的な要素が加わったからですね。同じように、初対面の人としばらくお喋りしているうちに「この人の声が好き。もっと話していたい!」と感じたとすれば、それは「聴覚」を通した情報が加わったためです。
食欲というのは、視覚以外の補完的な情報にも1割くらいは影響を受けますが、あくまで約9割は目から入ってくる色などの情報によって左右されるということを念頭においてください。
「せっかくの料理なんだから美味しく見せたいけど、彩りを変えるのに適当な食材がない…」という場合でも諦める必要はありません。お皿やランチョンマットの色を変えるだけで美味しそうに見せることができるんですよ。
かつてこんな実験をした人がいました。同じカレーを、それぞれ赤・青・水色・黄色・白・黒・緑・紫・ピンク・オレンジの10色のテーブルクロスの上に置き、どれが一番美味しそうに見えるかインタビューしてみたのです。
美味しそうと答えた人が多かったのは、どんなタイプの色だと思いますか?結果は「赤や黄色・オレンジなどの暖色系」となったのです。これは、暖色系の色には「温かさ」や「興奮」といった印象を与える効果があり、食欲が増進されたことが原因だと考えられています。
反対に、青や水色などの「寒色系」の色には、「冷たさ」や「冷静さ」を与える色彩効果があるので、テンションが下がって食欲が抑制されてしまったのでしょう。今回はランチョンマットの実験を例に出してみましたが、お皿の色を暖色系に変えても同じような効果が期待できるので、ぜひ試してみてください。
ここでは、料理を美味しそうに見せてくれる色について詳しく紹介していきたいと思います。お店でお客さんに料理を提供する時や、家族で自宅の食卓を囲んで団欒する時に、食欲増進効果の力を借りて美味しい食事を楽しみたいですよね。
赤やオレンジ、黄色などの鮮やかで明るい色を見ると、血圧や脈拍数が上昇し、体温も上がって食欲増進につながります。ある研究によると、赤系の色を眺めている人は5分以内に身体の表面温度が2〜3度上がることが実証されているくらいです。
このような「暖色系」の色には、料理の見栄えを良くして美味しそうな印象を与える効果があるので、「体調が優れなくて食欲がない」「大切な人に美味しそうな料理をたくさん食べて欲しい」といった時に、持ってこいなのです。
単に赤色に染めるのではなく、他の色との組み合わせによって食欲増進効果をよりアップさせることもできます。例えばレタスやキャベツ、きゅうりなどの緑色をした野菜でサラダを作った時に、プチトマトやトマトスライスを周りに盛り付ければ彩りが良くなって美味しそうに見えると思いませんか?
ただのグリーンサラダだと見た目も味気なくて美味しそうには見えませんが、少し赤を取り入れるとお互いに色を引き立て合って「食べたい!」と思うようになるのです。
ここまで記事を読まれた方には想像がつくかもしれまんが、暖色系とは逆の「寒色系」の色には、食欲を減退させる色彩効果があります。
「青」や「青緑」「紫」などを見ると、暖色系とは逆に体温や血圧が下がり、いわゆる「テンションダウン」状態になってしまうのです。そうなると血流も悪くなり、内臓の働きも鈍るので食欲は減退してしまうという結果を招きます。
このような青系の色は「寒色系」と呼ばれていて、読んで字のごとく「寒い」印象を想起させる色のことを指します。実際に、青い食卓の上に青いテーブルクロスが引かれていて、お皿もコップも全て青いという状況に置かれて青い食べ物が出された時のことを想像してみてください。食べようと思う気は起こりますか?
青を見ると食欲が落ちる原因としては他にもあって、青が「自然界に存在しない色」であることも理由です。もちろん、魚の鱗は青い色を帯びていますし、野菜だと茄子の表面などは青っぽい色をしていて、完全に青が存在しないということではありません。
とは言うものの、魚を青い皮のまま食べることは少なく、普通は焼いてこんがりした色になったり、皮をむいて中の白身を食べますよね。茄子だって青というよりは紫がかった黒です。このように、青い色は存在しているとしても直接青いまま口に運ぶ機会が少ないので、人間の脳が青い色を食べ物として認識しないようにできているため、青は食欲を想起させないという仕組みになっているのです。
グリーンサラダに赤いトマトを組み合わせると美味しく見えるということには先ほど触れましたが、色には「3つの調和」というものが存在しますので、それらを活用した料理法を紹介していきます。
「赤と緑」「青とオレンジ」「白と黒」のように、色相環において反対に位置する色のことを「補色」の関係にあると言います。補色を活用すればお互いの色を引き立てあう効果がありますので、料理で用いると両方の色が引き立って美味しそうに見せることができます。
具体的には、先ほどの「サラダ+トマト」や、「マグロの刺身+大葉」などが補色調和を活かした料理法だといえます。
茶色と黄色、水色とすみれ色のように、似通ったタイプの色のことを「類似色」といいます。類似色調和を用いると、見ている人に安心感が生まれ、色合いが調和して料理に安定感が出ます。例えば、「ぶり大根」などは、煮付けることによってぶりも大根も茶色系の色がついて、調和が生まれます。
同じ色合いに対して濃淡を使って調和させることを「同系色調和」といい、この方法も見た人に安心感を与えてくれる効果があります。具体例として、鶏肉とごぼうを組み合わせて煮物を作れば、鶏肉もごぼうも同じ茶色系統の色で、濃淡を活かした同系色調和を生じさせることができます。
今回の記事では、「食欲が増幅する色と減退する色」について紹介しました。人間は視覚から得られる情報が五感のほとんどを占めているので、目に映る「色」をうまく使えば、食べ物を美味しそうに見せたり、食欲を抑えてダイエットにつなげたりできます。