カラーセラピーとは、色彩を活用した心理療法のことであり、相手が選んだ色から心理状態を読み取ることによって、悩みを解消したり癒しを与えたりする効果があります。カラーセラピストは、色彩の力を活用することで相談者の心身の健康状態を整えていく専門家です。今回は、カラーセラピーの効果や種類のほか、カラーセラピストになるための方法やメリットなどについて解説していきます。
カラーセラピーとは、相手が選んだ色を通して心理状態を読み取ることで、悩みを解消したり癒しを与えたりする心理療法のことで、「色彩療法」とも呼ばれます。その歴史や成り立ちについて簡単に見ていきましょう。
カラーセラピーの始まりは、古代エジプト時代に遡ります。当時のヘリオポリスでおこなわれていたヘリオセラピー(太陽療法)がカラーセラピーの起源になったという説が一般的です。
また、古代ギリシャではヒポクラテスやピタゴラスが色を治療に活用していたと言われています。中世ヨーロッパにおいては、教会のステンドグラスの光が病人を癒すと考えられていました。近代では、米国の医師であるエドウィン・バビットが「カラーヒーリング」の先駆者として知られており、色の光を使って治療する装置を開発しました。このように古くから様々な研究が進められ、現代では数多くのカラーセラピーの技法が知られるようになっています。
カラーセラピーとは、近年注目されている心理療法の一つです。注目されている背景の一つとしては、色彩が脳に影響を与えることが科学的に解明されてきたことが大きいでしょう。視覚情報は網膜から脳の視覚野に伝達され、脳全体に影響を及ぼします。様々な研究によって、色彩は私たちの感情や思考に影響を与えることが示唆されています。
たとえば、赤は活力やエネルギーを高め、青は冷静さや集中力を高める効果があるとされています。黄色は創造性を刺激し、緑は安らぎを与える効果があると言われています。
現代は「ストレス社会」と言われるように、様々な悩みや不安を抱える人が増えてます。過度なストレスにより心身のコンディションを崩してしまう人も少なくありません。こうしたなか、カラーセラピーの効果に期待が集まっています。今、カラーセラピーは色彩の持つ力を使って心と体の調和を取り戻す心理療法として、メンタルケアに用いられるほか、治療やリハビリテーションのプログラムとしても活用されるようになっています。
色彩には、私たちの感情や思考に様々な影響を与える力があります。実際に、私たちの周りにも、色彩の力を活用している事例が数多く見受けられます。
広く知られているのが、暖色系の色には食欲を増進させる効果があるということです。そのため、多くの飲食店が内外装に赤やオレンジを使うことで、お客さんの来店や注文を促そうとしています。また、寒色系の色には集中力を高める効果があることが知られています。そのため、学習塾などでは青を効果的に使うことで、生徒の集中力アップを促しているところもあります。
カラーセラピーにおいて、相談者が選択した色はその人の内面を反映しており、その人の本質を知る手がかりになるものです。カラーセラピストは、様々な色が人間の深層心理に与える影響を熟知しています。こうした色彩の力を活用することで相談者の心身の健康状態を整えていくのがカラーセラピストの役割です。色彩が持つ効果をうまく活用し、相談者の悩みや課題にアプローチし、心のバランスを取り戻すサポートをしていきます。
「自分の気持ちが分からない」という人は少なくありませんが、そうした人にもカラーセラピーがおすすめです。カラーセラピーを受けることで、色を通して心の奥底にある潜在意識や抑えている気持ちと向き合うことができます。
自律神経のバランスが崩れると、私たちは心や体に様々な不調をきたします。特に、ストレスや疲労が蓄積されたときに自律神経のバランスが崩れやすく、健康上のリスクが高まります。
色彩には、自律神経を調整する力があると言われており、カラーセラピーは、自律神経の乱れを整える手段の一つとして活用されています。カラーセラピストは、色を用いて相談者の感情に働きかけることで、ストレスの緩和や不安の解消を図ります。
たとえば、青は興奮を沈め、心を落ち着かせたり、リラックスさせたりする効果があると言われています。赤は精神を興奮させたり、強いエネルギーをもたらしたりする効果があるとされています。こうした色の持つ効果をうまく活用することで、自律神経のバランスを整えることができるのです。
カラーセラピーの代表的な方法・システムについてご説明します。
センセーションカラーセラピーとは、カナダのアロマセラピストであるステファニー・ファレルによって考案されたカラーセラピーの技法です。
センセーションカラーセラピーは、アロマオイルが入った10色のカラーボトルを使用します。相談者は、そのなかから直感的に気になる色や惹かれる色を選びます。カラーセラピストは、相談者が選んだ色と選ばなかった色から相談者の心理状態を読み解いていきます。そして、前向きになれる色や心を鎮められる色などを導き出すことで、相談者の心身のバランスを整えていきます。
センセーションカラーセラピーはアロマオイルが含まれたカラーボトルを使うため、香りによるヒーリング効果も期待できます。
カラーミラーは、南アフリカで生まれたカラーセラピーの一つの技法です。カラーミラーでは、59本のカラーボトルを使って診断をおこないます。59本のカラーボトルは、「シンボルネームボトル」と呼ばれる36本と、「チャクラボトル」と呼ばれる15本、「ガイヤボトル」と呼ばれる8本があり、それぞれのボトルに意味があります。
相談者はすべてのボトルのなかから自分の好きな色を好きな数だけ選び、自由に並べていきます。カラーセラピストは、選ばれた色やボトルの配置によって相談者の心理分析をおこない、現在の状態を理解します。そのうえで、相談者が選んだボトルの意味に基づいてアドバイスをします。
カラーミラーによるカラーセラピーを受けることで、相談者は自分自身の内面と向き合い、悩みや課題に対処するための気付きを得ることができます。
ヒーリングオーラスプレーは、2014年にイギリスで生まれた比較的新しいカラーセラピーの技法の一つです。ヒーリングオーラスプレーでは合計44本のカラースプレーを使い、相談者は全部のなかから好みの3本を選びます。カラーセラピストは、相談者が選んだ3本のカラースプレーから、その人の過去、現在、未来を読み解き、その人にとって最適なヒーリング方法を導いていきます。
ヒーリングオーラスプレーの各スプレーには異なるエッセンシャルオイルが含まれており、美しい色彩と香りによってヒーリングを促進する効果もあります。
ヒーリングオーラスプレーは、カラーミラーの発展形とも言える技法なので、カラーミラーを学んだことがある方にとっては比較的親しみやすい技法だと言えるでしょう。
イリスカラーは、日本で生まれたカラーセラピーの技法の一つです。色と天然石の組み合わせによって独自のヒーリング効果が期待できる革新的な技法です。
イリスカラーでは、天然石(パワーストーン)が入った10本のカラーボトルを使います。相談者は、そのなかから直感で好みのカラーボトルを選びます。カラーセラピストは、相談者が選んだカラーボトルの色や天然石が持つ意味・メッセージを伝えることで、相談者の深層心理に隠れていた思いや感情を引き出し、前向きな気付きを与えていきます。
イリスカラーによるカラーセラピーを受けることで、相談者は自分でも気付いていなかった深層心理を知ることができ、自己理解をより深めることができます。
カラーセラピーの技法は上記のほかにもたくさんあります。カラーセラピーの種類と効果については、以下のページでも詳しく解説しています。
カラーセラピーにおける色の意味や色彩心理についてご説明します。私たちが色彩から想起するイメージや感情は、次の3つから構成されています。
根源的色彩感情とは、人間が生まれつき持っている色に対する感情のことです。時代や地域、文化や経験などに左右されず、人間に共通した普遍的な感情です。たとえば、赤から「火」や「血」を連想し、「危険」「エネルギー」といったイメージをするのは、根源的色彩感情だと言えます。
文化的色彩象徴とは、文化や宗教によって色に与えられたイメージのことです。そのため、国や地域が変われば、色が持つイメージが変わることもあります。たとえば、日本では高貴さの象徴とされる「紫」ですが、カトリック圏では「苦悩」や「後悔」を意味します。また、米国では名誉ある色だとされています。
個人的体験とは、過去の個人的な経験や記憶によって左右される色彩のイメージです。たとえば、赤い服を着ているときに楽しい思い出がある人にとって赤はハッピーな色ですが、赤い車にひかれて大ケガをしたことがある人にとっては、赤は不吉で怖い色かもしれません。
赤は、「情熱」「エネルギー」「興奮」「活力」といったイメージを持つ色です。目に飛び込んできやすい色であり、視覚から脳に強い刺激を与えます。情熱をかき立て、行動力を促す力や、活力を与え、モチベーションを向上させる力があると言われます。
オレンジは、「喜び」「陽気」「社交性」「創造性」といったイメージを持つ色です。あたたかみを感じさせ、親しみやすい雰囲気を醸成します。コミュニケーションを促し、人間関係を円滑にする力や、創造力を刺激する力があると言われます。
紫は、「神秘」「高貴」「精神性」「独創性」といったイメージを持つ色です。高級感のある色であり、知性や精神性を高める色だとされています。直感力を高め、独創的なアイデアを創出する力や、精神を落ち着かせ、集中力を高める力があると言われます。
上記以外の色にも特有の力があります。色の持つ力や効果については、以下のページで詳しく解説してます。
カラーセラピーによって期待される主な効果についてご説明します。
カラーセラピーでは、色が持つ力を活用して、相談者に自分の内面を見つめさせ、現状の課題や本心に気付かせることで、心のモヤモヤや悩みの解消を図っていきます。また、相談者が本来持っている能力や感情を引き出すことで、心の状態を整えていきます。こうしたアプローチを通して、相談者に安心感やリラックス、癒しをもたらし、心の奥深くにある不安やストレスを軽減させるのが、カラーセラピーの一つの効果です。
現代社会は、他者や周囲と向き合うことが多く、自分と向き合う時間や機会は限られています。こうした時代において、自分の内面に向き合い、本来の気持ちや願望、不満を浮き彫りにできるのがカラーセラピーです。カラーセラピーにおいて相談者が直感的に選んだ色は、その人の内面的な特性や感情を反映しています。その色が持つ意味や効果を通して、相談者は自分の本心を理解し、個性や強みを認識することができます。
自分の内面から目をそらして過ごしていると、抱えている問題の本質や原因が見えにくくなってしまいます。カラーセラピーでは、特定の色を選択した背景にある感情や思考パターンを明らかにすることで、問題解決への糸口を見いだしていきます。そして、相談者が抱えていた悩みの軽減・解決を促していきます。
悩みやストレスが過剰になると、やがて限界を迎え、心身に不調をきたすおそれがあります。カラーセラピーによって悩みやストレスの軽減を図ることができれば、こうした不調を未然に防ぐことができます。
現代社会は、SNSの一般化によって自分と他者を比較するシーンが増えたことで、自己肯定感が下がる人が増えていると言われます。自己肯定感が下がると、自分に自信が持てないために積極的に行動できなくなり、さらに自己肯定感が低下するという悪循環に陥ります。こうした悪循環を断ち切る意味でも、カラーセラピーは有効です。
カラーセラピーでは、相談者が選んだ色の意味を通して、心の内に眠る才能やポテンシャルを発見するきっかけを提供します。自分を認める手がかりが見つかることで、相談者は自己肯定感が高まり、未来をポジティブに捉えられるようになるでしょう。
カラーセラピーを受けることで、自律神経のバランスが良くなると言われます。色彩は人の感情や心理に影響を与える効果があり、特定の色が自律神経に与える影響にも注目が集まっています。
有名な例としては、興奮している状態のときに青や緑を目にすることで、自律神経が安定し、リラックス効果が得られることが知られています。このように、カラーセラピーによって自律神経のバランスが整うことで、心身の健康を維持しやすくなります。
カラーセラピストになるために国家資格や民間資格の取得は不要ですが、資格取得のプロセスを通して、カラーセラピストとして活躍するために必要な知識・スキルを習得することができます。カラーセラピストの資格なら、日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)の「カラーセラピー資格認定試験[SH1][龍白2]」がおすすめです。
日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)の「カラーセラピー資格認定試験」は、カラーセラピストとして適切なアドバイスを提供できる能力を有していることを認定するための試験です。カラーセラピーは、色彩が心理的・感情的・身体的な健康に与える影響に焦点を当てた心理療法であり、試験ではこうした専門知識を確実に理解し、実践できる能力があるかどうかが問われます。
カラーセラピー資格認定試験は、独学で合格を目指すこともできますが、どうしても時間がかかりがちです。短期間で資格を取得したいなら、通信講座を受講するのがおすすめです。カラーセラピー資格認定試験に特化した通信講座であれば、最短2ヶ月の勉強で資格取得が可能です。
カラーセラピー資格認定試験は、在宅での受験となります。インターネットで受験を申し込み、決められた期間内に解答を提出します。合格基準は正答率70%以上です。カラーセラピー資格認定試験の受験を希望する方は、以下のいずれかのサイトからお申し込みください。
カラーセラピー資格認定試験に合格したい方には、通信講座をおすすめします。スクール・専門学校に通うという選択肢もありますが、仕事をしている方や家事・育児で忙しい方などは、スクール・専門学校に通う時間が負担になります。その点、通信講座であれば、自宅で空いた時間に自分のペースで学習を進めることができます。仕事をしている方でも、働きながら無理なく学習を進め、資格取得を目指すことが可能です。
カラーセラピストの仕事は、相談者とのコミュニケーションがベースになります。もちろん、カラーセラピーの知識・スキルがあることは大前提になりますが、それと同じくらい重要なのがコミュニケーションスキルです。
カラーセラピーによって相談者を問題解決へと導いていくためには、まず相談者と信頼関係を構築する必要があり、そのためには、高度なコミュニケーション能力が欠かせません。日頃から、傾聴力や共感力、洞察力や質問力を意識して、コミュニケーション能力を磨いておきましょう。
カラーセラピーや心理学に関する知識・スキルを習得し、多くの人の幸福や成長に貢献しませんか。資格取得を通して、カラーセラピストとしての第一歩を踏み出すみなさんを応援しています。