陰ヨガとは?陽ヨガとの違いや効果を解説

陰ヨガとは?陽ヨガとの違いや効果を解説

記事作成日:2024.12.25
陰ヨガとは?陽ヨガとの違いや効果を解説

ヨガは大別すると、陽ヨガ・陰ヨガと2種類に区分できます。
とくに陰ヨガは、中国の「陰陽五行思想」に基づいた考え方で構成され、股関節の柔軟性を高めるポーズを中心におこなうものです。
ほとんどが座位でのポーズで、運動量は少ないヨガとされています。
陰ヨガでは、じっと動かずに長い時間ポーズをキープしたりします。
ストレス解消、ダイエット、体型維持などの目的を持って女性に注目されているヨガの中で、徐々に陰ヨガにも注目が集まってきました。
そのような静かなブームに乗っている陰ヨガとは、本来どのようなヨガなのでしょうか。
本記事は、陰ヨガの内容にスポットを当てて特集する内容です。
陰ヨガによる効果や代表的なポーズなども解説します。
ヨガに取り組んでいる人も、これから始めたいと考えている人も、ぜひ参考にしてみてください。

目次

陰ヨガとはなにか

陰ヨガは、1つのアーサナ(ポーズ)を長時間キープする方法で、身体の深部をゆっ栗と刺激を加えていくタイプのヨガです。
身体の深異部分の結合組織、骨などへの意識が向いていくので、それだけポーズを長くキープする特徴があります。
さまざまなヨガがある中でも、運動量が極めて少なくポーズの構成もシンプルです。
リラックス効果が高まり効果的なので、初心者・高齢者でも取り組みやすいものとされています。
鍛える部位が股関節や脊柱、肩といった関節が多く、柔軟性をより高めたい人にもおすすめなヨガです。

1-1陰ヨガの歴史

実は陰ヨガの歴史は意外にも浅いのです。
1980年代、カリフォルニアで誕生し広まった新しいヨガとされています。
アメリカの格闘家だったポーリー・ジンク氏が考案し始めました。
陰ヨガのベースとなっている思想は、中国三代宗教のひとつ「道教」で、5000年以上の歴史をもった伝統的な中国式「タオイストヨガ」の流派を汲んでいるとされています。
そのため現代的ヨガでありつつも、5000年以上前の中国の伝統的な考え方も備えているヨガです。

1-2陰ヨガ実践の基本形

陰ヨガは、1つのポーズに対して、3〜5分の時間を費やします。
ポーズごとに深い瞑想時間も加えることにより、ポーズの効果や体の刺激への反応を実感できるのがポイントです。
体内の気の通り道とされる経絡を刺激するヨガでもあります。
体内の経絡では、血液・体液の他にプラーナ(気)が通じているという考えがあり、経絡を刺激することにより血行を促進し、全身の気の流れを整える効果が期待できるものです。
陰ヨガでは重要とされる5つの経絡へアプローチし、内臓の働きを活性化していきます。

陰陽理論とは

陰ヨガを理解するためには、陰陽理論を知っていくことが重要です。
陰と陽のバランスを重視した考え方を指し、この世界の全てのものには「陰」と「陽」の部分が成り立っているとされています。
陽と聴いてイメージするものは太陽、男性、表面の皮膚や筋肉などで、陰とされているものは月、女性、筋肉のより奥にある結合組織や骨などを例としたものです。
お互いが対局となりつつも、均衡を保ちバランスをとることで成立しています。
現代社会を振り返ると、あまりにも陽的な要素ばかりを重視しているようです。
そこで、陰ヨガによる陰の要素を採用すれば、陰陽が調和されて心身バランスを整えることができます。
また、陰陽五行説という考えがあります。
全てのものが5つの要素に分類されるという概念で、それらは互いに影響し合っているというものです。
陰陽五行説によれば、季節は四季ではなく「五季」になり、内臓器官も五臓とされています。
肝、心、脾、肺、腎の五臓が活発となる季節があり、陰ヨガは陰陽五行説を基にしたエネルギーの調節をおこなうという思想で形成されています。 

陰ヨガの効果

陰ヨガは、静的なポーズ中心で心身リラックスや瞑想力向上、柔軟性向上などの効果が期待できるヨガです。
長い時間をかけてポーズをキープするため、自律神経が整い集中力が高まります。
そして深いリラックス効果が期待できるでしょう。
他にも、陰ヨガからさまざまな効果が期待できます。
ここでは、陰ヨガが持っている効果について解説しましょう。

3-1可動域を広げ回復させる

陰ヨガは可動域を広げるのに効果的です。
可動域では、筋肉が滑らかに動けるように結合組織の層が働く必要があります。
ところが、結合組織というのは毎日の姿勢の癖、加齢、ケガなどで劣化する可能性が考えられるのです。
癒着が生じて、筋肉の表面どうしがくっついて動きが制限されます。
癒着ができると栄養やエネルギーの流れが滞り痛みが生じ、動きが悪くなるでしょう。
そこで陰ヨガを用いて、筋肉と筋膜を静かに伸ばせるポーズを保つことで癒着を解消するのに役立ちます。
軽いショックを与え、関節と結合組織の可動域増大が目的です。

3-2全身の組織に活力を与える

陰ヨガは全身組織の活性化に役立ちます。
古い組織は蘇生する機能もあり、陰ヨガのポーズによって組織が伸びて潤い始めるという考えに基づいています。
組織の収縮やねじれを意図的におこない、体からの反応をキャッチしながら緩やかに進行していくのが陰ヨガです。
そのため筋トレのように強烈なストレスも疲労感もなく、お年寄りや子供でもおこなうことが可能です。

3-3体内の深い部分まで感覚的に知ることができる

陰ヨガは難しい概念に関係なくシンプルにおこなえるヨガです。
常に体へ意識を向けて、自分の存在感を味わえるのが魅力といえるでしょう。
陰ヨガを通して体の奥深く、内なる働きに波長を合わせながら、呼吸機能・循環機能・筋肉や関節の内側を感覚的にキャッチします。
全身の生理学的過程への意識を高めることが可能です。

3-4静かな時間を満喫できる

陰ヨガは普通のヨガポーズ以上にポーズを保つことになり、その時間を静かに嗜めるのが魅力です。
今ここへの集中ができるので、ポーズを保っている間は日常生活では得られない至福な時を経験できることでしょう。
納期、緊急、やるべきことなど、現代人は何かと追い込まれ気味です。
少なくとも陰ヨガの静かな時間は、意図的に休息することができます。

3-5自分自身を労る気持ちになる

陰ヨガを通じて、より自分を労ろうという気持ちになれるでしょう。
どのような人間にも「体」「心」「感情」「精神」の側面があります。
幸せを実感するためには、各側面が自分なりに充実していなければ成立しないでしょう。
陰ヨガは自分自身を客観的に捉え、静める機会を得ることができます。
ポーズをキープしながら姿勢を決めて、体が発っせられる声に対応することで、自分なりのケアになっているのです。

3-6現状での感情に向き合える

陰ヨガによって、感情を捉えることができるでしょう。
人はどうしても感情に支配されてしまいます。
怒りや喜びで一喜一憂する日々を送り続けています。
しかし陰ヨガをおこなう時間は、繊細な感情や記憶などが浮かんできながらも、ポーズを保持することで観察できるのが魅力です。
一時的な感情に囚われて反応しない健全な状態にあるといえるでしょう。

3-7心的ストレスへの耐性ができる

陰ヨガのポーズを数分間保つことで、しばし不安が過ってくる場合もあります。
そのような不安にも寄り添う気持ちであれば次第に順応することができるでしょう。
陰ヨガは、「諦め」がテーマの一つだという人もいます。
独りよがりな欲求を諦めることも、実は生きる上でも大切なことです。
生活にも応用できる教訓にもなり、心のもやもやなどの浮き沈みに気をとらわれないような訓練にもなります。
潔くなりストレスを受けにくい性格に成長できるでしょう。

3-8副交感神経が優位になる

陰ヨガをおこなうと副交感神経が優位になります。
横隔膜を使った腹式呼吸により、副交感神経を優位にするのに効果的だからです。
副交感神経を活性化させると、ストレスや緊張、血圧、睡眠、消化や免疫機能、ホルモンなどへよい影響を及ぼすとされています。
しかし現代人のほとんどは、副交感神経の活性化が不十分です。
対局にある交感神経のほうが過剰に働いている毎日を過ごしています。
腹式呼吸はこの状態を簡単に改善する方法です。
注意深く腹部から呼吸をするとリラクゼーションの波が全身に拡がる感覚を知ることができるでしょう。
額あたりに刺激をキャッチし脳がリラックスし始めます。
陰ヨガをさらに深めていくにつれ、呼吸のペースは落ち着き、副交感神経へと反応していくからです。

3-9瞑想状態に入りやすくなる

陰ヨガは瞑想を誘う効果が期待できます。
陰ヨガによって瞑想の周波数を捉える準備が整うとされているからです。
人は常にさまざまな考えが浮かび消えることで、心が乱れていくことがあります。
自分自身のことを自分が一番わかっていません。
陰ヨガを通じて体を静止する機会を作り出すと、脳から不要な考えを排除してクリアな状況を作り出せます。
やがて瞑想などに活用すれば、本来の自分をみつめることができるでしょう。

3-10陰と陽のバランス感覚がよくなる

陰ヨガによって、プラスマイナスのバランスを保つことができます。
自然を含めた世の中のすべては、調和を保っているというのが古くからの考えです。
陰陽のシンボルや陰陽太極図などで代表的な、白と黒の形が絶妙にバランスを取って表現されています。
多くの人は誤解をしていて、能動的な陽の部分ばかりを追いかけて生活を送っているので、内向きな心を育てる時間を見失っているのです。
すると時間の経過により心身に悪影響をもたらしてしまうでしょう。
陰ヨガの理論を知ることで、バランス感覚の重要さを理解できるので、全体を公平に捉えるようになるでしょう。

陰ヨガと陽ヨガの違い

陰ヨガと陽ヨガの違いは明らかです。
筋肉をしっかりと使いながら、比較的運動量が多いヨガは「陽ヨガ」とされています。
例えば、アシュタンガヨガ、ハタヨガ、ヴィンヤサヨガなどのような、運動量が高めなものが該当するでしょう。
一方で、陰ヨガは落ち着いた動きや静的なものです。
ゆっくりと時間の流れを捉え自分に委ねます。
呼吸や動きも身を委ねていく手法です。
現代的発想で考案されたヨガなので、忙しさにかまけている現代人にピッタリといえるでしょう。

陰ヨガにおすすめなタイプの人

陰ヨガはどのようなタイプの人に最適なのでしょうか。
ここでは、一般的に陰ヨガへ取り組むのに向いている人の特徴を解説していきましょう。

5-1全くのヨガ初心者

ヨガを実践することに興味がありながら、過去にやったことのない初心者ほど陰ヨガに向いているタイプはないでしょう。
初めてのヨガが陰ヨガであれば、素直にレッスンを受けることができるからです。
陰ヨガには激しい動きが少ないため、初心者でも始めやすいとされています。

5-2常に疲労感がある人

日頃から疲労感があって悩んでいる人にとって陰ヨガは理想的です。
陰ヨガは、心身リフレッシュの効果が高く、疲労回復に大きく関係します。
激しい動きがなく心を静め、自身の呼吸に集中できるので、心の疲れを和らげる要因となってくれるでしょう。
また、筋肉を伸ばすポーズの保持で身体の疲労を取り除く効果が期待できます。
筋肉の緊張がを緩和し血流がを良くしてくれるでしょう。
陰ヨガは、心と体の両面からアプローチしながら疲労回復に役立ちます。
いつも疲れを感じやすい人は、陰ヨガを実践して心身のリフレッシュに期待してみましょう。

5-3リラックスを求めている人

リラックスや瞑想などに興味がある人は、陰ヨガに取り組んでみてはいかがでしょうか。
陰ヨガは心と体を落ち着かせ、日々のストレスを解放し、心の健康を保てます。
ゆっくりしたテンポにより静的ポーズを展開しながらおこなうヨガです。
激しい動きもなく手軽にできるので焦る必要がありません。
心を落ち着かせ呼吸に意識を向けることができます。
リラックスした状態でおこなえるため、瞑想とも関連性が高いとされています。
リラックスしたい人の中には、瞑想にも興味を持つ人がいることでしょう。
陰ヨガの実践を通じて、心の安らぎのために瞑想的要素も取り入れられるでしょう。

5-4運動が苦手な人

ヨガ全般にもいえることですが、比較的運動に自信がない人にこそ陰ヨガがおすすめです。
ヨガの優れた点は、その気になればどのような人でも実践ができることにあります。
正しい手法を学べば、誰とも競って争うような競技ではないので、自分らしいペースでおこなえます。
個人差や条件はあるにしても、運動を全くしないタイプや、年配者でも入門しておこなうことができるでしょう。

5-5集中力を向上させたい人

陰ヨガは集中力向上にも役立ちます。
静的な動作が続くので、同じポーズを長時間維持する必要があります。
そのためには、じっくりと時間をかけることに集中していく必要があるでしょう。
一定の時間を一つのことに集中する習慣が養われるはずです。
性格的に飽きっぽいという人は、ぜひ陰ヨガを試してみながら、その奥深さを知ってみるとよいでしょう。

陰ヨガの代表的なポーズ

ここでは、陰ヨガで使用されている代表的なポーズを紹介します。
難しい動作のものは少ないので、自宅でも気軽にチャレンジできます。

6-1バタフライのポーズ

バタフライのポーズは、陰ヨガの基本的なポーズです。
足を広げた形は蝶が羽を広げている様子に似ていることで名付けられました。
股関節、太もも、背中の柔軟性を高めながら、体内の血液循環を改善させてくれます。
深い呼吸をしながら自律神経のバランスを整える効果も期待できるでしょう。
そのため、このポーズから瞑想状態へと誘うこともあります。
睡眠前におこなえば自然な眠りを促進してくれるはずです。

● 足裏を合わせ股関節の力を徐々に抜きながら膝を左右へゆっくりと開きます。
● 手のひらを上に向けて膝の上に置きましょう。
● 頭の重みのままゆっくりと前屈します。
● 前屈し切ったら顔や肩の力を抜いて、そのまま3分から5分ホールドしましょう。

6-2スフィンクスのポーズ

スフィンクスのポーズはその名が示すように、エジプトのスフィンクスをイメージしたポーズです。
背筋や上腕筋の強化、腰痛予防、リラックス効果などが期待できます。

● うつ伏せになり肘を肩の下に置きます。
● 体重を肘から手首の前腕全体にかけて腰をゆるめましょう。
● 手のひらで床を押して肘を伸ばし背骨をさらに伸ばします。
● その状態で、4~5分間保って完成です。

6-3チャイルドポーズ

チャイルドポーズも、一般的にヨガ全般でおこなわれるおなじみのポーズです。
リラックス効果や背中・腰・お尻・腿裏のストレッチに役立ちます。

● 四つん這いになり、手を肩の下、膝を腰の下に揃えましょう。
● 太腿の内側へ軽く圧力をかける意識で膝を広げます。
● かかとの上に腰を下ろし、腕は頭のほうに伸ばしましょう。
● そのまま3~4分間キープします。

6-4ドラゴンのポーズ

ドラゴンのポーズは、前足に体重を乗せながら後ろ足を地面から離さないよう股関節を伸ばすポーズです。
デスクワークなどで座りっぱなしの人や、立ち仕事などで脚に負担が多い人に最適なポーズといえます。
スラリと美しい歩き姿へと改善することも可能です。
下半身のむくみが気になる人もチャレンジしてみましょう。

● 四つん這いになり右足を両手の間に踏み出します。
● 右膝と踵が一直線になる意識で左脚を後方に引いていきましょう。
● 腰をゆっくり下げて左足全体を伸ばします。
● 左右それぞれで1分間ずつおこないましょう。

6-5スリーピングスワンポーズ

スリーピングスワンポーズは、まるで白鳥が羽を休めている姿勢に見えます。
一見すると複雑なポーズのように見えますが、手法に慣れれば簡単にできるようになるでしょう。
お尻や脚、股関節にアプローチするポーズです。
脚部全体の柔軟性を高め、腰回りや鼠径部のリンパを刺激するので、むくみ対策にもなります。

● 四つん這いの状態から、右膝を右手首のほうへ動かします。
● 右足を左腰の前方に動かし、左足を後方に引いていきましょう。
● 右腰の外側と左太腿の前面の感覚を探し、右膝の感覚に近寄らないようにします。
● 右腰を床に下ろし左脚が少し外旋するようにしましょう。
● 3~5分間この姿勢を保ち、反対側もおこないます。

まとめ

陰ヨガのポーズは、ヨガの基本動作を中心にゆっくり時間をかける方法です。
そのため誰にでも入りやすい入門編といったイメージがあります。
特定領域をゆっくり伸ばすので穏やかに負荷を与える意識でおこなう必要があるでしょう。
効き目として軽い鈍痛のようなものを感じるかもしれません。
感覚が強過ぎない程度に、快適な領域との範疇で感じられればベストです。
さらに自然な呼吸を続けられるかどうかもポイントになるでしょう。
ポーズは重点的で、その筋肉と関節などの周辺の結合組織に反応します。
最初は、各ポーズを2〜4分間キープするくらいにし、体が慣れてきたら5分以上延ばせるように目指すことです。
くれぐれも無理がない範囲でおこないます。
感覚が強くなりすぎたらポーズを修正していくことが大切です。
まずは迷わず、ぜひ簡単な基本の陰ヨガポーズにチャレンジしてみましょう。

日本メディカル心理セラピー協会編集部
心理カウンセラーやカラーセラピーやカウンセリング、整体、リンパケアセラピスト、占い等多岐に渡る資格を認定する日本メディカル心理セラピー協会編集部が運営するコラムです。仕事やプライベートでも役立つ資格が取得できます。ライフスタイルに合わせて柔軟に学べる点が魅力です。
日本メディカル心理セラピー協会

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