ヨガの呼吸法とは?効果とやり方を覚えよう

ヨガの呼吸法とは?効果とやり方を覚えよう

記事作成日:2024.12.25
ヨガの呼吸法とは?効果とやり方を覚えよう

ヨガは伝統的なインドの思想をもった健康法として知られています。
大まかには、ポーズ(アーサナ)・呼吸・瞑想の3つの手法と考え方を実践するものです。
中でも呼吸法は重要な位置を示しています。
ヨガを実践するためには、正しい呼吸方法を学んでおく必要があるのです。
なぜ、ヨガでは呼吸法を重視するのいでしょうか。
本記事では、ヨガにおける呼吸法が重視される理由と効果、呼吸法の最適なやり方とポイントなどについて解説します。
これからヨガを始めようという初心者の人は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。

目次

ヨガで呼吸法が大切にされる理由

一般的なヨガへの印象は、アーサナと呼ばれるポーズを繰り出しながら進行するイメージです。
しかしヨガ経験者や熟練者になるほど、ぽーずよりも「呼吸」に意識を高めていくようになります。
では、ヨガでは、なぜ呼吸法が大切なのか、その理由を解説しましょう。

1-1呼吸はプラーナを取り込むため

ヨガにおいては呼吸が重要な意味を持っています。
それは、「プラーナ」と呼ばれる生命エネルギーを取り込むための行為だからです。
ヨガの世界では呼吸法のことを「プラーナヤーマ」と呼びます。
プラーナをコントロールするために呼吸法を操り、エネルギーとして心身へ行き渡らせることが目的です。

1-2ストレッチ以上の実感を得るため

ヨガと比較されるエクササイズとしてストレッチがあります。
体を伸ばすなどの方法が双方とも類似しているのが共通です。
しかし、ヨガは呼吸を意識しながらポーズを取ることが前提となっています。
呼吸への意識の違いによっては、ヨガとストレッチとの違いを左右するほどです。
ヨガの概念では、呼吸をコントロールすることにより心も変えられると考えられています。
ヨガをすると、心の鎮静を感じてリラックスした感覚になるでしょう。
それは、深い呼吸がもたらしているのです。

1-3自律神経を整えるため

ヨガが呼吸を意識する理由は、自律神経との関係性があります。
さまざまに起こる体の不調・症状は、自律神経と関係するとされ、とくに現代人は交感神経過多になる状況が多いようです。
自律神経とは、脊柱を通じながら体全体に張り巡らされています。
やがて内臓や血管なども制御することになる仕組みです。
ところが、自律神経が乱れだすと、さまざまな内臓疾患を引き起こします。
しかも自律神経そのものは、自分でコントロールができません。
唯一、呼吸器系器官が自律神経と運動神経の2つと関与しているとされ、呼吸の長さや深さを変えながら、うまくコントロールすることで正常値を保とうとします。
ヨガは呼吸を意識して、目に見えない心身のあらゆる部分をも整えることを目指しているのです。

普通の呼吸と呼吸法では何が違うのか

通常、無意識に繰り返す呼吸とヨガの呼吸には、一体どのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、普通の呼吸とヨガの呼吸法との違いを解説していきましょう。

2-1意識して呼吸をするかどうかの違い

普段無意識でおこなう呼吸は、生命維持のために体内へ酸素を取り込み、二酸化炭素を体外へ排出するための必要不可欠な現象です。
一方でヨガの呼吸法とは、あえて「意識的」に呼吸をする点で違いがあります。
先述したように、体中へプラーナという生命エネルギーを巡らせるための目的です。
プラーナを意識的に体内でコントロールし巡らせる方法がプラーナヤーマと呼ばれます。
意識的に呼吸をすると、筋肉が動いて内臓が動きます。
そのため、体内の各部位に変化が起こりだすのです。

2-2ヨガの呼吸法は内臓機能を最大限に活かせる

例えば、腹式呼吸をすれば横隔膜が下がり内臓を押し下げ、肺が膨らむスペースを体内に確保できます。
肺胞が膨らみ心臓を通して身体中へ酸素を供給する仕組みです。
意識しない普段の呼吸では、肺機能の30%しか使われていないともされています。
ヨガの呼吸法で肺機能を最大限にまで引き上げることが期待できるでしょう。

ヨガにおける基本の呼吸法

ヨガを正しく実践するためには呼吸への意識が重要です。
効果を十分に発揮するには、正しいヨガでの呼吸法をマスターしましょう。
ここでは、ヨガの基本となる呼吸法について解説します。

3-1腹式呼吸をマスターすること

ヨガにおける呼吸は、おもに腹式呼吸を基準としています。
いろいろな呼吸法がありますが、べーシックなものとして必ず登場する呼吸です。
腹式呼吸は、鼻から息を吸いお腹を膨らませ、口から吐きつつお腹を凹ませます。
ポーズをとる際には、ゆっくり鼻から息を吸い、ゆっくりとリラックスしながらの動作です。
胸式呼吸とともにしっかりマスターしましょう。

3-2腹式呼吸がなぜ重要なのか

ヨガで腹式呼吸が採用されている理由は、鼻から息を吸うことでクリーンな空気を取り入れることができるからです。
鼻はフィルター機能を果たして汚れの少ない空気を体内に取り込みます。
すると自律神経やエネルギーの流れにも作用して血行促進を促すことになるでしょう。

深呼吸によって副交感神経を刺激し、リラックス効果を高めることになるので、よりヨガをおこなうにも好都合です。

腹式呼吸による効果

ここでは、さらに詳しく腹式呼吸による効果を解説していきましょう。

4-1横隔膜を活性化して内臓機能を高める

腹式呼吸をすれば、気持ちが落ち着きリラックスしたいときにおすすめです。
腹式呼吸をすることで、横隔膜が上下に動いて内臓を刺激します。
その動きによって便秘の解消や血行促進などにも効果的です。
深く呼吸をすることで副交感神経を活性化し、リラックス効果を促します。
自律神経のバランスを整えるためにも腹式呼吸は効果的です。
普段の生活では、胸で浅い呼吸をすることがほとんどでしょう。
腹式呼吸は意識しないとなかなかできないものです。
横隔膜はストレスの影響を受けて硬くなり、内臓の動きが鈍ってしまいます。
日常的にも周期的に刺激を与えてあげられる方法が腹式呼吸です。
腹式呼吸は、一般的に女性は苦手とされています。
お腹に手を当てながら意識して呼吸するようにしましょう。

4-2引きしめ効果が期待できる

腹式呼吸を続ければ、インナーマッスルの強化にもなります。
腹式呼吸は、意識しながら息を吸うたびにお腹をゆっくりと膨らませます。
そのため、深層部にある「脊柱起立筋」と呼ばれているインナーマッスルへも動きが伝わり、徐々に体幹も強くなるとされています。
もちろんそうなるためには相当な時間もかかりますが、お腹周りが気になっている人は、引き締め効果を期待しながら続けてみましょう。

ヨガ全般の呼吸法の効果

腹式呼吸を含めてヨガには数種類の呼吸法があり、アーサナなどの種類と掛け合わせて区分されます。
ヨガにおける呼吸法全般を考えて、他にはどのような効果が考えられるのかを解説しましょう。

5-1血行促進になる

ヨガでは意識的に深い呼吸をします。
それは、普段の呼吸よりも大量の酸素を体内に取り込むことになるでしょう。
深い呼吸をすれば、身体が次第にリラックスし血管が拡張した状態になります。
栄養や酸素がしっかり体の細胞へと供給され、血流改善も可能です。
すると、新陳代謝が良好となり冷え性、・肩こりの改善、免疫力向上などがみられるとされています。

5-2セロトニン分泌を助長する

ヨガの呼吸をマスターすれば、セロトニンの分泌を促します。
セロトニンとは、別名「幸せホルモン」と呼ばれる脳内分泌物です。
気分が晴れ晴れしく幸福感に満ちた心の除隊にしてくれる脳内神経伝達物質として近年注目されています。
感情コントロールや集中力向上にも作用があるようです。
ヨガの呼吸によって脳へ酸素が供給されて活性化し、仕事や勉強の効率が高まる気がしてきたら、おそらくセロトニンが分泌されています。

5-3ダイエット効果への期待ができる

ヨガを始める人の多くは、ダイエット効果を期待して始めると考えられます。
呼吸を意識して大量の酸素を取り込めば、血流が整い脂肪燃焼のためにエネルギーを作り始めます。
すると基礎代謝が上がり、脂肪減少が進みダイエット効果があるとされているからです。
また、ヨガの呼吸は精神的な雑念も取り払ってくれるので、瞑想をおこなう際にも活用します。。

その他の代表的なヨガの呼吸法

先に、ヨガにおける腹式呼吸を紹介しましたが、ヨガでは他にもいくつかの呼吸方法を採用しています。
ここでは、その他の代表的なヨガの呼吸法を解説していきましょう。

6-1胸式呼吸法

腹式呼吸とは真逆な方法で行うのが胸式です。
肺のやや上部、胸の部分に息を送り込む意識をします。
肋骨が広がり始め息を吐けば元に戻るというものです。
胸式呼吸をおこなうと交感神経を活発にします。
運動やトレーニングを続ける際の呼吸でもあり、リフレッシュしたい場合にもおこなう呼吸です。
ヨガにおいては、ポーズを取る準備段階でおこなうケースが目立ち、腹式呼吸と合わせながらおこないます。

6-2片鼻呼吸(ナーディ・ショーダナ)

片鼻呼吸法(ナーディ・ショーダナ)は、左右の鼻の穴を使い交互に息を吸ったり吐いたりします。
右手の親指で右鼻を押さえ左鼻から吸って、薬指で左鼻を押さえ親指を離し右鼻で吐くという動作が基本です。
さらに右鼻から空気を吸い、親指で右鼻を押さえながら薬指を離し左鼻から吐いて一つの動作になります。
このサイクルを数回繰り返しますが、座った状態の時におこなうものです。
ヨガの世界では、右鼻から吸うと身体を温め、左鼻から吸うと冷やすとされ、左右の鼻で交互に呼吸をすることで、バランスを整えるとされています。
慣れるまでは数回トレーニングする必要がありますが、できてしまえば簡単です。

6-3ウジャイ呼吸

ウジャイ呼吸とは「勝利の呼吸」とも呼ばれています。
とても強く意識する呼吸法で、息を吐く際に喉や鼻の奥を細くするようなイメージでおこなう方法です。
仮に寒い日に自分の手のひらを温めるのに息を吹きかけることがあると思います。
その要領で口を閉じ鼻だけで強く息を出してみましょう。
音がでる場合もありますが気にしないでください。
一般的にアシュタンガヨガの中でよくおこなわれる呼吸法です。
血流循環や内臓器官活性化によいとされています。

6-4カパラバティ呼吸法

カパラバティ呼吸法は、短い間隔で「フッ、フッ」と腹筋を使いながら、鼻から息を連続して吐く呼吸法です。
息を吸う際も素早くします。
吐くことのほうに集中しながらやってみましょう。
肺・横隔膜・腹筋を意識して動かすことで血行促進が期待できます。
注意点としては、高血圧、妊娠中、病後間もない人には負担が大きくなる場合があるため、くれぐれも無理におこなわないことが大切です。

6-5シータリー呼吸

シータリー呼吸は、口から吸って鼻から吐く方法です。
ヨガの基本は鼻から吸うのですが、真逆の方法もあります。
ストローのように舌を丸めて口から出し息を吸い、吐くときは鼻から自然に吐く意識です。舌がポイントとなり気化熱を利用します。
冷たい空気が体内に入り鼻から温かい空気を吐き出すやり方と思えばよいでしょう。
これは体温を下げる効果が期待できます。
眠気覚ましや頭をスッキリさせたい状況の際に試してみましょう。

6-6丹田(たんでん)呼吸

腹式呼吸と似ているのが丹田呼吸です。
丹田とは下腹部で、丁度おへその数センチ下あたりのツボに該当します。
人体の中央にある大事なポイントとされている箇所です。
丹田に意識を向けるため、両手を下腹部に当てて息を吐きながらおなかをへこませるとうまくいきます。
吸う時はお腹の力を抜きながら自然と膨らませましょう。

6-7ブラーマリー呼吸

ブラーマリー呼吸は、まるで蜂の羽音をまねるような方法です。
ブラーマリーとは、サンスクリット語で「メス蜂」のことを指します。
方法は、鼻から音を出しながら息を吐く呼吸です。
姿勢を整え目を閉じて、上下の歯を少し開き唇をゆるく閉じましょう。
あごとこめかみをリラックスさせ、左右の耳の穴を左右の親指でそれぞれ塞ぎます。
人差し指をまぶたに乗せ中指を小鼻にあてましょう。
薬指を唇の上に、小指を唇の下にあて挟みます。
そのままハミングで音を立てるように両鼻で息を吐き、吐ききったら息を深く吸いましょう。
この動作を数回繰り返します。
すると音の振動が頭蓋骨に響くような気配を感じてくるはずです。
神経系統が落ち着いてきてストレス軽減、不眠症などに効果があるとされています 。

6-8肩呼吸法

肩呼吸法は、鼻から息を吸い口から吐く呼吸をしながら、呼吸に合わせて肩を上下に動かす呼吸法です。
実際には肩で呼吸をするわけではありませんが、肩の動きを意識することがポイントとなるでしょう。
肩や首まわりの緩和などに役立つ呼吸法です。
とくに、これからヨガのポーズの練習をする前に、この呼吸をすれば首周辺の力が抜けて、快適な姿勢をとれるようになります。

初心者でもわかるヨガの呼吸法のコツ

初心者は、ヨガの呼吸法を独りで学ぶのが大変かもしれません。
できればヨガスクールなどでレッスンを受けることをおすすめしますが、普段から意識して取り組むためのコツも知っておくとよいでしょう。
ヨガでの呼吸のコツは、「息を吐く際に吸う時より長めに時間をかける意識」です。
「吸う息で4秒、吐く息で8秒」を基準にして取り組んでみるとよいでしょう。
また、ヨガの呼吸法がうまくできない人の場合、胸まわりの筋肉がこわばっていることが多く、呼吸が深まらないことが考えられます。
まずは鎖骨の下を擦ることや、胸元をストレッチしてから取り入れてみるとうまくいくことがあります。

ヨガの呼吸法のおもなポイント

あらゆるヨガの呼吸法がある中で、一般的なポイントを紹介します。
よりヨガの呼吸法の効果を高める意味でも参考にしてみてください。

8-1安定した姿勢を保つこと

ヨガの呼吸法の基本は、安定した姿勢でおこなえる状況であることです。
背筋を伸ばし胸を広げることを意識しつつ、あまり過剰になりすぎないよう心がけましょう。
かえってストレスになってしまいます。
大事なことは、無理がなく安定している状態を作るという点です。
また、姿勢が乱れたままでは酸素を体内に取り込めません。
ポーズに気を取られ呼吸が疎かになることがあります。
その場合は無理にポーズをする必要はありません。
胡座をかくなど安静状態を保って正しい呼吸法に集中してみましょう。

8-2力を抜いておこなう

意外と忘れがちなのが、力を抜くという点です。
ヨガの呼吸法では脱力舌状態が最適といえます。
身体に余計な力が入っていると、呼吸が浅くなりやすくヨガの効果を実感しにくくなるからです。
もし変なところに力が入っていると感じたら、一旦抜くことも覚えておいてください。

8-3時間を意識しておこなう

ヨガの呼吸法は、吸う・吐くの双方の時間配分を意識しましょう。
通常では吸う時間と吐く時間が同一でもよいでしょう。
ポーズによっては、吸う時間よりも吐く時間を長くすることがあります。
その際は、しっかり意識するということです。
ただし、厳密に時間を計って取り組む必要はありません。
肝心なのはポーズを繰り出しながら、呼吸を整えることにあります。

ヨガと呼吸の関係

ヨガのレッスンの時に呼吸が苦しいと感じる場合があれば、うまく呼吸できるようになる練習もしておきましょう。
ここでは、ヨガと呼吸の関係から、最適におこなうためのポイントを解説していきます。

9-1息を吐ききってから再度おこなうこと

伝統的なヨガや呼吸で息が苦しくなるのは、必要以上に頑張りすぎることや無理に合わせようとしていることがほとんどです。
呼吸が乱れると自律神経が乱れてきます。
すると精神的に緊張しだすので余計な力が入っている状態に陥るでしょう。
まずは息を吐き切ってみることです。
その上で、呼吸のペースをリセットしゆっくり吸うことを習慣づけます。
呼吸に関わる筋肉である呼吸筋が強くなり、肺活量も増えてきます。
うまくいかなくなったら、一旦息を吐ききってやり直すようにしましょう。

9-2呼吸は自分を観察するのに役立つ

ヨガにおける呼吸には、今の自分の状態を観察する目的もあります。
ポーズを連続しておこなう中で、呼吸も絶えず変化します。
安定したり止まったりしながらの動作とともに、呼吸を観察してみましょう。
すると精神状態を客観視できるようになり、余計な負荷がかかっていないかがわかり始めます。
あまりにも苦しい時には無理は禁物です。
一旦ポーズなどをやめて休息することをおすすめします。

まとめ

ヨガの呼吸法は、そのスタイルが幾通りかありますが、詳細は実際にレッスンを受けた際の実践の中で身につけるのが近道です。
もちろん、ヨガをしない日常生活の中でも呼吸法は活かせるので、できる限り実践してみるとよいでしょう。
ヨガの呼吸法の効果は、身体の不調改善・身体機能強化・リラックスなどよいことばかりです。
腹式呼吸を中心に、ウジャイ呼吸、ブラーマリー呼吸といった独特なものもあるので、いろいろと試してみるのもよいでしょう。
安定した姿勢を確保し、力を抜いておこなってみるようおすすめします。

日本メディカル心理セラピー協会編集部
心理カウンセラーやカラーセラピーやカウンセリング、整体、リンパケアセラピスト、占い等多岐に渡る資格を認定する日本メディカル心理セラピー協会編集部が運営するコラムです。仕事やプライベートでも役立つ資格が取得できます。ライフスタイルに合わせて柔軟に学べる点が魅力です。
日本メディカル心理セラピー協会

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