ヨガの基本片鼻呼吸法とは?効果とやり方を紹介

ヨガの基本片鼻呼吸法とは?効果とやり方を紹介

記事作成日:2024.12.25
ヨガの基本片鼻呼吸法とは?効果とやり方を紹介

日常生活にて普通に呼吸をする場合、多くは胸式呼吸をしています。
また、現代人には浅い呼吸が慢性化していることが体調不良の原因です。
日常の胸式呼吸では比較的浅めな呼吸を繰り返します。
しかし、ヨガの呼吸は深くて大きくするのが特徴です。
ヨガの呼吸法はいくつか種類があります。
その中でも基本とされているのが「片鼻呼吸法」です。
ヨガをおこなった後のケアや就寝前におすすめな方法で、自律神経を刺激します。
また、他の呼吸法の場合は、同時にヨガのポーズと連動しますが、片鼻呼吸は単独でおこなうのも特徴の一つです。
本記事では、ヨガの基本とされる片鼻呼吸法について特集しました。
この独自の呼吸法をマスターし、さらにヨガの醍醐味を知っていきましょう。

目次

なぜヨガは呼吸を大切にするのか

ヨガを構成する要素は「瞑想」「ポーズ」そして「呼吸法」です。
人体が鼻や口から酸素を取り入れ、肺を駆使して呼吸を繰り返し生命維持させることはわかっていることでしょう。
ヨガにおいての呼吸では、鼻から吸い鼻から吐く鼻呼吸を基本とします。
鼻呼吸をすると、空気中の塵や埃を取り除くフィルターのような役目を果たしてくれるからです。
外から取り入れた空気へ適度な湿度も含めながら体内に入るようになります。
口呼吸を中心におこなうと、唇や喉が乾燥しウイルスや細菌も侵入しやすく、さらに顔の筋肉が弱ってしまうそうです。
毎日の忙しさやストレスによって、呼吸が浅くなりがちだとされています。
浅い呼吸のままでは、体の巡りが滞り慢性的な症状や倦怠感を覚えてしまうでしょう。
そこで呼吸を見直して効率的に新鮮な酸素を巡らせるためにも、鼻での呼吸を意識することが重要視されています。

ヨガの片鼻呼吸法とは

片鼻呼吸法は、「ナディショーダナ(交互鼻孔呼吸)」とも呼ばれています。
左右の鼻を交互に意識して呼吸する方法です。
ナディショーダナとは、サンスクリット語で、ナディは「エネルギーチャネル」、ショーダナは「浄化」という意味があります。
他にも「ナディショーダナプラナヤマ」とも呼ばれる基本的呼吸法です。

2-1交感神経と副交感神経のバランスを保つ

ヨガにおいては、右の鼻での呼吸は興奮・緊張・活動に関わる「交感神経」を優位にするとされています。
一方で、左の鼻の呼吸はリラックス・休息・回復などの「副交感神経」を優位にする方法です。
ナディショーダナの呼吸法は、左右の鼻のバランスを考えておこなう呼吸なので、しばらく続けてみると、精神的にも穏やかで落ち着きを取り戻せるとされています。

2-2指のポジショニングも大切

ナディショーダナの呼吸をする場合、まず両方の鼻から息を吐き切った状態にします。
そして、利き手の親指で右の鼻を閉じ左の鼻から息を吸った状態からの開始です。
薬指で左の鼻の穴を閉じ、右の鼻から息を吐き出しましょう。
この動作を基準としながら、左右を入れ替え交互に呼吸を繰り返します。
鼻にあてる指の指定もされているので、最初は慣れるまで難しいかもしれません。
次第に慣れて自然にできるようになるでしょう。

片鼻呼吸法の基本的概念

片鼻呼吸法は、伝統的なヨガの思想においても重要視された呼吸法の一つです。
古代インドの時代から伝わる方法で、心身のバランスを整えるため用いられてきました。
その効果を最大限に引き出すためにも、片鼻呼吸法の概念や歴史なども理解しておくと、正しい手順で実践できます。
ここでは、片鼻呼吸法の起源や影響について解説していきましょう。

3-1ナディ―ショーダナの歴史

ナディ―ショーダナとは、サンスクリット語で「エネルギー経路の浄化」を意味します。
片鼻呼吸法は、身体を流れるエネルギーの「通り道」とされているナディを浄化し、バランスを取るという意味を持った呼吸法なのです。
インドにて古代ヨガ経典として伝承されてきた「ハタヨガプラディピカ」にも記されていて、精神と身体の浄化と調和を促進する不可欠な要素という位置づけがされています。
ナディ―ショーダナでは、陰陽のエネルギーである「イダ」とピンガラ」のバランスを整えることも目的です。
相反する2つのエネルギーがバランスよく保たれることで、健全な状態が作られ維持できるという概念に基づいています。
呼吸法であることはもちろんですが、哲学的な背景も帯びているのが特徴です。

3-2片鼻呼吸法による心身への影響

片鼻呼吸法を実践すれば、身体にさまざまなよい影響をもたらします。
呼吸をコントロールすることにより自律神経系が安定し、リラックス効果が得られるでしょう。
ストレスが軽減されていき、心拍数や血圧が正常な値を示してくれるはずです。
また、片鼻呼吸法によって肺機能を向上させ、酸素供給の効率化ができます。
鼻の呼吸はより深くなっていくため、酸素が体内の隅々まで巡りだすからです。
全身の細胞に新鮮なエネルギーを供給してくれるでしょう。
他にも、片鼻呼吸法には体内毒素を排出するデトックス効果も期待できます。
体内のクレンジングが促進されるとされているので、定期的な実践がおすすめです。
片鼻呼吸法には、普段の呼吸では実感しにくい多くの恩恵をもたらし、生活の質向上に役立つ手段にもなります。

丁寧な片鼻呼吸で得られる効果

呼吸は、肺だけでおこなっているのではなく、周りにある筋肉を収縮しながらポンプの役割にし体内へ酸素を運びます。
また吸う息と吐く息では、使う筋肉も違っているのです。
呼吸については、普段はなかなか意識しません。
ヨガによって意識することで、初めて効果の違いなども理解できるはずです。
ゆっくりと丁寧に呼吸法を始めてみましょう。
ここでは、ヨガの片鼻呼吸で得られるおもな効果を解説します。

4-1自律神経を整える

ヨガの基本的な片鼻呼吸をマスターすると、自律神経のバランスが良くなります。
仕事やプライベートで日々忙しい人ほど、本来大切な時間を奪われています。
また、小さなことでイライラするケースも増えてくることでしょう。
これらは自律神経によって支配され、自分の意識とは無関係に作用します。
自分の意思によって制御することは極めて難しいのです。
唯一、自律神経にかかわるのが呼吸によるところだというのはわかってきました。
自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあります。
この2つのバランスを整えることが大切です。
緊張感が続いてしまうと交感神経が優位に働いた状態になります。
ヨガの深い呼吸を取り入れて全身に酸素が巡りだせば、心が落ち着いて副交感神経が優位に働きだすのです。
ヨガの呼吸で、交感神経と副交感神経のバランスを保つようにしましょう。

4-2リラックス効果がある

ヨガの片鼻呼吸でリラックス効果が得られます。
体を副交感神経が優位に働いた状態にすれば、リラックスした状態になるでしょう。
ヨガの呼吸法で息を吸うときや息を吐くときの状態を繊細に感じながら、現状を意識していく姿勢が大切です。
とくに息を吐く際は、副交感神経が刺激されリラックス状態へ誘われていくことでしょう。

4-3不眠症の改善になる

もし普段から不眠症に悩まされているとしたら、片鼻呼吸法がおすすめです。
この呼吸法は不眠改善にも応用できます。
眠れない状態というのは、身体がいつもより活性化し過ぎている証拠です。
まず、右の鼻を押さえて左の鼻だけで呼吸してみるとよいでしょう。
次第に身体が落ち着いてくるのが実感でき、緊張感がなくなり寝つきやすくなります。
誰しも時折、眠れない夜があるものです。
そのような時にこそ、片鼻呼吸をしてみましょう。

4-4インナーマッスル強化になる

ヨガでの深い片鼻呼吸によって、普通の筋トレなどの表面の筋肉鍛錬ではなく、奥にある筋肉への働きかけが可能です。
つまり、インナーマッスルが鍛えられます。
インナーマッスルが強くなれば、姿勢改善効果、首や肩こりの慢性的症状へのアプローチにもなります。
筋肉量も増えることで代謝量も増えて、太りにくい体質になるでしょう。

4-5内臓機能の活性化になる

ヨガの呼吸は内臓へ刺激が与えられ、内臓機能の活性化が期待できます。
体の内側が作用し内臓が温まり、胃腸の動きが活性化されるからです。
さらにヨガのポーズなども組み合わされ、内臓の位置を戻すことができます。
自然と代謝が良くなり老廃物排出がしやすくなるとされているのです。

4-6集中力が高まる

呼吸そのものが整うと心も安定します。
しかも片鼻呼吸は、呼吸へ意識を傾けるので集中力の向上も可能です。
忙しい日常の中では、集中力よりも緊張感のほうが上回ってしまいがちです。
そこで手軽に意識を傾けられる方法としてヨガが最適とされ、さらに呼吸であれば、隙間時間を利用しながらおこなうことができるでしょう。
もし集中したい時にできないような状況であれば、呼吸が浅くなっているかもしれません。意識的に深い呼吸をすることです。
また、就寝前に片鼻呼吸を取り入れると、リラックス効果が得られ安眠できるとされています。

4-7陰陽のエネルギーのバランスを維持できる

片鼻呼吸法をマスターして実践し続けると、身体のエネルギーバランスを整えることができます。
ヨガの考え方では、エネルギーのバランスの取り方を「陰」「陽」の形で考えています。
普段の生活にて身体が行動的な状態であれば陽、休息している状態は陰という捉え方です。
仮に身体が活性化し過ぎていた場合には、陰を司る左の鼻で呼吸をし、身体が沈静化し過ぎている場合には陽を司る右の鼻で呼吸するといった方法をとります。
すると、全身の陰陽バランスが整えられていきフラットな状態に保てるわけです。

片鼻呼吸がもたらす免疫力の向上

ヨガの片鼻呼吸はリラックス効果だけにとどまらず、免疫力向上の効果も期待できます。
片鼻呼吸によってどのように免疫システムに影響を与えるのでしょうか。
ここでは、日常生活で片鼻呼吸が免疫力向上にもたらす影響などを解説します。

5-1鼻の器官にはフィルター機能がある

鼻にはフィルター的な役割があります。
鼻呼吸によって体内に入った酸素は、フィルターにかけられてウイルスや細菌といった有害物質を除去しています。
鼻の粘膜には免疫システムの一部のリンパ組織が存在するとされ、侵入してくる病原体を抑制する働きがあるからです。
日頃から片鼻呼吸を習慣にしていくことで免疫システムが強化されます。
また、片鼻呼吸は副交感神経を優位にしてくれるため、ストレスホルモンの分泌を抑えてくれます。
つまりストレス軽減にもなり、免疫システムも正常に機能し始め、病気への防御機能が向上するとされているのです。
古代インドでのヨガ修行者たちが、どのような経緯で知ったのかは全く謎ですが、風邪や感染症などへの抵抗力向上も期待できるでしょう。

5-2日常生活での片鼻呼吸による効果

日常生活にて片鼻呼吸を意識的に取り入れてみましょう。
体全体の健康向上にもよい影響があるはずです。
ストレスの多い職場にて片鼻呼吸を意識してみると、心が落ち着き集中力が高まるような気がしてくるはずです。
また、片鼻呼吸は継続することで自然と呼吸が深くなります。
それだけ酸素が効率的に体内に入り込み代謝が促進され、エネルギーレベルがワンランク向上されるのです。
日常生活全般にわたって、片鼻呼吸を意識しておこなうことで多くの健康効果をもたらします。

ヨガの片鼻呼吸の手順

もしも寝起きの状態があまりよくない人には、片鼻呼吸がおすすめです。
小鼻を片方ずつ使い分けながら呼吸をする方法で、指で片鼻を押さえながら呼吸をします。これは行為そのものへ集中することも目的で、余計な考えに遮られないよう気持ちを一心にできる呼吸でもあるのです。
右鼻での呼吸は交感神経、左鼻での呼吸は副交感神経を優位にするとされています。
交互におこなうことで自律神経のバランスを整える効果に繋がるようです。
朝起きて気持ちの切り替えをしっかりおこなうタイミングとしてもおすすめできます。
ここでは、さらに詳しくヨガの片鼻呼吸の手順を解説していきましょう。

6-1まずは指の形を作る

ヨガの片鼻呼吸では、小鼻を押さえるための指の運指が大切です。
利き手(右手)の人差し指と中指を内側に曲げて準備をしましょう。
おもに親指と薬指を使いながら交互順番に鼻で呼吸をします。

6-2胡座をかいて安定した状態でおこなう

ヨガにおける動作の基本となる、胡座をかきながら片鼻呼吸をしましょう。
まずは、あぐらを自然な状態でかきながら、骨盤から上半身を真っ直ぐにします。
左手は膝の上に置くとよいでしょう。
片鼻呼吸での動作は右手(利き手)でおこないます。
人差し指・中指を眉間にそっと置いた状態がスタート地点です。

6-3運指のルールを理解しましょう

目を閉じて一旦息を吐き切ります。
親指を使って右の小鼻を押さえ鼻の穴を閉じましょう。
空いている左の鼻で、ゆっくりと息を吸い込みます。
つぎに薬指で左の鼻の穴を閉じましょう。
親指は鼻から離した状態にし、右の鼻からゆっくりと息を吐きます。
指はそのままの状態で、今度は右の鼻からゆっくりと息を吸い込みましょう。
親指で右の小鼻の穴を閉じ、薬指を鼻から離します。
左の鼻からゆっくりと息を吐きだしましょう。
この動作が1セットとなりますので、何度か繰り返します。
まずは、10呼吸分程度を目標に試してみるとよいでしょう。
初心者の頃は指の使い方に戸惑うかもしれませんが、繰り返し練習を重ねていけば必ず方法が理解できるはずです。
諦めずに続けてみましょう。
先述にもしてありますが、緊張している状態、忙しいと感じて気分が不安定な状態などにおこなうと効果的です。
また、起床時と就寝時におこなってルーチンワークにするのもおすすめです。

ヨガの片鼻呼吸法での注意点

ヨガの片鼻呼吸法では、自律神経を調整させるはずの普通の呼吸を意図的に調節します。
そのため、自然な呼吸方法ではない部分もあるので、健康状態によってはあまりおすすめできないことがあります。
以下のような健康状態の渦中にいる人は気をつけてください。

● 下腹部あたりに内臓疾患がある人
● 高血圧や心疾患(心臓の持病)の人
● 脳卒中の既往がある人
● 緑内障を代表とした眼圧に異常がある人
● 重度の椎間板ヘルニアがある人
● てんかんの既往のある人
● 妊娠中、生理中の女性

また、風邪をひいているなどで、鼻の通りが悪いような状態であれば、無理をしないほうがよいでしょう。
上記のような症状がある場合で、少しでも不安があるのなら専門医に相談してからおこなうかどうかを決めることです。
あくまでもヨガの呼吸法の目的は、呼吸によって心身を整えることにあります。
個人差もあり片鼻呼吸が難しい状況の人もいることでしょう。
その際に大切なことは、呼吸で心地よい状態を感じられるかです。
感じられないような場合は、普段の自然な呼吸をすることが重要でしょう。

7-1うまくいかない時は息を吐ききって再度おこなうこと

伝統的なヨガや呼吸では、時折息苦しくなる場合があります。
大概そのような場合は、必要以上に無理をしているのが原因です。
片鼻呼吸以前に、呼吸そのものが乱れると自律神経が乱れてきます。
すると余計な力が入った状態に陥り成果が得られません。
その際は、一旦息を全部吐き切ってみて呼吸のペースをリセットし、再びゆっくりと開始してみてください。

7-2自分を客観的に判断しましょう

ヨガにおける呼吸では、今を観察するための目的もあります。
ヨガでは普通はポーズを繰り出しますが、その際にも安定したり止まったりの動作に伴って、呼吸も意識しておこないます。
それは、精神状態を客観視することにもつながっているからです。
今の自分は余計な負荷がかかっていないだろうかといった判断ができます。
片鼻呼吸はヨガのポーズとは関係なく実践できますが、試しにやってみるとうまくいかない時もあり得るでしょう。
そのような場合には、決して焦らず無理をしないことです。
落ち着いてゆっくり動作を再開するようにしましょう。

まとめ

ヨガでは腹式呼吸を中心とした呼吸法が各種あり、アーサナと呼ばれるポーズを繰り出しながら、意識的に呼吸をしていく進行をします。
多くの場合が、アーサナとともに呼吸も連動させるものですが、それらとは別に静かな状態で行うのが片鼻呼吸法です。
他の呼吸法から独立した片鼻呼吸法も、心身の健康を向上させるのに有効な方法とされてきました。
リラックス効果、ストレス軽減、不眠症改善など、わりと日常生活の中での悩みに対処できるメリットがあります。
継続していくことでインナーマッスルへの影響も考えられ、一般的な筋トレでは鍛えられない体幹の強化や姿勢の改善、運動能力向上にも役立つでしょう。
もし片鼻呼吸法に興味があるようなら、まずは真似をして正確な方法をマスターしてみましょう。
呼吸法としては手指の動作の連動があり高度な部類ですが、一度覚えてしまえば簡単にできます。
習慣化させることで、さらに心身バランスの取れた状態が実感できるはずです。

日本メディカル心理セラピー協会編集部
心理カウンセラーやカラーセラピーやカウンセリング、整体、リンパケアセラピスト、占い等多岐に渡る資格を認定する日本メディカル心理セラピー協会編集部が運営するコラムです。仕事やプライベートでも役立つ資格が取得できます。ライフスタイルに合わせて柔軟に学べる点が魅力です。
日本メディカル心理セラピー協会

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