一般的な見解として、ヨガとストレッチが似ていることに気づいている人が多いはずです。
健康意識が高い人ほど、ヨガとストレッチの両方について考えたことがあるのではないでしょうか。
例えば効果的なのはどちらなのか、両方をやる場合の相乗効果は期待できるのかなどです。
とくに近年では、リモートワークなどが増えたことで環境も変わりました。
健康面への配慮なども改めて考え直していることでしょう。
そこで誰もが取り組みやすいヨガとストレッチについて、さらに深く考えて日常的に取り組もうという傾向があるようです。
身体の柔軟性を高めリラックス効果があるので、同じようなものと考えがちになります。
この両者は混同されて間違った認識もされているようです。
実は目的や効果、実践方法に重要な違いがあります。
本記事では、ヨガとストレッチのそれぞれの効果、実践などでの違いを解説する内容です。
目的や希望に応じ適切な選択をすることが大切になってきます。
ぜひ参考にしてみてください。
ヨガとストレッチを比較するとしたら、身体の柔軟性を高める意味からすれば類似したエクササイズです。
しかし双方は、さまざまな側面で違いがあることも知っておきたいところです。
特に顕著な違いは、ルーツ性にあると思われます。
ヨガとは、サンスクリット語による「つながり」という意味があります。
身体・心・魂を、神との交流のために修行する方法として誕生したものです。
紀元前4000年から紀元前2000年頃、インダス文明隆盛期の頃が発祥とされています。
やがて、200年頃にヨガの経典「ヨガ・スートラ」が作成され、発展を繰り返しました。
12世紀頃には、瞑想法・呼吸法などが取り入れられたとされています。
紀元前より存在するヨガとは違って、ストレッチの歴史はまだ浅いです。
ストレッチが誕生したのは、1975年だとされています。
アメリカ人のボブ・アンダーソンという人物によって考案されました。
そもそも当人の身体が、かなり柔軟性があったらしく、それを基にしてストレッチを始めたとされています。
今では、あらゆるスポーツの前後に欠かせないウォーミングアップやクールダウンでも採用されるようになりました。
体を伸ばすストレッチは、ヨガのポーズと類似性もあり効果が同じものと解釈されがちです。
ストレッチをすれば、筋肉がほぐれ血行がよくなります。
ヨガもその点では同じです。
しかし、精神的な影響と効果では、ヨガはもっと奥が深い内容になっています。
ヨガを継続していけば、心のコントロールにもなるでしょう。
ストレッチの場合は、筋肉を意識しながら体の柔軟性を高めていくことが目的です。
一方でヨガの場合、筋肉の意識だけではなく、関節の可動域にも関わり、体幹を鍛えることが最終目的になるでしょう。
ヨガには独自の呼吸法も確立され、精神安定や心のコントロールもします。
ストレッチとは明らかに異なった目的があるといえるでしょう。
ストレッチの場合、特定の筋肉へのアプローチが中心で、体の柔軟性を高めることが目的となります。
伸ばしたい部位を意識しながら集中してストレッチ運動をすることで、血行を高めて体を温める効果も期待できるものです。
また、ストレッチそのものをする目的は、主要の競技のトレーニングの中に組み込まれ、準備運動やクールダウンとしておこなうことが日常的です。
つまり、極度な緊張状態を作る筋肉のケアのためにおこないます。
一方ヨガも体を伸ばすなど柔軟性を高めるアプローチをしますが、ストレッチと違って、準備運動やメンテナンスなどの要素は薄いと思ってよいでしょう。
ヨガとストレッチは、同じような動きやポーズがありながらも、それぞれに目的が違います。
ストレッチの場合は、筋肉の柔軟性や可動域などへアプローチし競技のための準備やクールダウンが目的になることが多くなります。
ヨガは、アプローチ自体が健康や美容、自律神経、生き方など幅広くオーガナイズされている古典的なものです。
以上を踏まえながら、よくありがちなヨガとストレッチの疑問について解説します。
● 体が硬い体質の人にはどちらが向いているのか
● ポーズや動作の完成度が高くなければいけないのか
● そもそも体が硬い人には向いていないのか
● ヨガやストレッチをする際に大切なことは
● 本当に体が柔らかくなるのか
体が硬いからこそヨガやストレッチに取り組んで欲しいものです。
比較するとなれば、ストレッチは体の硬い人にとっては、当初ややきついかもしれません。
むしろ、ヨガのほうが多様性があるので入りやすいといえるでしょう。
もちろん、ストレッチも継続することで、徐々に体の柔軟性への効果が期待できます。
とくにヨガの場合は、ポーズに意味があります。
個人差もあるので、体の伸び具合も思ったほどうまくいかないこともあるでしょう。
それでも、現状の自分を確かめることが大切になっていきます。
ヨガでもストレッチでも、安全性を考慮すれば、伸ばす筋肉や方向など、基本をしっかりマスターすることが重要です。
ヨガやストレッチは正しいポーズをとる必要がありますが、それで他人と比べて評価するといった概念は一切ありません。
大切なのは、今の自分の体の硬さを味わいつつ、徐々に柔らかくなることを期待しながら楽しくおこなう思考を身につけることにあります。
ヨガやストレッチが、日課となりライフスタイルになることが重要です。
どちらをおこなうにしても、否定的な考えに陥らないようにし、練習や習慣を大切にすることです。
先述したように、自分と誰かを比べて良し悪しを気にすることではないのです。
仮に、自分には向いていないと否定的な考えが浮かんでも、そんな自分も許しながら、したたかに練習を続けることで徐々に変化が期待できるでしょう。
安心して取り組むことです。
多くの場合、体がガチガチで硬かった人でも、ヨガやストレッチを継続することでゆるんで柔らかくなる実感が必ずやってきます。
もちろん、個人差があるのも覚えておいてください。
挫折して途中で頓挫しないことが条件となるでしょう。
ヨガとストレッチに共通するのが呼吸法です。
重要な要素として調和を促すためにも欠かせないことになるでしょう。
いずれにしても、正しい呼吸法を身につけながら心身のリラックスを目的に、柔軟性向上のために習慣化することです。
ここでは、ヨガとストレッチの呼吸法の重要性や影響について解説します。
ヨガでの呼吸法は手段ではありません。
呼吸を通じて精神と身体をつなぐ位置づけがあります。
身体の動きと連動しながら、定石となっているポーズがポイントです。
ヨガでは、おもに「プラーナヤーマ」という呼吸法が用いられてきました。
プラーナヤーマとは、ヨガの実践において最も重要なもので、生命エネルギー「プラーナ」をコントロールするという意味があります。
深い呼吸をゆっくりとおこない、全身にエネルギーを巡らせるためにおこなうものです。
プラーナヤーマは鎮静や集中力向上、ストレス軽減が期待できます。
また、自律神経を整え、免疫力向上などにも効果があるとされてきました。
ストレッチでも呼吸法は重要です。
正しい呼吸によって筋肉の緊張が緩和され、リラクゼーション効果が生まれます。
ストレッチでの呼吸法は、筋肉の緊張を和らげることが目標です。
あくまでも筋肉へ酸素を十分に行き渡らせて柔軟性を向上させることにあります。
ストレッチもよりスムーズになっていくので、徐々に副交感神経が優位になりリラクゼーションが促進されるという順序です。
言い換えれば、リラクゼーションそのものが目的ではなく、あくまでも相乗効果であると思ったほうがよいでしょう。
ヨガとストレッチの呼吸には、当初から目的に違いがあります。
しかもそれが微妙な違いなので分かりづらいこともあるでしょう。
ヨガの場合は、呼吸によって動作のリズムを作り出します。
やがてポーズの持続とともに呼吸も深まって精神へと到達していく流れです。
プラーナヤーマのような呼吸法などは、瞑想状態へと誘うことがあります。
一方で、ストレッチの場合は、部位的な筋肉へのリラックスを促すためのものです。
息を吐くタイミングや吸うタイミングによって、筋肉収縮を促しながら柔軟性向上を図るために用います。
そのため、ヨガとストレッチでの呼吸法は目的がそもそも違っていますが、成功すればどちらも心身の調和をもたらしてくれます。
目指す方向は違っても、結果的に心身の調和として共通になるといえるでしょう。
ヨガとストレッチでは、微妙な差があることは先述しました。
さらに目的にも違いがあるものの、結果として同じ効果をもたらす場合もあるといえます。
ここではさらに、ヨガとストレッチでの効果の違いを具体的に解説していきましょう。
ヨガは、呼吸法によって全身に酸素を行き渡らせ、心体の緊張が和らいだ状態によりポーズを作ります。
筋肉が伸びやすくなり柔軟性が高まりつつ、体も温まっていくはずです。
おもな効果としては以下のようなものが考えられます。
● 姿勢改善
● 便秘解消
● 基礎代謝向上
● 体幹強化
● 新陳代謝促進
● 免疫力向上
ストレッチは、関節可動域を拡大させることに特徴があります。
関節の動かせる範囲を、今まで以上に広げることが可能となり、スポーツ時における怪我防止や疲労回復などにもつながります。
おもな効果としては以下のような内容です。
● 血行促進
● コリや痛みの緩和
● 怪我の予防
● 運動効果の向上
● 疲労回復効果
● リラックス効果
前述までは、ヨガとストレッチを比較した場合の違いについて解説してきましたが、双方には共通する部分も結構あります。
ここでは、ヨガとストレッチに共通する部分を解説していきましょう。
おもに以下のような共通項が見受けられます。
● 柔軟性が向上される
● 血行が改善される
● 精神的にリラックスできる
ヨガとストレッチでは目的が違っていますが、両者とも柔軟性を高められる効果としては共通します。
筋肉や関節を伸ばしながら一定の動作に入ることも共通で、その効果として筋肉の緊張をほぐして柔軟性のある身体ができるからです。
ヨガとストレッチは、筋肉や関節を伸ばしながら血行を促すことも共通点です。
どちらもポーズや動作を繰り出し、筋肉や関節の伸縮をするエクササイズといえます。
肩こり・腰痛などの身体の不調を解消する運動法にもなり、その効果も認知されているからです。
ヨガとストレッチは結果的に精神のリラックスにもつながります。
当初はヨガのほうが精神面の鍛錬になる方法でしたが、ストレッチでも同様で、ヨガの境地にまで至らなくとも精神面のリラックスの相乗効果が期待できるからです。
しかも無理におこなうのではなく、気持ちいい程度で続けられる意味でも、ヨガとストレッチは類似しています。
また、腹式呼吸を使う場合など、呼吸によるリラックス効果を感じられる点も似ているでしょう。
ヨガやストレッチをおこなう上で、特別に資格の取得は義務付けられていません。
個人的な趣味や習慣としておこなうのであれば、誰かに習ったり動画などで学ぶこともできて、気軽に接することが可能です。
ただし、将来的にヨガやストレッチに関わる仕事を目指したいと思い始めた場合には、民間資格などを中心とした資格取得を目指すことをおすすめします。
中でもヨガの場合は、海外公認の資格もあり、インドおよび欧米でも通用するものがあります。
ここでは、ヨガとストレッチにおすすめしたい資格について解説しましょう。
全米ヨガアライアンスは、RYT200とRYT500の2種類の資格に区分されます。
世界的にも認知度が高く、ヨガインストラクターの多くが取得を目指す人気資格です。
最初はRYT200の資格取得をして、その後にRYT500の取得を考えていくことが望ましいでしょう。
インド中央政府が国家資格として認定するのがYICです。
「日本ヨーガ・ニケタン」という団体が主催するヨガインストラクター講座を受講して、全10回の行程を修了することになります。
この資格も世界的に認められた資格といえるでしょう。
ゆがみ矯正インストラクター資格とは、整体のテクニックに関する知識を備えていることを認定する資格です。
人体の構造や東洋医学、症状別整体テクニック、押圧のコツ、ストレッチ方法などの知識と理解が深められるでしょう。
スポーツメンタルケア士資格は、スポーツのメンタルについて基本的知識を認定する資格です。
スポーツの多くは精神力が重要とされ、メンタルトレーニングの意義などをしっかり学ぶことが求められています。
集中力と脳の関係や、トレーニング方法の知識に詳しいことも証明されます。
とくにストレッチの技術と併用すれば、トレーナー的な知識と技術を持ったレベルになるでしょう。
ポジティブメンタルトレーナー資格とは、ポジティブ心理学に基づき、人生を豊かに構築するための要素と知識を理解した人物へ認定する資格です。
メンタル面での強化をするためにも役立つ資格といえます。
資格取得をすれば、ポジティブメンタルトレーナーとして、自宅やカルチャースクール、オンライン講師活動などが可能です。
シェイプアップインストラクター資格とは、シェイプアップの基本的な知識を有していることが認定される資格です。
シェイプアップについての基礎知識から始まり、脂肪燃焼方法、部分痩せの方法、ストレッチ、男女別のダイエット法、メンタル強化、有酸素運動、むくみを取り除く方法など、様々な側面からシェイプアップに関する幅広い内容を学習できます。
リンパケアセラピスト資格は、体内に流れているリンパの知識を証明します。
リンパケアの施術も証明し、健康や美容のために活かせるでしょう。
老廃物や余分な水分を排出するリンパの流れが滞てしまうと、免疫力低下を引き起こしかねません。
リンパに関する専門的な知識も身につくため、マッサージなどのケアにも役立ちます。
瞑想インストラクター資格は、マインドフルネス瞑想の概念に基づきながら瞑想の手法が学べます。
ストレス軽減、記憶力や集中力強化、免疫力向上に役立ち、呼吸法や感情コントロール方法なども学べます。
資格取得後にはインストラクターとして指導することも可能です。
タイ古式整体セラピスト®資格は、タイに伝わる古式ボディセラピーの知識を有していることを認定します。
仏教やタイの伝統などから学べて、セラピーに関する知識を得ることができるでしょう。
中でも解剖生理の知識、食事方法、体内をめぐる流れといった独自性の高い知識も理解できます。
ヨガとストレッチは目的に違いがあります。
それに、育まれた歴史の長さやそれぞれの手法にも差が見つかりますが、結果的に共通点に繋がる部分も多く見受けられるのです。
ヨガでは、インナーマッスル強化で体幹を鍛えることができ、ストレッチは部分的な筋肉の柔軟性を養うのに効果的でもあります。
よく、どちらに専念したほうがよいのかを問う場合がありますが、それは個人の考え方ややり方によって差があるため、優劣をつけることは難しいでしょう。
あえて言えば、初心者でも入りやすいメニューが豊富なのはヨガのほうかもしれませんが、基本的ポーズならまだしも、正確な手法や概念を習得するためには専門家の指導が必要です。
そのため、「何のためにするのか」という目的を当初から持っていれば、ヨガであろうとストレッチであろうと効果は期待できるはずです。
最初は素質があるのか自分では判断がつきません。
しかし徐々に努力を重ねて習慣化していくことで、指導者としての道が開けるかもしれません。