アシュタンガヨガとは?効果と初心者におすすめの始め方

アシュタンガヨガとは?効果と初心者におすすめの始め方

記事作成日:2024.12.25
アシュタンガヨガとは?効果と初心者におすすめの始め方

インドの古典的なヨガから派生し、今ではさまざまなヨガの流派が誕生しました。
その中の一つに「アシュタンガヨガ」と呼ばれるものがあります。
近年、アシュタンガヨガへの興味を持つ人が増加傾向です。
そこで本記事では、アシュタンガヨガについての概要、初心者でも可能なヨガなのか、その効果と始め方などについて解説していきます。
もしこれからヨガを始めたいと考えている人や、初心者でもアシュタンガヨガを始める場合のコツを知りたい人は必見の内容です。

目次

アシュタンガヨガとは

アシュタンガヨガは、正式名称を「アシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨガ」と呼びます。
呼吸に合わせながら流れるようにポーズを作り続ける流儀です。
アーサナ(ポーズ)の取り方・順番も決まっているので、その方法に則って進行します。
ヨガの中でも高度なレベルに位置すると思われ、いきなりヨガ初心者がおこなうのはハードかもしれません。

1-1アシュタンガヨガの歴史

アシュタンガヨガの始まりは、現代ヨガの創始者T・クリシュナマチャリア師の教えを元にした、弟子のシュリ・K・パタビジョイス氏によって考案されたスタイルです。
ヨガの流派の中では、比較的最近のものといえるでしょう。
1948年にパタビジョイス氏は、インド南西部のカルナタカ州にある都市マイソールという場所にて「アシュタンガヨガ・リサーチ・インスティテゥート」を設立しました。
そこへアシュタンガヨガを学びに、欧州を中心に多くの生徒が集まり今日に至っています。
また、パタビジョイス氏は、その哲学や実践方法を著書「yoga Mala」として出版もしました。
1990年代に入ると、アシュタンガヨガをベースに「パワーヨガ」と呼ばれる方法が、アメリカでブームとなり、日本では、ケン・ハマクラ氏が、初めて正式指導資格者に認定されています。
古典的ヨガと同様に、呼吸とポーズを連動させていますが、運動量がとても多く爽快感もその分多く得られることが特徴です。

1-2本来のアシュタンガヨガは順番が決まっている

アシュタンガヨガでのアーサナの構成は、「太陽礼拝・スタンディング・シッティング・逆転のポーズ・フィニッシング」といった流れが決められています。
必ずレッスンの始まりと終わりには、インストラクターがマントラを唱えるのもルールです。
このアシュタンガヨガをベースにしてアメリカで誕生したのが「パワーヨガ」と呼ばれる方法で、アーサナの順番は決められていません。
また、レッスン前後のマントラも省略されていて、実践のみを採用しています。

1-3ウジャイ呼吸でおこなう

アシュタンガヨガの特徴の一つは、ウジャイ呼吸と呼ばれる方法を取り入れている点です。
この呼吸法は、喉の奥を締め付けるような感覚でおこないます。
喉の奥から「シュー」という音を出します。
自律神経のバランスを整え、血行促進、内臓の活性化、集中力アップ、身体の内側から温まっていく効果があるとされています。

1-4マントラを唱える

原則として、アシュタンガヨガでは必ずレッスン前にマントラを唱えるのが流儀です。
マントラは仏教でのお経と思えばよいでしょう。
決まった言葉のルール、その響きだけでも荘厳さが実感できます。
ただし宗教的な配慮もあって、日本国内のスタジオではマントラを省略しているところもあるようです。

アシュタンガヨガにおける八支則とは

ヨガには「ヨーガ・スートラ」という経典があります。
ヨガにおける考え方や呼吸法などを「八支則(はっしそく)」という8つの流儀でまとめたものです。
この八支則をサンスクリット語に訳すと「アシュタンガ」と呼びます。
八支則はヨガの基本であり、連続してポーズをしながら呼吸と動きを連動させる方法です。
感覚の制御、集中力、深い瞑想なども織り込まれ、悟りの境地に達するためのヨガといえます。
では、アシュタンガヨガの八支則とはなにかを解説していきましょう。
八支則とは、以下の8つで構成されています。

● ヤマ(禁戒)
● ニヤマ(勧戒)
● アーサナ(座法)
● プラーナヤーマ(呼吸法・調気法)
● プラティヤハーラ(感覚の制御)
● ダーラナ(集中)
● ディアナ(瞑想)
● サマーディ(悟り)

2-1①ヤマ(禁戒)

ヤマとは、日常生活のなかでの戒律を5つ示したものです。
考え方や言葉の選び方、非暴力、不盗、禁欲といったものに言及しています。
内容は以下のとおりです。

● アヒンサー(非暴力、非殺生)・・・怒らず、行動や言葉で暴力をふるわない
● サティヤ(嘘をつかないこと)・・・嘘はつかない。言行一致を心がける
● アスティヤ(不盗)・・・他人のものを奪わない。自己中心的な行動をしない
● ブラフマチャリヤ(禁欲)・・・欲に溺れず、生命エネルギーを集中させる
● アパリグラハ(不貪)・・・執着や欲望を捨てる

2-2②ニヤマ(勧戒)

ニヤマは、日常生活のなかでの習慣とすべき5つを表しています。
心を整え敬意を払うといった普遍的な心得で構成されています。
以下の5つです。

● シャウチャ(清浄)・・・心身を清らかに保ち、ネガティブ思考をしない
● サントーシャ(満足、知足)・・・今ある当たり前にありがたみをもつ
● タパス(苦行、自制)・・・苦しい状況も受け入れ取り組む
● スヴァディアーヤ(読誦、学習、向上心)・・・良書や本を読む
● イーシュヴァラ・プラニダーナ(信仰)・・・感謝し続け、変化に対応する

2-3③アーサナ(座法)

アーサナとは、瞑想をする姿勢のことで「アース」を語源とします。
瞑想を深めるための座法、および長時間耐えられるためにさまざまなポーズを実践し、体を鍛錬することが目的です。
心身を集中させて身体能力の向上や心を調整するためにあります。

2-4④プラーナヤーマ(呼吸法・調気法)

プラーナヤーマは、呼吸を指します。
サンスクリット語で「プラーナ」と「アーヤーマ」の2つの語句で成り立ち、プラーナは「氣」、アーヤーマは「制御する、拡張する」という意味です。
ヨガをおこなう上での呼吸方法として、落ち着いて心身リラックスに向けるコントロールの手法です。

2-5⑤プラティヤハーラ(感覚の制御)

プラティヤハーラとは、自分の感覚をコントロールすることを指します。
人体の五感はほぼ自分以外の外に向けられていて、それらを内側へと感覚を高め、瞑想の境地に達するようにします。
冷静に客観視するための精神が養われていくのが特徴です。

2-6⑥ダーラナ(集中)

ダーラナは、心(チッタ)を一箇所に定めた状態を指します。
その際は。集中力が高まり長時間でもとどめておけるのが特徴です。
集中力が高まればそれだけパワーも大きくなっていきます。

2-7⑦ディアナ(瞑想)

ディアナとは、サンスクリット語で「瞑想」を意味します。
日常から生み出されていく雑念より開放され、感覚を研ぎ澄まし集中力を高めるためにおこないます。
すべてのヨガにとって、瞑想は欠かせないものとなっています。

2-8⑧サマーディ(悟り)

サマーディは、集中した心が能動的な作用をしなくなった状態です。
これら8種の実修法の中で最上位におかれています。
ヨガの最終目標と思えばよいでしょう。
サマーディに達すれば、煩悩からの解放や悟りを得て、より長時間の瞑想ができるようになります。
仏教の世界では「三位」と称されている状態です。

アシュタンガヨガの難易度

アシュタンガヨガは難易度の高い種類とされています。
理由はアーサナ(ポーズ)の種類が多いことと、運動量が最も激しいからです。
通常のヨガの場合、ゆっくりとした動作野生した状態が多く、体を伸ばす動きが中心となりますが、アシュタンガヨガの場合、常にポーズを取り続けながら手順を決めたとおりにおこなうルールになっています。
そのため、終わった時の疲労困憊度も激しい反面、集中力もそれだけ高まった状態に達しています。
終えた段階での、爽快感は他のヨガ以上に実感できるはずです。

アシュタンガヨガは初心者には難しいのか

アシュタンガヨガは、決められたポーズに則ってハードな動きの多いため、一般的にはヨガ初心者が取り組むのに苦労すると思われます。
ただし、これも個人差はあるので必ずそうだとは言い切れません。
例えば、ヨガに限らずものごとへの取り組みとして、決まった流れを繰り返すことが好きで得意な人には向いている可能性があります。
運動量が多い理由から、体力的に対応できる状態であることが条件です。
体力に自信がない人がアシュタンガヨガに取り組むのはきついかもしれません。
まずは、他のヨガを試しながら運動で体力をつけてから臨んでみるほうが無難です。

アシュタンガヨガの効果

アシュタンガヨガは、各種ヨガの流派の中でも運動量が激しいことから、得られる効果の多さに期待されています。
では、アシュタンガヨガで得られる効果について解説していきましょう。
主に以下の3つが考えられます。

● ホルモンバランスが整う
● 筋力が向上する
● 代謝が高まる

5-1ホルモンバランスが整う

ホルモンバランスの乱れを整える効果が期待できるでしょう。
睡眠不足、ストレス、運動不足、食生活などが原因で、ホルモンバランスは崩れてしまいます。
アシュタンガヨガによる八支則を実践することにより、日常生活の習慣そのものを整えることができるからです。
さらに、アーサナや呼吸によって集中することができて、ストレスの軽減にもなります。

5-2筋力が向上する

アシュタンガヨガの運動量により、筋力アップができます。
動作は途切れることがなく変化していくことや、呼吸法も有酸素運動となっていきます。
筋トレをしている感覚と一緒なので、実践していけばいくほど筋力アップが期待できるでしょう。

5-3代謝が高まる

代謝をアップさせたい人にとっても、アシュタンガヨガはおすすめです。
代謝は、筋力が上がるほど一緒に向上していきます。
アシュタンガヨガでの呼吸法やアーサナで筋力がつくのと同時に、自然と代謝も上がっていくことでしょう。
通常のヨガよりもアシュタンガヨガであれば、代謝を高めることが期待できます。

アシュタンガヨガをおこなう際の基本的手順

ここでは、アシュタンガヨガの順番についてと簡単なポーズを紹介します。
ヨガ初心者でもできるポーズですので、ぜひチャレンジしてください。

● 太陽礼拝のポーズ
● 立ち位のポーズ
● 座位のポーズ
● 終わりのポーズ

6-1①太陽礼拝のポーズ

太陽礼拝とは、太陽を拝むための動きを表現したものです。
AとBのタイプがあり、難易度が低い12のポーズによって構成されています。
太陽礼拝Aの流れは、以下のとおりです。

● 山のポーズ(タダーサナ)
● 両手を上げるポーズ(ウールドヴァ・ハスターサナ)
● 前屈(ウッタナーサナ)
● チャトランガ・ダンダーサナ
● 上向きの犬のポーズ(ウールドヴァ・ムカ・シュヴァーナーサナ)
● 下向きの犬のポーズ(アドー・ムカ・シュヴァーナーサナ)

また、太陽礼拝Bのタイプは、Aの流れへウトカタ―サナ(椅子のポーズ)とヴィーラバドラーサナ(戦士のポーズ)がさらに含まれます。
アシュタンガヨガの基礎として必要なポーズです。
初心者は、まずは太陽礼拝のみ練習してみるとよいでしょう。

6-2②立ち位のポーズ

アシュタンガヨガでの立ち位のポーズは「スタンディング・シークエンス」とも呼ばれています。
身体と心の調和を目指すためにおこなわれ13種類のポーズを駆使しておこなうものです。
前屈から体側、再び前屈から後屈の順に、体全体の柔軟性を鍛えることができます。
体全体を動かすので自然と温まってくるでしょう。
アーサナのスタイルとしては、親指をつかんだ立位前屈のポーズ・三角のポーズ・チェアポーズ・英雄のポーズ1などがあります。

6-3③座位のポーズ

アシュタンガヨガでは呼吸と動きの同調が大切です。
中でも座位のポーズでは、体のバランス感覚と集中力を高めるのに効果があります。
座位のポーズには22種類あり、初心者にとっておすすめできるポーズとしては、西側を強く伸ばすポーズ・舟のポーズ・橋のポーズの3種類をマスターしてみましょう。

6-4④終わりのポーズ

終わりポーズは、別名「フィニッシング・シークエンス」とも呼びます。
アシュタンガヨガのセッションを締めくくるための内容です。
終わりのポーズには計13種類のアーサナがあります。
目的は心身リラックスを誘い、セッションの効果を最大限に引き出すことです。
初心者におすすめできる終わりのポーズは3種類で、支えのある肩立ちのポーズ・ガス抜きのポーズ・鋤のポーズがあげられます。

アシュタンガヨガをおこなう注意点

アシュタンガヨガは、一般的なヨガ以上にハードな動きがあるので、おこなう上で注意しておきたいポイントがあります。
ここでは、アシュタンガヨガの実践での気をつけたい点を解説しましょう。

● 練習中に水を飲まない
● 練習前に食事をしない
● 練習前にシャワーで身体を洗う
● 練習中の会話は厳禁
● アーサナの順番を守る
● 満月と新月の日には練習しない
● 女性は生理中1〜3日には練習しない

7-1練習中に水を飲まない

一般的なヨガの場合は、レッスン途中で水を飲んでも構わないことになっていますが、アシュタンガヨガでは水は飲まないことが鉄則です。
理由は諸説あり、伝統的な習わしによります。
アシュタンガヨガでは、わざと体内に熱を作り込むことになっていて、もし途中で水を飲んでしまうと、身体を急激に冷やして、かえって体調を壊すことがあるようです。
ただしスタジオによっては禁止していないところもあり、その時々の体調で判断することができます。

7-2練習前に食事をしない

アシュタンガヨガの実践では、空腹状態が望ましいとされています。
もし満腹の状態のままだと、内臓への負担をかけてしまう恐れがあるからです。
各種ポーズは高いストレッチを要します。
その時に内臓へも負荷がかかり活発化させるので、満腹状態ではやりにくさを感じるはずです。
アシュタンガヨガを始める場合は、3時間前までに食事を済ませておくことが望ましいでしょう。

7-3練習前にシャワーで身体を洗う

アシュタンガヨガでは、シャワーを浴びるなら練習前に済ませておくことを推奨しています。
これも慣習によるもので、あくまでも正攻法なやり方の一環として定められたものです。
伝統的なヨガの教えでも、練習後の汗を乾かすことで栄養が再吸収されると考えられているからです。
その結果、体がより軽くなるとされています。
ただし、これも状態によりけりで科学的ではありません。
不純物によって悪影響となることもあり得るので、練習後には汗をすぐにふき取るようにしましょう。

7-4練習中の会話は厳禁

これも、マイソールでの伝統的な練習場の慣習を引き継いだものです。
室内での会話は禁止というルールがあります。
アシュタンガヨガは、静寂さの中で無言で練習することになっているからです。
もちろん、レッスン中は音楽のBGMもないと思ってください。
ただし、あくまでも定番ルールであり、各レッスン場によって多少の違いも考えられます。

7-5アーサナの順番を守る

先述にある通り、アシュタンガヨガはポーズの順番が決まっています。
太陽礼拝から立ち位のポーズ・座位のポーズ・終わりのポーズという流れについては、変わることはありません。
その中に決められたアーサナも区分され、順番通りに進行します。
初心者はこの順番を意識しつつも、無理のない程度に徐々に慣れていくようにしましょう。

7-6満月と新月の日には練習しない

伝統に則って厳しい戒律があるアシュタンガヨガは、新月や満月の日に実践をしないことになっています。
これは「ムーンデー」と呼ばれ、月が人体におよぼす影響を考慮しているからです。
ヴェーダ文化・占星術などを基に、パタビジョイス氏が決めたルールとされています。
そのため、スタジオによってですが、伝統尊重でお休みにしているケースもあるようです。

7-7女性は生理中1〜3日には練習しない

アシュタンガヨガにおいて、女性が生理中の際は練習してはいけないことになっています。
アシュタンガヨガは、骨盤内部や下腹部を活動させるアーサナがあり、表面的にだけでなく深部、内臓に近いところにまで活発化させます。
通常なら問題はないでしょうけど、月経中の子宮に影響が出てしまう恐れがあるからです。

まとめ

アシュタンガヨガの動作は、運動量と発汗量がかなり多くてエネルギー消耗が激しいヨガです。
初心者でいきなりスタートするのは、かなりきついかもしれません。
ある程度は体力に自信がある人ならすぐに馴染めますが、体力や運動神経に自信がない人は、あまり無理をせずに基本的なヨガからじっくり進めていくことをおすすめします。
しかしこの流派のヨガは、ダイエット効果や集中力向上などについて、一般的なヨガよりも効果を期待できるでしょう。
ルールや手順をしっかり理解した上で、精通した熟練者から指導を受けながらおこなうことです。
体力に自身があり興味が湧いたら、ぜひトライしてみてください。

日本メディカル心理セラピー協会編集部
心理カウンセラーやカラーセラピーやカウンセリング、整体、リンパケアセラピスト、占い等多岐に渡る資格を認定する日本メディカル心理セラピー協会編集部が運営するコラムです。仕事やプライベートでも役立つ資格が取得できます。ライフスタイルに合わせて柔軟に学べる点が魅力です。
日本メディカル心理セラピー協会

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