タイの伝統医学とは?タイ古式マッサージとの深い絆を解説

タイの伝統医学とは?タイ古式マッサージとの深い絆を解説

記事作成日:2025.03.14
タイの伝統医学とは?タイ古式マッサージとの深い絆を解説

最近では、街中に「タイ古式マッサージ」の看板を掲げた店舗やサロンが増えてきました。
しかし、まだまだ認知度が低く、実際にどのようなマッサージの施術なのかはよく知られていません。
日本国内では、タイ古式マッサージはリラクゼーション目的のビジネスにされていて、医療行為としては非公認です。
しかし、本来のタイ古式マッサージは、タイ伝統医学とも密接な関係があるとされています。
タイ古式と謳われていますが、実際には仏教とともにインド医学が伝来されて派生したともされています。
そのため、タイ伝統医学がどのようなものなのかを理解した上で、実勢に取り組むことが効果的です。
長い歴史を持ったタイ伝統医学は、東洋医学とともに独自の発展を遂げてきました。
本記事では、タイの伝統医学とタイ古式マッサージとの関係性について解説した内容です。
タイの文化や歴史、マッサージに興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

タイの伝統医学とは?

タイの伝統医学とは、心身の調和を目的とする総合的医療です。
仏教の世界観とも通じる概念が横たわり育まれてきました。
特徴としては、自然界との関連を重視している点といえるでしょう。
薬草やマッサージの施術法を活用します。
タイの伝統医学のポイントを簡単に説明すると、以下のような内容です。

● 心身調和を重視
● 自然界の要素を重視
● 薬草やマッサージなどの施術
● 仏教からの多大な影響

タイの伝統医学は、東洋医学の影響と仏教の影響を掛け合わせて、独自の発展を遂げてきた医学です。
そのため、タイの伝統医学を体系的に理解するには、長い歴史で育まれた項目を押さえ、幅広い知識を得ていく必要があります。

1-1タイ王国成立と伝統医学の発展

タイの伝統医学を語る上では、タイ王朝との密接な関係性は重要です。
13世紀頃にアユタヤ王国が成立した際、インド・中国・スリランカといった周辺の諸国からの文化や知識の影響を受けました。
やがて、タイ固有の治療法として、薬草を取り入れた独自の伝統医学が形作されます。
17世紀に入ると、バンコクを首都として遷都され、ラーマ1世によりタイの伝統医学が体系化されていきました。
教育制度も確立し、より薬草栽培・製薬の奨励に尽力しとといいます。
19世紀のラーマ4世の時代には、王室の医師たちにより医学書を編纂、治療法の研究なども積極的になってきました。
タイの伝統医学は、インド伝統医学のアーユルヴェーダ、中国の伝統医学である中医学の影響をかなり多く受けていて、時間をかけて確立しています。
その歴史は2500年の長い年月をかけているのです。
やがて、タイ古式マッサージをはじめ、伝統的処方・薬草学・助産婦学の4分野を軸として確立していきます。

1-2仏教思想と大元素理論の影響

タイ伝統医学は、インドのアーユルヴェーダ、中国伝統医学の中医学の影響を受けつつ、仏教思想や大元素理論と呼ばれる概念も反映されています。
仏教思想からは身心一体・全体性・調和といった基本理念が色濃く、病気の原因を身体的要因に限ることをせずに精神や社会との関係性にも着目しているのが特徴です。
患者の生活全般のケアが不可欠だと提唱しています。
大元素理論とは、タイ伝統医学において中心的概念の1つです。
薬草療法・食事療法・運動療法・心理療法によって、4つの側面のバランスを整えようとする考え方をします。
仏教思想と大元素理論をベースにしながら、独特の世界観と治療アプローチを形成し続けてきました。
タイという国の固有の思想が基盤となっています。

1-3五大元素(地・水・火・風・空)の概念

タイの伝統医学において、人体構成のことを五大元素(地・水・火・風・空)として捉えています。
5つの基本概念のバランスによって、健康維持に関連するものという考え方です。
この五大元素は、仏教思想がベースにあり、宇宙と人体の構成とを比較し模倣して考えられています。
地球や宇宙を形成する元素は5つあることになぞられ、以下のように例えました。

● 地・・・固体
● 水・・・液体
● 火・・・熱
● 熱・・・呼吸と運動
● 空・・・精神性

これら5つの調和が保たれることで、心身も健康が保たれるという考え方です。
地の元素が過剰になれば、肥満や関節痛を引き起こし、水の元素の過剰があれば浮腫・湿疹を引き起こすとされています。
また、火の元素が不足した場合には体温低下や消化不良、風の元素の不足は呼吸困難や筋力低下に陥るだろうという考えです。
空の元素の不足によって、精神的ストレスや不安定な状態になるでしょう。
この五大元素のバランスを整えるような治療展開をするのが、タイの伝統医学の基本です。
処方としては薬草療法・食事療法・運動療法・心理療法などの組み合わせとなり、五大元素の調和を重視するアプローチをします。

1-4人と自然のバランスを観察する

タイの伝統医学は、人と自然のバランスを考えた診断によって発展しました。
患者の体質(体格・皮膚・毛髪・瞳孔など)を観察して、五大元素のバランスを把握します。
地の元素が強いタイプは肥満体質となり、水の元素が強いタイプは浮腫みやすい体質というような診断です。
さらには、脈拍のリズム、触感、強弱から元素の状態を読み取します。
生活習慣などもヒアリングをしながら、元素の偏りや不調の原因を探り、総合的に病状を把握するという方法です。
心理面や社会性も含めたアプローチをするのが、タイ伝統医学の基本的な治療といえます。

1-5五大元素のバランスを呼び戻す治療

タイの伝統医学では、五大元素のバランスの観点から判断し、均衡を保てるような治療や処方をしていくのが流れです。
その際にはハーブ療法・マッサージ療法・食事療法・運動療法を組み合わせ、五大元素を調整することが基本となります。
火の元素を抑える薬草、風の元素を高める漢方薬といったように、各症状から判断して選別する治療です。
マッサージ療法をおこなう際は、「メリディアン」と呼ばれるつぼを捉えて、特定の経穴を刺激します。
症状によって総合的にバランスを取り戻していくことが基本的治療です。
身体の表面的な症状の改善だけに限らず、心理面や精神面からの回復を目指します。

タイの伝統医学のセンについて

タイの伝統医学では、「セン」と呼ばれるものが重視されています。
これは、体内を流れるエネルギーラインのことを指し、タイ古式マッサージでもこのラインを基本とした施術をします。

2-1センの概要

センとは、タイ語で「エネルギーの通り道」という意味があります。
目には見えないエネルギー線なので、仮に人体を解剖したとしても黙認はできません。
タイの伝統医学では、人体に約72000本のセンが存在するとされ、中でも10本が最重要なラインだという考えがあります。
センが滞ると、エネルギーの循環に悪影響を与え不調を引き起こすとされているのです。

2-2センの効果

センに流れに沿って施術をすると心身への効果が期待できます。
おもに以下のような改善がみられるとされてきました。

● リンパや血流の良好な流れ
● 臓器・器官の正常化
● 自然治癒力の向上
● 免疫力アップ
● むくみ解消
● 疲労回復
● 基礎代謝の向上
● 老廃物の排出
● アンチエイジング
● 自律神経の正常化

主要なセンの種類は「真理線」「生命線」「大乗線」などの名称で区分されています。
それぞれには特徴的な働きがあり、真理線は心の健康、生命線は生命力の源、大乗線は全身の調和などに働きかけるなどの概念に則っているのが特徴です。
もし、センの流れが滞ってしまうと、心身への不調が引き起こされます。
熟練されたマッサージの手技を駆使すれば、センに沿ってマッサージしながら、エネルギーの調整を図り活性化が期待できるのです。

タイ古式マッサージとは

タイ古式マッサージは近年注目されている施術です。
イメージから痛いのではと想像する人が多いと聞きます。
しかし、施術はゆっくりと進行し痛みは感じないものです。
時間をかけて頭からつま先までの全身をマッサージします。
施術中、セラピストは指だけではなく腕・肘を使い、40分から1時間のコースになるのが主流です。
指圧、整体、ストレッチなどが総合的に組み合わされているのも特徴で、複数のテクニックによって、人体の自然回復力を呼び覚ますことが目的とされています。
では、さらに詳しくタイ古式マッサージの概要を解説していきましょう。

3-1古代インドからタイへ伝来

タイ古式マッサージの由来は、5世紀頃にまで遡ります。
古代インドから継承されてきたアーユルヴェーダが発展し、治療用のマッサージとして確立されつつある時期でした。
経絡(ナーディ)と呼ばれる神経やつぼに沿った指圧、ストレッチの手技があり、スリランカ、ミャンマー、タイへと伝わったものと思われます。
タイ南部ではインド文化の影響がかなり強いこともあり、仏教とアーユルヴェーダ医学の要素も伝わり、民間療法と融合したことでタイ古式マッサージが形成されました。
当初はタイ王朝や周辺貴族の間にのみ施術されていましたが、徐々に一般化され、20世紀初頭になりタイ政府が教育カリキュラムとして正式に公認して誕生しました。
インドの古い医学と東洋医学の知見を基盤に、タイ独自の文化的背景の中で発展を遂げ、現代では世界的にも知られています。

3-2仏教や中国医学の影響を受けた発展

タイ古式マッサージが現在に至るまでには、仏教・中国医学からの影響も受けています。
仏教そのものがタイの国教とされ、タイ古式マッサージの理念にも反映されました。
心身一体の調和を目指す考え方などは、まさに仏教的な思想で、マッサージの実践にて重要な指針とされているのです。
呼吸法や瞑想などの要素も、タイ古式マッサージには強く根付いています。
中国の医学的影響としては、経絡理論や臓腑論などの「中医学」の概念があり、インドのアーユルヴェーダ医学との融合によって、タイ独自のマッサージ療法が発展しました。
つまり、タイ古式マッサージは、インド・中国の宗教や文化的背景の中で、独自の医療システムを形成したことが特徴です。

タイ古式マッサージの基本

タイ古式マッサージの特徴は、経絡(ナーディ)に沿って手技が展開される点です。
指圧・タッピング・ストレッチなどを総合的に使い、経絡上にてエネルギーの流れを促進します。
腕、足の経絡ラインに沿った手技が多用されている施術です。
その他にも特徴的なものが目立ち、以下のような内容が基本とされています。

4-1足を重視した施術

タイ古式マッサージでは、足を重視した施術をします。
足裏から上半身へと流れるように進んでいき、中でも、足には40分以上ゆっくり時間をかけるのが特徴です。
タイ古式マッサージの考えでは、人体において足は筋肉の70%を占めていることから、血液やリンパの循環を促進するものとして重要視しています。

4-2センを意識した施術

タイ古式マッサージでは、「セン」と呼ばれるエネルギーラインを重視します。
センは、つぼが集中したラインと思えばよいでしょう。
体内には10本あるとされていて、そのうちの6本は足にあるという考えに基づいています。
そのため、肩こり・頭痛などの改善でも、施術は必ず足から始まるのがルールです。

4-3施術者がアクティブに動く

タイ古式マッサージが他のマッサージと異質なところは、施術者も同時に動きながら進行することにあります。
そのため「二人でおこなうヨガ」とも称された施術です。
基本的にはベッドに仰向け状態で施術しますが、施術者が立ったり膝をついたりしながら手技を施します。
場合によっては、腰やひざに体重をかけるなど、ややアクロバティックな動きも取り入れ、患者の深部にまでアプローチをかけていく施術です。
所要時間も2時間近くゆっくりと進行します。
じっくりと丁寧に、全身的なリラクゼーション効果を高められるのが魅力です。

4-4複合的なマッサージ

タイ古式マッサージは、指圧・整体・ストレッチなどの各々のよさと施術を組み合わせた施複合的な方法です。
複数のテクニックを同時進行させるので、手指だけではなく腕・肘・足を駆使しながら施術してくれます。
そのため、施術後の満足度も高く評価されています。

タイの伝統医学とタイ古式マッサージの深い関係性

タイの伝統医学とタイ古式マッサージは、お互いに統合的治療方法として発展を遂げてきました。
影響を受け合いながら東洋医学・西洋医学の知見を融合させています。
その上で、タイ独自の医療・療養アプローチとして完成させました。
ここでは、タイの伝統医学とタイ古式マッサージとの深い絆・関係性を解説していきます。

5-1ワット内での伝承療法からスタートして広がる

タイ古式マッサージは、タイの伝統医学に基づき多くの施術を体系化したとされています。約120分程度は、足を中心にして時間をかけていく施術法です。
タイの伝統医学そのものが伝承医学とされ、仏教寺院の中で弟子から弟子へと伝わったとされています。
タイ国内にある無数のワット(寺)にて、その数と同じくらい施術法が存在しとともされ、タイ王国が保護してきました。
しかし、周辺諸国との戦争などで文献・記述のほとんどは消滅し、西洋医学の流入によって衰退したものと考えられるのです。
ところが、 90年代以降よりタイ古式マッサージの概念が復興し、多くのワットにてマッサージスクールなどが設立されるような動きがあり、誰もが安全な施術法としてパッケージ化したものを学べるシステムが流行りだしました。
やがて外国へも伝わり現在に至っています。
ただし現在のところ、タイの高僧が一般人向けへマッサージを伝授するシステムはなく、あくまでも、タイの伝統医学の遺産としてタイ古式マッサージが取り上げられ、スクールで指導されているようです。

5-2原則としては四大元素論に基づく深い関係性

タイ古式マッサージで必ず登場するのは、四大元素の相関関係です。
これは先述した、タイの伝統医学にある地・水・火・風の考え方をベースにしています。
最近では「空」も加えた五大元素論ともされていますが、古典的な概念は四大元素論です。
例えば、「地」の要素としては、筋肉・骨格系に対して指圧やこねの技法を加えます。
もし「水」の要素に対する場合は、循環系に指圧やタッピングなどの拍動的手技を用いるといった方法が決まっているのです。
「空」の要素に対しては、神経系や内分泌系の器官に向けたストレッチやリラクゼーション手技でアプローチします。
タイ古式マッサージの目標は、四大元素論に基づき、適切な手技を組み合わせ全身ケアをする施術です。

5-3ハーブ療法とマッサージ

タイの伝統医学の中核に位置するのがハーブ療法です。
薬草や香草を調合しながら、体調や症状に合わせて処方します。
代表的なハーブとしてはリンデン、カフィアライム、レモングラスなどです。
これらは、マッサージオイルに混ぜることもあり、皮膚から吸収されてより効果が期待できます。
ラベンダーやカモミールのオイルは、心身のリフレッシュ効果が高まるとされ、ショウガやカプサイシンのオイルは、ケガの治療にも効果的です。
ハーブ療法とタイ古式マッサージは相互に効果を高めることができます。
患者の症状などでハーブとマッサージの組み合わせを提案していく手法なのです。

5-4マインドフルネス的考えが基本

タイ古式マッサージでは、マインドフルネスとも関係性があります。
「今この瞬間へ注意を向ける」を意味し、近年注目されている概念です。
タイ古式マッサージでも、瞬間に集中することを重視していて、施術者は患者の身体の変化や反応を感じ取り手技を丁寧におこないます。
患者自身も呼吸や感覚の変化へ注目するよう促すことを基本としているのです。
今に集中することで、心と体の調和を目指す東洋医学の考え方とも密接な関係があるとされ、精神的アプローチも重要視されています。
ストレスの解消や心の安らぎを得ることが、自然治癒力をさらに高めるからです。

まとめ

タイ古式マッサージとタイの伝統医学は、タイ王朝の隆盛とともに密接な関係性を保ってきたとされています。
中国の古典的な医学を中心とした東洋医学の影響も受けながら、タイでは独自に施術方法が確立されてきました。
東洋医学の共通項としては、身体の不調への反応を見出し、自然回復力を呼び戻すことにあるしょう。
施術によってアプローチを施しはしますし、ハーブ療法や食事療法などの提案もしますが、原則として患者の治癒力に委ねるところは、周辺のアジア圏の諸国の健康法と一緒です。
比較的安全性が高く、副作用もほとんどないことで、今では世界中から注目されるようになってきました。
理論を学んで習慣化できるようにマスターしていけば、病気予防などにも役立ちます。
タイの伝統医学とタイ古式マッサージは、古い概念ながら新しい気づきを与えてくれる健康法です。

日本メディカル心理セラピー協会編集部
心理カウンセラーやカラーセラピーやカウンセリング、整体、リンパケアセラピスト、占い等多岐に渡る資格を認定する日本メディカル心理セラピー協会編集部が運営するコラムです。仕事やプライベートでも役立つ資格が取得できます。ライフスタイルに合わせて柔軟に学べる点が魅力です。
日本メディカル心理セラピー協会

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