普段より、整体、カイロプラクティックなどの看板を掲げた店舗やサロンを見かける機会が多いことでしょう。
ところが、それぞれについての細かい違いが認知されておらず、体の痛みや悩みに応じて、どの種類の施術を受けるのが最適なのか、理解していない人も多いのではないでしょうか。
どちらのほうに受診すれば効果が期待できるのかなど、素朴な疑問が浮かぶのも当然なことです。
そこで本記事は、整体とカイロプラクティックの違いについて紹介しながら、各メリットについてや施術内容、保険適用の有無、費用などを比較していく内容です。
体に不調を感じている人や、施術の選び方に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
整体とは、筋肉や骨格のバランスを正常に整える施術のことです。
手技・鍼灸・電気系統など、施術方法には個人差があります。
どの店舗やサロンにいくかで治療方法が違ってくるので、最終的には自分にマッチした整体院選びをするとよいでしょう。
多くの場合は手技を用いて、関節の可動域を広げることや筋肉のコリの解消を中心に、リラックス効果も感じられる施術を受けられるでしょう。
中でも骨盤矯正、筋膜調整などは、体のバランスを整え姿勢改善が期待できます。
店舗によっては、ストレッチや筋トレについてのセルフケアのアドバイス・指導もしてくれるので、再発予防にも最適です。
施術中の強さなども差があるので、施術の強度をその都度好みで調整してもらえます。
整体の施術ノウハウについては、資格を保有する必要はありません。
まったくの無資格で経験のみで施術している人もいますが、多くは民間資格を受講し、そのテキストを基にマスターした人物が開業しているケースです。
そのため、整体院の場合、民間資格保有者の割合が多い傾向です。
整体は医療行為が禁止されています。
街中を見渡せば、マッサージやリラクゼーションといった表記をするサロンや店舗が点在しますが、「マッサージ」の表記を使えるのは国家資格を所持した人物だけです。
そのため、整体と表記された店舗は、基本的に国家資格を所持していない人物によるケースが多いでしょう。
ただし中には、理学療法士や柔道整体師などの資格を持つスタッフが在籍する整体院もあります。
カイロプラクティックの施術は、脊椎を中心に体の構造と機能に注目しながら手技でおこなうヘルスケアです。
脊椎やその他の部位を調整することで、痛みの根源となる箇所を軽減させ、関節可動域や機能を改善し、自然治癒力を高めます。
骨格の歪みを手技によって調整しながら、神経の働きも回復させることができるでしょう。
カイロプラクティクでの大きなアプローチの特徴としては、どこに基礎をおいているかに注目すべきです。
まず、一般的な整体の場合は、東洋医学を基礎としながら日本や中国由来の施術をベースにしていますが、カイロプラクティックは西洋医学を基礎としています。
元々アメリカで発祥した手技療法です。
西洋医学の分野から見た解剖学、生理学、病理学より体系的に捉えている施術として、輸入されたものと考えればよいでしょう。
カイロプラクティックは、多くの国々で医療の一形態として扱われ、国家資格を持った専門家による施術がポピュラーです。
しかし、日本では法律での定義がないため、施術者によって方法が異なります。
多くの場合は、整体と同じように、民間資格所持者によるものが見受けられる傾向です。
整体によって改善できることは、肩こり・腰痛・骨盤の歪みなどの緩和です。
また、自律神経失調症や緊張型頭痛といった症状へのアプローチができて不調を緩和させることも期待できます。
改善できる内容は多岐にわたっていて、整体師の施術方法や考え方で異なるでしょう。
整体でできることは、日々の生活習慣が原因で引き起こされる体の悩みにアプローチして、悩みの解決や再発予防の目的です。
生活習慣の悪影響を、具体的なストレッチや筋トレなどのセルフケアによって、改善できるようにアドバイスもします。
全般的な姿勢の改善、負荷の多い動作の改善などを目的にした施術です。
整体の施術には、リラクゼーション効果も期待できるでしょう。
マッサージなどによって副交感神経へ影響をおよぼします。
背骨周囲の柔軟性を蘇らせ、疲労回復や心理的ストレスの解消にも役立つでしょう。
カイロプラクティックは、背骨の歪みにアプローチするため、血液やリンパの流れ、自律神経の乱れを整えます。
冷え性・便秘などの不調の改善にもつながるでしょう。
他にも、腰痛・頭痛・むち打ち・肩こり・股関節や膝の痛みなどにも効果的です。
整体と同じように、効果の範囲も多岐に渡っています。
カイロプラクティックの効果としては、関節機能の向上が期待できます。
歪みが正しくなることで、全身が連動して動きやすくなるからです。
背骨・体幹より始まり、手足の末梢へと連動した健全な動きに改善されるでしょう。
椎間板や靭帯などの老化予防、各関節の潤滑の最適化も期待できます。
また、筋肉機能の向上も期待できるでしょう。
インナー、アウターの双方の筋肉の働きが活性化され、血流や体温、代謝、免疫力の向上も期待できます。
整体とカイロプラクティクは、東洋医学と西洋医学の観点の違いもあり、アプローチに差があります。
そのため、施術方法には多少の違いも見受けられるのが特徴です。
整体の主なアプローチは、手技によって全身の筋肉・関節・リンパの状態を判断して、症状のある部位に働きかけて全体バランスを整えていきます。
具体的な方法は以下のようなものがあげられるでしょう。
● 指の腹で指圧し筋肉の緊張を緩和させる
● 手のひらや指先でマッサージしながら筋肉をほぐす
● 関節の可動域を広げるストレッチングをおこなう
● リンパに沿って手のひらで圧しながら流れの改善をする
上述した手技の組み合わせで、患者の状態によって施術していきます。
症状の緩和とともに体のバランスを改善する施術です。
筋肉の緊張やリンパの滞りなどの局所的な問題の解消をメインにしつつも、そこから連鎖的に引き起こされる影響へもアプローチし、全身を総括することが整体の特徴です。
カイロプラクティックの施術アプローチは、脊椎の歪みに着目します。
脊髄から神経系の機能回復を試みるアプローチです。
最初はX線や姿勢分析などの検査をおこない、脊椎の歪みの状態を把握します。
歪みの程度や原因を割り出し、その上で適切な矯正方法を決定させていく流れです。
主な施術方法は、以下のようなものがあります。
● 手や指の力で椎骨の位置を矯正する
● 専用の矯正器具を用いた椎骨の位置調整をする
● ソフトティシュ治療(筋肉やインナーマッスルの緊張緩和)をする
特徴的なのは、脊椎の歪みの矯正を徹底的におこなう点です。
脊椎の歪みによって神経が圧迫され痛みや感覚異常、内臓機能の低下などへアプローチしていきます。
そのため、整体よりも局所へ集中する専門的な手技です。
整体とカイロプラクティックは、発祥や歴史、アプローチに差がありつつ、共通な視点も多く見受けられます。
ここでは、カイロプラクティックと整体の共通項について解説していきましょう。
カイロプラクティック・整体の双方に共通することは、基本的には施術者の手技で施術をする点です。
個人差もあり器具類を使用するケースもありますが、あくまでも補助的な役割にとどめている場合がほとんどでしょう。
まずは、手技の実践と経験を持った施術者が評価を上げていきます。
双方の施術の根幹で、人間の自然治癒力に委ねている点もあげられるでしょう。
自然治癒力による回復を最大目標としていることは共通です。
人間の体に元々備わった回復力を生かし、時間経過と共に正常なポジションに戻っていく様子を伺いながら、数回に渡って経過観察していく方法になるでしょう。
即効性がない分、徐々に時間を経て正常化させる効果が期待できます。
整体やカイロプラクティックの施術の中では、ボキボキと大きな音を鳴らしながらおこなうパターンも想像できます。
とくにカイロプラクティックのほうが、大きな音を鳴らすイメージのほうが強いかもしれません。
大きな音が鳴っていると、痛そうで不安になる人もいることでしょう。
ここでは、整体とカイロプラクティックでの音の関連性について解説していきます。
結論から言えば、あのポキっとなる大きな音は骨が鳴っているわけではありません。
骨と骨の間の関節内の「液胞(えきほう)」がはじけている音です。
液胞そのものは、動物のすべてが持っているものです。
日常生活でも、指の関節をポキポキと鳴らすことがあるはずです。
これらも関節の中の液胞が弾けています。
関節は、潤滑油のような液体を関節包で覆った構造をしています。
整体やカイロプラクティックの施術の途中で、関節包に圧力が加わりガスの気泡が発生して弾ける際に音が出ます。
そのため、あの音はごく自然な現象なので心配はいりません。
原則として、音がなる現象自体には問題がありません。
ただし、大きな音に快感や面白みを持って無理やり鳴らそうとするのは危険です。
思わぬ事故などになることも考えられます。
仮に、音ばかり鳴らそうとする施術をする店舗やサロンだとしたら、あまりおすすめはできません。
熟練した施術者による矯正であれば、安全性を重視して必要な個所だけに治療をするはずです。
本来、整体やカイロプラクティックは、不安も取り除いて、心地よく安心しながら受けられる施術でなくてはなりません。
整体とカイロプラクティックのどちらを選ぶのが賢い方法でしょうか。
症状や治療目的などもあり、判断するのに難しい側面があります。
しかし、おおまかな目安として、以下のようなポイントを押さえておくと効果が期待できるでしょう。
整体に向いている症状は、筋肉や関節系統の痛みや違和感です。
症状の特徴として筋肉や関節に痛みが生じていることを実感した場合や、可動域の制限を感じている場合は、整体院を受診してみるとよいでしょう。
アプローチの目的自体が、歪みが出ている部位の周辺を矯正してくれるからです。
明らかな脊椎の機能障害や神経症状に問題があればカイロプラクティックが最適です。
とくに脊椎の機能回復を目的としているのがカイロプラクティックの利点とされています。
西洋医学に基づくカイロプラクティックの概念では、痛みの原因を客観的に発見できます。
また、病院で診察を受けている場合、診断結果を反映させた施術も可能です。
一般的な整体院での施術には保険が適用されません。
施術料の支払いは全額自己負担となってしまいます。
もし、整体院ではなく接骨院で施術を受けた場合は、保険適用の可能性があるでしょう。
理由は、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師、柔道整復師のいずれかの国家資格を持った施術者がいて、整骨院として開業しているはずだからです。
一方、カイロプラクティックに関しては、現在国内で法律規定がないため民間療法の扱いになっています。
そのため原則としては保険適用がされません。
施術料は全額自己負担となります。
ただし、一部例外が認められているのも特徴の一つです。
● 交通事故や労災事故での傷害の治療
● 医師の指示によりリハビリの一環としての治療
● 慢性的な腰痛や頸部痛などの症状に対する治療
これらに該当するケースは、カイロプラクティックでも医療行為の一種として扱われ、医師の管理下において医療保険の適用範囲内として治療費の補助がされます。
保険適用の条件などは保険会社によっても異なるので、事前に確認が必要です。
整体とカイロプラクティックの費用は、ほぼ同じくらいと考えてよいでしょう。
整体の料金の目安としては、3,000〜8,000円程度が普通です。
もちろん施術内容、時間ごとによるコースで異なります。
通常では40分コース、60分コースなどから選べるでしょう。
各整体院によって差があります。
カイロプラクティックに関しても同じで、料金相場も3,000〜8,000円程度です。
施術内容や時間によって料金区分が異なります。
ここでは、整体とカイロプラクティックの施術に役立つ資格を紹介しましょう。
とくに以下の資格を、整体やカイロプラクティックの民間資格と併行して取得しておくことをおすすめします。
● 姿勢コーディネーター®資格検定
● 体幹コーディネーター®資格
● リンパケアセラピスト資格
● タイ古式整体士®資格
姿勢資格の姿勢コーディネーター®資格は、正しい姿勢の知識を認定する資格です。
姿勢・心・体の三位一体な関係性から入り、顔のゆがみやスタイルの概念、女性ホルモンのバランスなどの専門的な理解も深くなっていきます。
姿勢の正しさを追求し健康を保つ方法論を習得したことを証明する資格です。
資格取得後には、姿勢コーディネーター®として専門的な活躍が期待できます。
体幹コーディネーター資格とは、猫背による悪影響や骨盤と姿勢の関係、ダイエットと姿勢の関係など、身体バランスを保つための知識を持った人物を認定する資格です。
良い姿勢へと矯正するための手技やストレッチ、ルーティーワークになるヨガの知識、立ち方・座り方・歩き方の正しい知識を証明します。
他にも、美しい姿勢を保つのに有効的な生活リズムや習慣の知識なども学べる資格です。
資格取得後は、体幹コーディネーター®として自宅やスクールで活躍できます。
リンパケアセラピスト資格認定試験とは、体の仕組みについての基本知識やリンパケアの理論と方法、症状別によるケア、リンパに良好な食材の知識などを身につけることができる資格です。
リンパの循環システムに関する深い知識や、適切な手技の実践的方法が学べ、美容や健康に貢献できるスキルとして認知されはじめています。
資格取得後には、リンパケアセラピストとして活躍が期待できるでしょう。
タイ古式整体士®資格とは、タイ古式整体の知識を有していることを認定する資格です。タイ古式マッサージの歴史やタイ国の概要、仏教との関連性、瞑想の方法、タイの伝統医学といった机上の基本理論も含まれつつ、ハーブボールやホットストーンの扱い方、開業した際の接客での注意点といった実践的内容まで踏み込んだカリキュラムになっています。
タイの古式ボディヒーリングを通じて、施術の方法と注意点、道具に関するノウハウなど一定の知識を持っていることが証明される資格です。
資格取得後には、タイ古式整体士®として、講師活動や施術師として活躍が期待できます。
整体とカイロプラクティックに関する効果や違いは、あまり深く考える機会もないことでしょう。
それよりも、すぐにでも悩みのタネとなっている症状の緩和や解決を求めることを重視するからです。
しかし、自分の症状の原因を突き止め解決するためには、もう一度冷静に判断する必要があります。
痛みや辛さのタイプや、筋肉や骨格とのバランスなども確認して、適切なアプローチに基づいた施術を選ぶようにしましょう。
整体を受診すべきか、カイロプラクティクを受診すべきかは、前知識があれば症状や痛みの部位などからある程度は判断できるので、よくリサーチしてみることが大切です。
とくに、同じ姿勢のまま過ごすことが多い人や、いたずらにスマートフォンばかり眺めて過ごしがちな人などは、毎日の習慣の中に危険性があります。
整体とカイロプラクティックは、共通項もありアプローチも似ているのが特徴です。
まずは、気軽に受診できる整体で診てもらい、定期的な通院も考えておきましょう。
その上で、経過によってカイロプラクティックへの受診も検討するという順番が適当です。