リンパマッサージの順番は?流す方向や注意点って?

リンパマッサージの順番は?流す方向や注意点って?

記事作成日:2024.08.21
リンパマッサージの順番は?流す方向や注意点って?

人体には複雑なリンパの流れがあります。
もしリンパの流れが滞ってしまうと、体調に異変が起こるとされ、とても重要な器官なのだろうとは思っているはずです。
しかし、明確なメカニズムや効果などをしっかり理解している人は多くありません。
リンパマッサージは、効果的な健康法とされていますが、正しい方法を実践しなければ有効ではありません。
まずは、正しい知識を身につけて実践を積んでいくことをおすすめします。
本記事では、リンパマッサージについての概要を中心に、基本的な手順を解説する内容です。
順番や流す方向などのルールに則って、リンパマッサージの施術を正しい順番でおこなうためのポイントを理解していきましょう。
リンパマッサージを習慣としておこないたい人や、これからリンパケアセラピストを目指したいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

リンパマッサージに期待できる効果はなにか

体内にリンパの流れがあると、よく耳にすることでしょう。 リンパ腺という言葉も一度は聞いたことがあるはずです。 では、リンパとは一体何かをうまく説明できるでしょうか。 ここでは、リンパの概要とリンパマッサージで期待できる効果について解説していきます。

1-1リンパは体内の不純物をろ過する役割がある

リンパマッサージを定期的に施術していくことで、健康面での効果が期待できます。 理由は、体内を流れるリンパ液の状態が良好になり、体内の不純物や老廃物を流してくれるからです。 リンパとは、体内の循環ルートである「リンパ系」と呼ばれる網目状に組織された管が集合して形成され、さらに、複数のリンパの管が合流した地点では豆状に化して「リンパ節」を形成します。 やがて鎖骨の下側にあるリンパ節に集約されて、そこからろ過をして尿などで排出させるように機能するのが役目です。

1-2リンパは免疫力向上や排泄機能の役割がある

このリンパ節を刺激しながらリンパ液の流れを正常にすると、抗体の活性化がされ免疫力向上に有効的です。 リンパの流れの役割としては、排泄機能・養分供給機能もあります。 排泄機能としては、老廃物を収集し不要な水分とともに体外へ排出させ、養分供給機能は、リンパの流れとともにホルモンや栄養素の供給をしてくれる効果です。 そこで、リンパマッサージやリンパケアによって、人為的にリンパ節やリンパ管へのマッサージを施して、正常な流れを作り出し、適度の刺激によって活性化させます。

リンパの仕組みと役割

リンパとは、血液循環とも関係性が深く重要な役割があります。 リンパ管が体内を張り巡らしていることで、さまざまな部位の細胞で不要になった老廃物や余分な水分を吸収し流します。 やがてリンパ節にて、体外への排出作業をするような仕組みです。 言い換えれば、リンパ節はリンパ管から運ばれた老廃物を分別するフィルターのような役割で、体内の浄化や免疫反応のために働いてくれます。 根本的には、人体の末梢から中心に向かう一方通行の流れです。 手足の先は心臓から遠いため、リンパの流れや血行が悪くなることがあります。 そこでリンパマッサージのセオリーとしては、抹消部位からマッサージを開始し、リンパの流れの補助をしながら効果を向上させるような施術です。 最終的には、鎖骨の下の静脈角から静脈に注ぎ、尿となり排泄されます。 また、太いリンパ管には弁があるので、逆流を防ぐことができるのです。

リンパマッサージの効果を引き出す順番

リンパマッサージは施術方法をしっかりマスターすれば、セルフケアもできます。 ただしそのためには、効果が期待できるための順番を覚えて実践しなくてなりません。 では、効果が引き出せるリンパマッサージの順番とはどのようになっているのでしょうか。 ここでは、リンパマッサージの正しい手順方法を解説します。 1. 鎖骨 2. 肩 3. 顔 4. 脇 5. 腕 6. 鼠径部 7. 脚

3-1手順①まずは鎖骨から始める

リンパマッサージの施術を始めるにあたって重要なのは、鎖骨からスタートするという鉄則です。 鎖骨のあたりは重要な部位であることを認識しておきましょう。 実は、リンパの流れの最終出口は鎖骨にあるリンパ節とされています。 最終的には、全身のほとんどのリンパの流れは、左鎖骨下にて静脈と合流し排出される仕組みです。 この部分は、全身のリンパが集まることで、老廃物などが詰まりやすい場所でもあります。 もし鎖骨リンパ節が詰まったままだと、老廃物の排出がうまくいきません。 施術方法としては、鎖骨の内側を指でさするようにします。 必ず、全身のリンパマッサージでも、一部分のみのリンパマッサージでも、鎖骨からスタートする共通のルールを守るようにしましょう。

3-2手順②肩

鎖骨のマッサージが済んだら、次は肩へと移ります。 その際の施術ポイントは、首から開始して肩口に向かって、なでるようなマッサージをすることです。 その後、肩口から鎖骨へと向かって流していきます。 ここでも、鎖骨への流れを意識することが大切です。

3-3手順③顔

肩が終わったところで、次は顔全体に移ります。 まずは口元より顎下に向かいながら優しくマッサージをします。 この際も軽くさするような感覚でやってみてください。 やがて顎からフェイスラインに沿って、耳に向かってマッサージします。 その後、目元から頬骨の下を通りながら耳の前までの施術です。 次に、目頭からまぶたの上と目尻に向かい、耳の前までマッサージします。 最後に、耳の前から首を通り鎖骨リンパ節へと流す順番です。

3-4手順④脇

次に脇の下へと移ります。 脇の下も、リンパ節が集中している大事な部位です。 片腕を上げたら、もう片方の手のひらを脇の下にあてて、密着させながら押さえるようにして圧を加えていきましょう。 注意点としては、指で強く押そうとしないことです。 脇の下の施術に限らず、リンパマッサージの場合は手のひらの面全体で押さえる感覚を覚えていきましょう。

3-5手順⑤腕

腕のリンパマッサージの場合は、まず片方の腕を上にあげましょう。 そして、もう片方の手のひら全体で、あげた腕の手首から始まり、肘、脇の下へと、軽くなでるような感覚でやさしく流していきます。 リンパの流れの法則としては、必ず末端部分から中心に向けて流すことがルールです。 そのため、手首あたりからスタートすることになります。

3-6手順⑥鼠径部

鼠径部へと移動する際は、まず肋骨の下あたりから腹部・下腹部に沿ってマッサージをスタートします。 ここで注意してほしいのは、鼠径部を中心に次の流れが変わる点です。 膝上から大腿部は、鼠径部に向かってさすることになるので、方角は上に向かってマッサージします。 最後に、鼠径部のリンパ節を両手で押さえて軽く圧を加えましょう。 ちょうど鼠径部が、リンパマッサージの流れの分岐点になるような感覚です。

3-7手順⑦脚

リンパマッサージのラストは、脚部の施術です。 膝のお皿周りをなぞるように、膝裏に向かってマッサージします。 次に足首からふくらはぎの順に、膝裏に向かってさすりあげていくようにやっていきましょう。

リンパマッサージの正しい手技

リンパマッサージは正しい手技の習得をする必要があります。 リンパ管は皮膚の浅い箇所で流れていることや、鎖骨周辺、鼠径部、脇の下といったリンパ節が集中するポイントがかならずあることも知っておくことです。 適切なマッサージ手技をマスターすることで、力加減や動作などを実践的な感覚を理解しておかなければ、かえって悪化してしまう可能性があるでしょう。 では、リンパマッサージにおける正しい手技の詳細を解説していきます。

4-1ストローキング・ミルキング・タッピング

リンパマッサージの施術をマスターするのであれば、基本的な「ストローキング」「ミルキング」「タッピング」という3つの技法を学ぶようにしましょう。 これらは、ケアの基本的な手技とされています。 ストローキングとは、リンパ液の流れに沿って優しくさするテクニックです。 主に手のひらを駆使し上下に繰り返し動かします。 筋膜に沿って滑らかに優しく動かすテクニックが要るでしょう。 決して力まずにやさしくさする動作を意識します。 ミルキングとは、手で圧迫しながら上から下へ動かすテクニックです。 この手技をおこなうことで、リンパ液の滞留が改善できます。 指の腹を使い優しく押し上げて動かすことがポイントです。 タッピングとは、手のひらや指先で軽く叩くような動作をします。 基礎代謝を高めるための手技で、リズミカルにおこなうことがポイントです。 これらの基本テクニックを、複合的に組み合わせながら施術します。 患部の状態に合わせながら使い分ける施術です。

4-2圧力・スピード・方向

正しいマッサージには、適切な圧力とスピード、方向の意識が大切です。 圧力は、決してグイグイと強く押すのではなく、優しくタッチして撫でるくらいの力加減でおこないます。 つい指圧のように強く押したほうが効果がありそうに思いがちで力みたくなりますが、筋肉や組織を痛めてしまうかもしれません。 かといって、あまりにも弱すぎてもしっかりリンパが流れないので、適度な圧を意識してゆっくりと進めていくようにします。 スピードは、常にゆっくりと緩やかな動作です。 リンパ液の流れを妨げないよう、焦らずに丁寧に施術します。 中でも、鼠径部や太腿内側などは、リンパ節の集まる部位なので慎重に扱いましょう。 流す方向の基本は、リンパ液の流れに沿って上から下へと動かします。 ただし、部位によっては方向が異なる場合があるので、注意しておこないましょう。 四肢は、遠くから近くに向かって動かすのが基本動作ですが、体幹部は、中央から外側に向かって動かしていきます。

リンパの流れを促進する3つのよい習慣

リンパマッサージの施術をおこなってそのままにするのはもったいない話です。 できれば、さらに良好な状態へと促す意味でも、最低限やってほしい習慣があります。 リンパマッサージを毎日行いながら、以下の3つの条件も取り入れてルーティーンにしてみましょう。 ● 運動をする ● 体を温める ● リラックスする

5-1運動をする

リンパマッサージの習慣とともに、規則正しい運動を心がけてみましょう。 ウォーキングや軽い体操、縄跳び、筋トレなどでも構いません。 体全体を動かすことで、リンパの流れも自然な流れへと回復傾向に向かうからです。 例えば、毎日がデスクワーク中心で、長時間同じ姿勢をしているような人はなおさら、定期的に体全体を動かしましょう。 ただしポイントは、適度な運動ということなので、アスリートのように過度に追い込む必要はありません。

5-2体を温める

施術効果を高めるために、体を暖かくする工夫をしましょう。 良好な血液やリンパの流れは温かい状態がベストです。 真冬の時期はもちろんのこと、真夏でも、冷房が効きすぎた状態では体が冷えすぎてしまうでしょう。 服装で調節しながら、常に冷やさないような習慣を作ることです。

5-3リラックスする

リンパマッサージの効果を高めるには、リラックスした状態がよいでしょう。 つい毎日の仕事などで緊張状態が続いてしまうような人は、なるべくリラックスできる時間を作る工夫をするのが大切です。 理由は、精神的影響によって、交感神経が興奮し緊張状態になってしまうと、血流が悪くなるからです。 さらには、血圧上昇や浅い呼吸などで不調な状態に陥ることになります。 おおらかな気持ちでリラックス状態に入っていれば、副交感神経が優位になり血流状態は改善されるでしょう。 アドレナリンではなく、ドーパミンやセロトニンを出すための方法を取り入れることです。

リンパマッサージのタイミングと頻度

リンパマッサージの施術をする際のタイミングについてです。 最も効果を実感できるとしたら、どのくらいの周期でおこなえばいいのかが気になります。 また、週単位や月単位などで、何回くらいの頻度で施術すると効果が期待できるのかなど、リンパマッサージの施術のルーティーンについて解説しましょう。

6-1おこなうタイミングは入浴中・入浴後か就寝前がベスト

リンパマッサージをおこなうタイミングとしておすすめなのは就寝前、もしくは入浴中・入浴後です。 体が温まっている入浴中や風呂上がりは、血行が高まっていて、リンパの流れも良好になりやすく効果が高まります。 ポイントは、体が温まった状態で施術することです。 あるいは、就寝前などもおすすめできるでしょう。 もちろん昼間おこなってもいいのですが、夜のマッサージはさらに効果的です。 リンパの流れは重力に逆らえないのが特性なので、横になっている状態のほうが流れやすいからです。 昼間に滞ったリンパを施術で流せば、睡眠中に老廃物の排出を自然にしてくれます。

6-2頻度は一日一回

リンパマッサージの頻度は、一日に一度と思っておくとよいでしょう。 言い換えれば、リンパマッサージは毎日行うことがベストです。 とくに代謝アップやダイエット目的の場合は、毎日のリンパマッサージを習慣化するとよいでしょう。

6-3継続が効果を向上させる

リンパマッサージは、毎日一回でいいので、続けることが大切です。 興味本位で1〜2回施術しただけでは、大した効果は期待できないでしょう。 毎日のセルフケアをしていくことで、自分の身体の状態が次第に把握できるはずです。 毎日一回を長い目で継続していく意識を持って取り組んでみましょう。

リンパマッサージをおこなう際の注意点

リンパマッサージの施術方法を正しく理解すれば、道具も一切必要なく、自宅でもおこなえます。 しかし、リンパの流れや人体の仕組みを理解しておかないと、いくら施術しても効果が出ない場合が考えられるでしょう。 もし効果が期待できなかったら、方法のどこかに間違いが生じています。 リンパマッサージの施術には注意点も多くあることを知っておきましょう。 以下のような項目があげられます。 ● 基本的にソフトタッチで施術すること ● 食後2時間以上が経過してからおこなうこと ● 重症疾患、発熱、妊娠初期は控えること ● 施術後にはミネラルウォーターを摂取すること

7-1基本的にソフトタッチで施術すること

リンパマッサージは、基本的にやさしくなでるように施術します。 リンパ管やリンパ節は、皮膚から浅いところにあるため、そこへ適度な刺激を与えることによってリンパの流れが促されます。 必要以上に圧を加えると、筋肉などの組織にまでダメージを与えかねません。 中に、やや強めに圧をかけるタイプのプロのセラピストもいますが、絶妙な力加減でおこなっているので素人では難しいとされています。 とくにセルフケアでの施術では、つい力みやすくなるので、圧をかけないよう注意することです。

7-2食後2時間以上経過してからおこなうこと

原則として、施術は食後2時間以上経ってからおこなうようにしましょう。 当然ながら、食後にすぐおこなうのはあまりよくはありません。 また、飲酒後にはおこなわないように注意してください。

7-3重症疾患、発熱、妊娠初期は控えること

医学的な分野から考えて、リンパマッサージを控えたほうが無難なパターンはいくつもあります。 例えば、悪性腫瘍、腹膜炎、虫垂炎、心臓弁膜症、腎炎 動脈瘤、高度動脈硬化症、肺結核といった重病を抱えている場合が該当するでしょう。 また、妊娠の可能性・妊娠初期は無理におこなわないことです。 いずれにしても、心配であれば医師や専門家に相談をしましょう。

7-4施術後にはミネラルウォーターを摂取すること

施術後の水分補給を忘れずにおこなってください。 ミネラルウォーターが一番おすすめです。 お茶・コーヒー・ジュース類は利尿作用が高すぎる欠点があり、必要な水分までも体外に排出してしまうからです。 普通の水であれば適度に水分を体内に吸収できるので、リンパマッサージ後の体に適度な潤いを与えて保持してくれます。

まとめ

リンパケアの特徴は、比較的誰でもその気になれば施術ができる点です。 特別な器具や大掛かりなマシンも一切必要ありません。 使うものは、自分の手のひらだけという手軽さが、近年では人気となっています。 女性のセラピストも多くなり始めているので、学ぼうと思えばいつでもチャンスがあるでしょう。 リンパには基本的な流れ方があり、その流れに沿って施術するのがリンパマッサージの鉄則です。 そのため、リンパ管・リンパ節の位置や、体の部位ごとでの流れの方向を間違わないように注意が必要となります。 また、リンパマッサージを本格的に学んでいくには、医学的分野にも着手する必要性があるでしょう。 セルフケアができれば十分だという人もいるでしょうけど、軽視して我流でやっても全く効果が現れずに、結局やめてしまうという結果が目に見えてきます。 リンパの流れと人体の不思議な構造など、できる限りマスターしながら正しい流れと方法で施術を繰り返せば、次第に体調が整っていくはずです。 最低限、リンパを流す方向、ハンドマッサージの圧のかけ具合、習慣化のための取り組みなどを考慮し、しっかりとルーティーン化していくようにしましょう。

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