リフレクソロジーとは、“reflexology”と英語では表記され、日本語に訳すると“反射療法”と表記できるリラクゼーションを目的とした施術です。アメリカで発祥し、イギリスでは実証的・科学的・医学的な検証を経て保険医療にも組み込まれています。ホスピスなどにおける緩和ケアに大きく貢献するとされ、看護師などが中心となり行っています。
日本では医療とまったく関係のないリラクゼーションを目的とした手技であり、東洋医学を元にしているあん摩マッサージ指圧師の行うマッサージとは違うものであると押さえる必要があります。
リフレクソロジーの場合、東洋医学にもとづく「経絡経穴=点」の考えとはまったく別な、「反射区=面」としてアプローチを行っていくところが特徴として挙げられます。日本では普及当初「足裏マッサージ」とも呼ばれたこともあるリフレクソロジーの、足裏にある反射区について解説していきます。
足の裏は「第二の心臓」とも呼ばれることがあります。その理由は、立った場合、重力によって血液が足に滞りがちになります。滞りがちになることでよく見られるのが「むくみ」と呼ばれる状態です。
足に滞った血液の循環を促進するためには、足の筋肉を使うことが大切になってきます。その中で、もっとも足の下に位置し、大きな筋肉で足に滞りがちの血液に対し、ポンプの役割を果たして、循環させるのに働いている筋肉が「土踏まず」となります。このことが足の裏を「第二の心臓」と呼ばれる理由となっています。
アメリカ人の医師であるウィリアム・フィッツジェラルド氏は、患者が手術中にベッドの梁などに手足を押しつける行為を観察し、これを研究したところ、痛みを和らげる効果があるということを突き止めます。それを「ゾーン・セラピー」という本にして発表したのがリフレクソロジーの始まりとされています。
その中で、身体の中央に線を引いて左右を両等分し、それに並行する線を引いて十の区域に区分しています。そしてそれらの線は頭部、胴体、手、足に至るまで平行に引かれ繋がっており、現在では頭部の区域においてその線が交差して走っているとしています。これが反射区の考え方となります。
つまり、全身は繋がっており、身体に何らかの変化が起こった場合、健康のカギとなっている足の裏や手の裏表にある反射区にも何らかの変化が生じます。
全身の臓器や期間に繋がっている反射区を示しているのが、「フットチャート」と呼ばれる足裏反射区図になります。その図を見ると、全身の臓器や器官に繋がっていると考えられる反射区は地図のように見え、全身の縮図と捉えることができます。
足の裏の「土踏まず」は、「第二の心臓」と呼ばれるだけ負担のかかる筋肉であり、緊張したり張ったりしやすいと言えるでしょう。その緊張や張りを自分でほぐすだけでも、血液の循環を促進させる効果があると考えられます。
しかし、臓器や器官に何らかの変化があった場合、その変化に対応している足の裏にある健康のカギとなっている反射区にも何らかの影響が起きている可能性があります。その変化に対応している足の裏にある反射区を細やかに探り当てることで、臓器や器官などに起こっている何らかの変化に気づけるきっかけとなる期待があります。
「土踏まず」には泌尿器官や消化器官に関係する臓器の反射区が集中しています。その反射区を意識しながら、「第二の心臓」となっていることも意識しつつ、健康のカギとなっている反射区になっていないか、細やかに探り当てるよう刺激をしていくとよいでしょう。
目の反射区について、注意したい点があります。それは、全身の反射区に繋がる線は頭部で交差して走っているという点です。そのため、頭部の中心から上の臓器や器官は左右が入れ替わっています。
つまり目の場合、右目の反射区は左足にあり、左目の反射区は右足にあります。このことを意識して、刺激を加えていくことで、より効果的なリラクゼーションを行うことができます。
反射区の変化についても、利用者が右の目に疲れを感じている場合、左足に存在する目の反射区に何らかの変化が起こっている可能性があることを理解し、意図的に刺激を加えていくことが、効果的な施術を行っていくことに繋がってくるわけです。
目の健康のカギとなっている反射区は、足の裏にある、人差し指と中指の付け根からその中間までの面に位置しています。反射区は面としてとらえ、刺激を加えていく必要があるため、面となるよう広い範囲を反射区として考えていくとよいでしょう。
目の反射区は、人差し指の付け根だけや中指の付け根だけ、そしてその間だけに反射区があるというような解釈をしてしまわないように注意が必要です。そうしないと、それは「面」ではなく、「点」となってしまうため、異なる施術を行ってしまいます。「反射区」と「経絡経穴」はまったく別の理論から考えられている施術であるため、切り離して考え、受けとらえる必要があります。
肩に繋がっていると考えられる反射区は、足の裏にある上から三分の一あたりに位置しているとされています。大体、小指の付け根から下の、足の外側面にあるふくらみがある部分までが、肩の反射区に当たります。
また、足の外側面にあるふくらみが終わる部分から、人差し指の付け根に当たる広い面は肩に関係する筋肉群の反射区になっています。さらに細分化するとリンパ管、目、耳、左右の気管支と肺など、実にさまざまな反射区が図として表されています。これらの臓器や器官は肩の変化に関与しています。
肩の健康のカギとなっている反射区は、足の裏の上三分の一に集中していることが「フットチャート」を見るとわかります。足の裏の上三分の一を細分化して「フットチャート」を見ると、実に様々な反射区が表されていますので、“肩に関係ないのでは?”と思いがちですが、表されている臓器や器官は肩の健康に直接関与しやすい臓器でもあります。
そのため、肩については、足の裏の上三分の一という広い範囲の反射区として変化が現れやすいとも考えられます。たとえば、咳が出ている状態では肩の筋肉が張りやすい状態となりますし、目の疲れや、耳の健康でも肩の筋肉が張りやすい状態を作り出します。
これら反射区を細やかに施術していくことで、肩に起こる何らかの変化を感じ、リラクゼーション効果が得られる期待があります。
肝臓は身体の右側に位置しています。そのため、その反射区は右足に位置しています。その位置は、右足のちょうど中心に当たる広い範囲を肝臓など老廃物の排出を促す臓器に繋がる反射区と考えるとよいでしょう。
細分化した「フットチャート」を見ると肝臓の他に、腎臓、胆のう、尿管などさまざまな臓器や器官の反射区が重複しているのが分かります。これら臓器は消化、吸収、排泄に関している臓器や器官であることに間違いはありません。
「第二の心臓」となる「土踏まず」の場所ともなっているため、血液循環の促進と同時に、これら臓器や器官の反射区であることを意識し、老廃物の排出を意図として施術していくとよいでしょう。
反射区は面として捉える必要があり、「フットチャート」を見ると細分化して書かれていますが、点ではなく、面として捉える必要があります。そしてその反射区は細分化して見ていくと、位置が重複している臓器や器官もあることから、健康のカギとなっている反射区は一つではなく、様々な要因が重なり合って変化が生じている可能性があるということが言えます。一つの反射区にとらわれずに臓器や器官の働きなども含め、反射区全体を見ていくとよいでしょう。